《河田》
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「それじゃ、改めまして、陽菜20歳おめでとー!!」
「やったぁ、ありがとうー」
「かんぱーい」
個室のある居酒屋でひっそりと開催してくれた私の誕生日パーティ。
そこには恋人であるなまえさんの姿はない。
その日はどうしても仕事の都合で来れないというので、2期生だけでの集まりになってしまった。
「なまえさんも参加出来ればイチャイチャ見れたかもしれないのになぁ」
「いや、見せられても反応に困るから」
「えぇ〜愛萌は陽菜となまえさんのらぶらぶな所見たかったけどなあ」
「私たち付き合ってるけどいちゃいちゃとかしないから」
「…意外にそういうもん?」
「確かになまえさんあんまりベタベタしてるイメージないかも」
私達が付き合っているというのはメンバー全員が知っていて公認になっている。
私も、人前でいちゃつくなんてないなまえさんだからこそチャンスだと思って今回呼んだのに…
皆で話してる中で黙々と一人で考えてはお酒がどんどん進んでいった。
「陽菜飲みすぎじゃない…?」
「確かに…大丈夫?」
「全然大丈夫じゃない…」
「気持ち悪い…?トイレ行く?」
「なんで、付き合ってるのに…キスもしてくれない…」
「は?」「え?」
唐突な告白にメンバーはぽかんとしている。
私は至って真面目に悩んでるのに…。
「もう付き合ってから何ヶ月もたってるのに、いくら待っててもキスしてくれないの!」
「それは、まあ」
「大事にされてるって事だよ!」
「私からしようとしても執念に避ける…」
「キスが苦手とか…?」
「かなり前にしほさんとかにされてたの見たけど」
「やっぱり私の事嫌いなんだ〜」
「ソンナコトナイヨ!」
「周りから見ても陽菜への愛感じるのにね〜」
「そんな心配しなくても大丈夫だって」
大丈夫だと宥められても私にとっては大きな問題なのだ。
なまえさんに会いたいなぁ…
「仕事まだ終わんないのかな…」
「ちょっと押してるんじゃない?」
「終わったら連絡来るんでしょ?」
「そうだけど…会いたいもん…」
「まあまあ、明日も午後から同じ撮影だし…」
「今会いたい!なまえさんに!あーいーたーいー!」
「ちょっと!陽菜飲み過ぎだよ!」
「落ち着きなって!多分もうすぐ仕事終わるって!」
「なんで陽菜ばっかり我慢してるの!!」
「陽菜、一旦落ち着こ!ね!お水飲んで!」
「やだ!なまえさんに会えるまで飲んでやる!」
「ヤバい!陽菜が暴走した!」
その時私の携帯が音を鳴らした。
なまえさんから通知音。
すぐに携帯をとり通話ボタンを押す。
『もしもし?陽菜、どうかした?』
「なまえさん!なんでいないんですか!」
『え、えぇ?いや、仕事入ってて行けないって…』
「そんなことわかってるもん!」
『陽菜一気に飲み過ぎじゃない?酔ってるでしょ』
「よってない!」
「いや、酔ってる酔ってる、陽菜ちょっと貸して」
『あれ、美穂?』
「なまえさん?陽菜がこういう感じでちょっと手がつけられないんで回収お願いしてもいいですか?」
『あぁ、まあそれはもちろんお店の場所送ってすぐ行くわ』
「それまでには宥めておくので」
「え!なまえさん来るの?!」
「陽菜、お水のも、はい」
『30分もすれば着くからありがとうね』
「お気を付けて〜」
勝手に電話を切られ「なまえさんすぐ来るって」と告げられる。
メンバーに水を飲まされ待っていると本当にすぐなまえさんが姿を現した。
────
『おつかれさま〜、陽菜大丈夫?』
仕事終わり、恋人である陽菜に連絡をすると美穂が酔って手が付けられないというので急いでタクシーで迎えに来る。
個室を覗くと陽菜はまだちびちびとお酒を飲んでいて「まだかなぁ」と呟いていた。
声をかけると嬉しそうに目を細めてこちらに微笑む。
「なまえさん!本物だ〜」
『うん、大分のんだね、気を付けてって言ったのに』
「だって…」
「とりあえず、保護者も来たしあとはおねがいします!」
『あ、うん、みんなごめんね、本当にありがとう今度何か美味しいもの食べに行こうね』
「本当ですかぁ、嬉しい〜」
「楽しみにしてますね!」
『うん、また明日ね、陽菜帰るよー』
「ふふ、なまえさんだぁ」
とりあえず会計だけ済ませてもらって陽菜と一緒に乗ってきたタクシーに乗り込む。
「帰るんですか?」
『うん、陽菜の家まで送り届けます』
「いやです…なまえさんの家行きます」
『いやいや、ダメです』
「ダメじゃない!運転手さん○○までおねがいしまーす」
『いや、陽菜、本当に…もう…』
勝手に自宅を告げられて困惑しながらも運転手さんはそれに従って車を走らせた。
家に着いてからも大変だった。
なんせずっとくっついて離れない。
『陽菜、お風呂入っておいで』
「なまえさんと一緒ならはいります」
『1人で入れるでしょう…』
「今はなまえと離れたくないです…迷惑ですか…?」
腕やら背中やらずっと抱きついてくる。
こちらもまだ20歳相手に理性を外す訳にはいかないので必死である。
『わかった、うん、とりあえずお風呂はいろうか』
「ふふ、なんだかんだで甘やかしてくれるの、好き」
陽菜の顔が近付いてくる。
ヤバい、と咄嗟に避けて抱きかかえて風呂場に向かう。
上から下まで洗ってあげて早急に風呂場を後にして髪の毛を乾かしてあげながら水を飲ませる。
『どう?落ち着いた?』
「ずっと落ち着いてますよ?」
『酔ってたから心配になってんだよ…』
「…酔ってないです」
うそつけ、と酔っ払いに言ったところで理解はされないのでドライヤーを仕舞いに行こうとするとくいっと手を引っ張られバランスを崩し陽菜と顔が近づく。
『っぶな』
「惜しかった」
『まだ酔ってるの河田さん?』
「酔ってないってば」
『とりあえず、明日に響くとアレなので寝ましょうね』
「…一緒に寝てくれる?」
上目遣いで少し赤い顔。
可愛過ぎるんだよな…と思いながら目線を外してもちろんと答えるので精一杯だった。
ドライヤーをしまって戻るとソファにうたた寝をしていてやっぱり眠かったのか、軽く頭を撫で抱きかかえるようにして持ち上げようとすると首筋に柔らかいものを当てられる。
『っ…陽菜起きてたのか』
「好きです、ずっと」
『いちにんしょうも好きだから、キスするのやめようか』
「…どうしてですか」
慌てて寝室のベッドに下ろすと不機嫌そうに、少し涙目で見つめてくる。
『どうしたの、何かあった?』
「…キスしたいんです」
『え…っと?』
「ずっとしてくれないし避けられるの、不安なんです」
『あの、ハグとかしてるじゃん?』
「ひなのことやっぱり嫌いですか…」
『そんなわけ!あることない、寧ろ好きすぎて困ってるよ…』
じゃあ、と襟を捕まれ軽く唇が触れられる。
頑張れ、理性。相手は酔ってるんだ、自分に言い聞かせる。
「ふふ、やっとキスできた」
『そんなにしたかったの』
「好きだし、そういうの興味あったから」
『……はぁ、陽菜あんまり大人をからかわないようにね』
「からかってないです、私ももう大人です、キスくらいしたいです」
『…我慢してるんだよ、こっちも、キスしたらその先の事我慢出来ないかもしれないから』
「…!今もですか?」
『当たり前だよ、酔った恋人見てずっとくっつかれて…キスされて、結構頑張ってるんだけど』
「私もキスしたくて我慢してました」
『キス以上のこと我慢してんだよこっちは』
ダメだ、このままだと襲ってしまう。
そんな気持ちになりながら陽菜をぎゅうっと抱きしめる。
「お互い我慢やめませんか?」
『は、?』
「キスもそれ以上も、したい、ですよ」
『っ…いや、それはまだ』
「なまえさん、ひなとするのいやですか?」
『ぁー、はぁ…』
こんなに可愛い恋人に誘われて拒否できる奴がいるなら名乗り出てほしい、こんなの無理だ。
『覚悟してね』と呟いて首筋にキスをすると「そっちじゃない」と唇を指さされ吸い込まれるようにそれに応えた。