《宮田》
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ダンスレッスンの休憩中汗を拭きながら水分を摂ってると後ろから唐突に抱きつかれる。
犯人は間違いなく彼女しかいない。
『ちょ、っと、危ないな』
「なまえちゃん1人だからチャンスと思って」
『だからって人が水飲んでる時に突進しないでよ』
「ふふ、ごめんね」
謝りつつもいちにんしょうの背中から退く気はないらしい愛萌。
彼女はいつもいちにんしょうの元に来ては何かしらからかって去っていく。
『…なんかあった?』
「何もないですよ、ただ近くにいたいなあって」
『ほう…』
「なまえちゃん振りどうですか?覚えました?」
『いや、全然、今この瞬間に全部飛びそう』
「じゃあ私と練習していきます?」
『…2人?』
「個人レッスンが好みならそれで」
『他にもメンバー残ると思うし、2人はないか』
「私と2人じゃ不満なんですか〜」
『愛萌は、2人でいると何してくるか分からないから』
「そんなことないですよー」と背中から手を伸ばしていちにんしょうの手を握る。
そんな彼女にとってはなんでもないような事がドキドキしてしまう。
「なまえちゃん、ドキドキしてる?」
『…うるさいなぁ』
「ふふ、今日家行ってもいい?」
『いいけど…』
「けど?」
『変なことしたら追い出す…』
「…変なことって?」
愛萌の息が耳にかかる。
思わず背中が反応すると愛萌は嬉しそうにいちにんしょうの耳に唇をあてた。
『〜っ…!!そういうこと!!』
「え〜、なまえちゃんも嬉しそうなのに」
『どこがだよ…』
「あ、もう休憩おしまいだ〜、後半も頑張ろうね」
あっさり背中から離れて同じ2期生の輪に混ざりに行く。
背中のぬくもりが消えて少し寂しい気持ちになりながらいちにんしょうも1期のいる所に行く。
「愛萌に愛されてるね〜」
『…変な事言うな、からかってるだけでしょ』
「そうかな〜、お似合いだと思うけど」
『相手はそう思ってないよ』
なんだか物言いたそうな史帆を横目に愛萌をチラ見すると目が合う。
逸らそうとしてもつい魅入ってしまう。
柔らかく微笑んだ後ウインクをされ、ほらやっぱりからかってるじゃんと慌てて下を向く。
自主練もそこそこに帰ろうとしているとまた背中に重み。
『おつかれ、そろそろ帰るけど』
「うん、準備する前にちょっと充電」
『充電って…っ!汗臭いから嗅ぐな!』
「せっかく堪能してたのに〜」
急いで振りほどくとほっぺを膨らませて悲しそうにしている愛萌。
『おいてくよ』と帰る準備をすると慌てて自分の荷物を整理しに行った。
「おまたせしましたっ」
『うん、じゃあ帰りますか』
「じゃあ、はい」
スっと右手を目の前に出される。
何?え?全く分からなくてぽかんとしていると「もう〜」といちにんしょうの左手を重ねてぎゅっと握られる。
「察しが悪いなあ」
『ちょっと、こんな所で恥ずかしいよっ』
「嫌なら離します」
『嫌とか、そういうのじゃ…このままでお願いします…』
「素直でよろしい」
満足そうに手を繋がれ家までずっとドキドキしっぱなしで、この繋いだ手から鼓動が伝わるんじゃないかと思うほどだった。
家に着いてから手洗いうがいを済ませすぐにお風呂の準備をする。
『あ、お風呂すぐ沸かすから先入っていいよ』
「え?一緒に入らないの?」
『は、はぁ!?入るわけないでしょ!』
「でも汗かいたし、2人で入った方が早くない?」
『それはそうかもだけど、待ってるし、先入りなよ…』
「なまえちゃん、一緒にはいろ」
袖をくいっと引っ張られ上目遣い。
…勝てない、勝てるはずがない。
仕方なく頷くしかなかったいちにんしょうは一緒に風呂に入った。
変なことをされないよう細心の注意を払っていたからか愛萌は特になにかしてくるわけでもなく、気持ち良さそうに湯船に浸かっていた。
『先に出るから、ごゆっくり』
「ん?うん、私ももうちょっと温まったら出るね」
『着替えとか置いておくから』
「ありがと」
彼女より先に出て着替えを用意して髪の毛を乾かしていると上がった彼女が少し濡れた髪をタオルで乾かしながらいちにんしょうの隣に座る。
背中を向けて「お願いします」と甘い声でおねだりしてくる。
『そういう所、歳上なのに甘えただよね』
「なまえちゃんだからだよ」
『またそうやってからかって〜』
「からかってるようにみえる?」
『愛萌は可愛いからそういう事してると本気にされるよ』
「なまえちゃんにしかしてないよ」
『…風邪ひくね、乾かしてあげる』
少し下を向いて表情が分からない愛萌の髪に丁寧にドライヤーをあてる。
いちにんしょうだけなんて、そんなことあっていいのだろうか。
ずっとからかってるだけだと、勘違いなんだと、思ってたから。
綺麗に乾かしてそっと撫でながら声をかける。
『あの、愛萌さん…?終わりましたよ〜…』
「ん…」
疲れていたのか寝息を立てていちにんしょうに寄りかかってくる。
可愛い子は寝てると本当に可愛いな、と可愛さに改めて関心して上から覗き込んでいた。
チュッと一瞬の隙に口に柔らかいものが当たる。
「油断しすぎ」
『っ…!!狸寝入り!』
「そういう言葉知ってるんだ」
くるっと体を反転させていちにんしょうを押し倒す形で顔を寄せられる。
『ち、近いって』
「もう1回、しよっか」
『なに、いって』
「なまえちゃん、好きです」
『え、ちょっ…んっ』
強引に塞がれた唇は逃げられるわけもなく受け入れてしまう。
わざとリップ音をたてながら何度も繰り返し唇を重ねる。
重ねられる度に後ろに下がっていき最終的には床に押し倒されていて、息が出来ず一瞬空気を吸い込もうとした時そのまま深く口付けされる。
『ぁ、っまな、』
「なまえちゃん、ベッド移動しよっか」
その笑みに頷くしかなかった。