《加藤》
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安易に好きと言うのはあまり好きではない。
言葉の重みがなくなってしまいそうだから。
そう思ってたのは昔の事で今は違う。好きな時好きだと思ったら好きだと伝えたい。
「いちにんしょう〜、好きだよ」
『んー、うん、知ってるよ〜』
「なまえもとしちゃんの事好きだよね?」
『うん、もちろん』
「そうじゃないんだけど…もうっ…好きっ!!」
この会話を最近幾度となくしている。
どうやらいちにんしょうの彼女は好きだと言わせたいらしい。
こんなやりとりが2週間ほど経った時ぱたりと好きだと言ってこなくなった。
押してダメなら引いてみろ作戦…といった所か。
『史帆、この漫画面白かった史帆も好きだと思うからおすすめ』
「え?!あ、あぁ、ありがとう」
『どうかした?』
「なんでもない…」
そわそわしている姿が可愛い。
いつまで持つのだろうか、これ。
『史帆、お弁当選んだ?』
「え、まだ」
『2種類あってさ、史帆どっちも好きそうだから半分こしない?』
「いいの?!」
『どっちも美味しそうだし、一緒に食べたかったから』
「え〜なにそれ、優しい〜!好…!!いや、なんでもな〜い」
『ねえ、今日のライブの髪型何にするの?』
「えー、何がいいかな、やっぱおろしかなぁ」
『確かに、巻き下ろしがいいんじゃない?いちにんしょう史帆の巻き下ろし可愛いし一番似合うと思うよ』
「…!じゃあ、そうしようかな」
『うん、じゃあ、着替えてこようかな』
頭を撫でて楽屋から出ようとすると腕を掴まれる。
「なまえ…あの」
『うん?』
「ぎゅうしてもらっていいですか…?」
『え、はい』
中腰になって史帆を抱きしめる。
好きと言わな過ぎて不安にさせすぎたのかな。
『史帆…?』
「…好き、大好き」
『ぁ、はい、知ってる』
「大好きなの、ずっと言わなかったけど、やっぱ好き過ぎて…」
『うん』
「例えなまえから好きって言われなくてもししはずっと好きって思った」
『…いちにんしょうも好きだよ』
「ん〜…!!好きっ、好き、大好き」
『知ってる』
「わがまま言っていい?」
『なに』
「好きってもっと言ってほしい…」
『えー、うーん』
腰に抱きつく力が強くなる。
可愛いとしか言いようがない。
『好き、ってより愛してるんだよなぁ』
「!!ししも!あ、いしてる!」
『あんまりこうしてるとキャプテンに怒られそうだな、準備してくる』
「そうだね…その」
何か言いたげな史帆に背を向け着替えに行こうとした。
史帆が言いたいことは分かっていた。
振り向いて一言『好きだよ、史帆』と笑えば「ししも、大好き!」と一番可愛い笑顔で返してくれた。
本当は好きだなんて言いたくても恥ずかしくて言えなかった。でも、これだけの愛を伝えられたらいちにんしょうも好きが溢れ出てしまう。
その日から毎日のように好きだと言えば史帆は満足そうに笑ってくれる。それが一番の幸せだった。