《加藤》
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まだ名前がひらがなだった時からお世話になってる芸人さん。
外番組でもお世話になって本当に感謝しかない、メンバー内ではどっち派だ、なんて派閥はあるがいちにんしょうは興味がない、というかどっちもいい人すぎて決められない。
いちにんしょうの恋人である、史帆は生粋の若林さん派で、今日の収録も気合いが入ってるのが目に見える。
「なまえさんっ、お菓子食べますか?」
『うわ、陽菜か、ありがとう、これ美味しい?』
「めっちゃ美味しいです!食べてほしくて持ってきちゃいました」
へへっと笑う陽菜は愛らしい。
誰にでもこういう事をやってるんだろう、そりゃ愛されるのがわかる。
「あー!なまえだめ!河田さん独り占めしてる!ししの河田さんなんだけど?」
『いやいや、陽菜から来たんだし』
「河田さんはとしちゃんのだもんね〜?」
「ふふ、はい」
『いちにんしょうは無視かよ…』
2人でいちゃいちゃとケータリングに戻っていく姿を見ながら貰ったお菓子を食べる。
なにこれ、うまっ、あとで自分で取りに行こ。
「いいの〜?あれ」
『ん、なにが』
「付き合ってるんでしょ君たち」
『付き合ってるよ、それが?』
「他のメンバーと浮気してますけど?」
『浮気…?あれが?あれはね、史帆がメンバーをいちにんしょうに寄せないようにしてるんだよ、逆に嫉妬されてるの』
「ほう…?なまえは嫉妬とかしないの?」
付き合ってることを知る希少メンバーのキャプテンが苦笑いしながら隣に来る。
思わぬ質問に考え込んでしまう。
『しない、かも』
「確かに、見たことないかも」
『でしょ、というかそろそろ来るよ』
「くみさん!なまえの隣ししなんだけど?!」
「あはは!本当だ、流石ですね〜」
「ん?!なにが!なに?!」
『内緒』
「としちゃんがなまえが好きっていうのはわかった」
「え、なにその当たり前、どういうこと?」
2人で史帆をいじっているとスタッフさんから声がかかる。
よし、収録頑張ろう、と立ち上がった時史帆に手を掴まられる視線を向けると小さい声で「今日泊まりたい」と。
笑って頷けば、いちにんしょうを追い抜いて他のメンバーに絡みながら進んでいく。
嫉妬、確かに今までしなかったな、史帆からはよくあったけど、愛されてるのは自分だと謎の自信があったのかもしれない。
それも今日の夜思わぬ形で壊れるとは思ってなかった。
「おつかれー」
『おつかれさま、今日の収録面白かったね』
「だよね!いつも楽しいけど今日はめっちゃ幸せだったあ」
2人でいちにんしょうの家に着きお風呂もご飯も済ませてダラダラタイム。
今日はずっと一緒にいたから収録の話して盛り上がる。主に史帆が。
「え、だってさ、あの若林さんがししのこと天使って呼ぶんだよ!?もう最高じゃん!」
『あれはネタじゃん、面白かったけど』
「勝ち抜けてよかった〜、でもでもししのあの妄想シチュエーション良くなかった?!」
『僕の天使?』
「そう!あの大好きな若林さんが僕の天使って言ってくれたの超嬉しかった!しかも何回も!!」
『壊れたレコードみたいになってたけどね』
「でもさ!この間外番組の時にもお会いしたんだけどその時も凄い優しくしてくれたの!若林さんってやっぱかっこいいよねぇ」
『…そうだね』
いちにんしょうの中ではあまりなかった感情だった。
それは間違いなく嫉妬というもので、メンバーに対しては沸かなかったものが他の演者さんには沸いてしまったのだ。
ここで嫉妬を出してしまえば今後やりにくくなるだろう。
それを自分の中で必死に押し殺そうとする。
「しかも聞いて!結構前なんだけど、2人の番組に出させてもらった時に若林さんが…」
『そんなに若林さんが好き?』
「…え」
『違う、その、なんていうか』
「ごめん、ししばっかり盛り上がっちゃってたね、なまえはそういう派閥とか興味ないもんね」
『そうじゃなくてさぁ…』
上手く伝わらない、もどかしさに前髪を乱暴にかく。
『メンバーには何も思わないんだけど、その、若林さんずるくない?』
「なんで?」
必死に出した言葉がこれか。
ずるいってなんだ、素直に嫉妬してムカつきますくらい、言えたらいいのに。
そりゃ、なんでってなるよね。
『わっかんないけど!今までも、言ってたし、今更だけど、好きとか…』
『異性だし!メンバーとは違うっていうか、男としてみてる?っていうの?!わかんないけど、史帆が好きっていうのはいちにんしょうだけでいいじゃん…』
自分がこんな事を言うなんて、恥ずかし過ぎて下を向く。
なんの返答もないシーンとした空気が重い。重くさせたのはいちにんしょうだけど、もしかして嫉妬とか嫌いだったかな、嫌われた…?
「メンバーじゃなくて、若林さんに嫉妬したの?」
『ぇ、そう、ですね、はい』
「他の子には一切なかったのに?」
『メンバーはメンバーだし、若林さんはいちにんしょうから見ても凄い方だし』
「…初めてだね」
『は?』
「嫉妬されたの」
『ごめっ、もうしないし、見苦しかったよね』
「ううん、嬉しい、でも若林さんの好きとなまえは全く別」
『同じだったら困る…』
「確かに!ねえ、嫉妬するくらいししの事考えた?」
『史帆の事しか考えてないんだよ、むしろ一緒にいる時はいちにんしょうだけ考えててくれない?』
なんだか余裕そうに見える彼女に腹が立って、床に押し倒す。
一瞬驚いた顔をしたけどまた口角を上げてにこにこと笑い出す。
「なまえの事しか考えられないようにしてくれる…?」
この、誘い上手。
いちにんしょうを嫉妬させた罪は重いからな。
『覚悟してね』そう言って唇を押し付ける。
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