《理佐》
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休みの前日仕事終わり、タクシーに乗って帰宅中いちにんしょうの携帯が音を鳴らす。
表示された理佐の表記を見て無視できない人物だと、仕方なく電話に出る。
『もしもし』
「明日暇?」
『暇じゃないです』
「10時に駅集合」
『話を聞いてた?暇じゃない』
「休みでしょ?」
『そうだけど…』
「じゃあ、大丈夫だね」
『いやいや、いちにんしょうの予定がん無視じゃん』
「本当に予定入ってるの?」
『…何もないけど』
「じゃ、そういうことで」
一方的に約束され電話を切られる。
いつもどこから聞き出すのか分からないが休みを把握されていて被っていれば半ば強制的に連れ出される。
次の日にはせっかくの休日に朝早くから起き、準備して10分前には駅で待ついちにんしょうがいる。
少し早めに着いて待っていても彼女は必ず5分程遅れてくる。
前にいちにんしょうが少し遅れると人を待たせるとかありえないと少し高めの焼肉を奢らされたことをきっかけに二度と遅れてたまるか、と10分前には待つ癖がついた。
約束の時間から数分、そろそろかなと見渡すと明らかな美人。
目立ちすぎでしょ、と早く近付こうとした時後ろから早足で彼女に近付き声を掛けた男。
「お姉さん今からおでかけですか?良かったらご飯どうですか?」
「…」
「全然奢るんで一緒にご飯行きましょ、連絡先とか交換どうですか?」
「…」
うわ、めっちゃ嫌な顔してる。
無視決め込むの上手すぎるじゃん、と少し関心しつつ彼女に近づく。
『あのー、ツレに何か用ですか?』
「…あ、待ち合わせしてたんですね、じゃあ3人でご飯しましょうよ」
『これからデートってやつなんで、邪魔しないでくれます?』
そう言って理佐の手をとり早めに歩き進める。
後ろの方でまだ何か言ってるナンパ師を無視して改めて理佐に声をかける。
『大丈夫だった?』
「助けに来るの遅いんだけど」
『それは申し訳なかったですね』
「お昼なまえ持ちね」
『えぇ、理不尽過ぎない?てかこれからどこ行くの』
「買い物、秋服買いたい」
『なるほど』
ノリで繋いだ手は離れることはなくそのまま歩き続ける。
理佐の好きなブランドの店に着くと自然に手が離れ少し寂しい気持ちになる。
それぞれ別行動で服を見てると肩を叩かれ1枚のワンピースを突きつけられる。
「ねえ、これとあっちの手前のマネキンが着てるやつ、どっちがいいかな」
『…握手会の服?』
「そう、あっちだとちょっと派手かなあって」
『試着してみれば?』
「なまえはどっちが好き?」
『いちにんしょうは握手会をする側で参加しないから分かりません』
「…面倒臭い人、じゃあどっちを着てる私が好き?」
『持ってるやつ』
「だと思った、これ買ってくるなまえは何か買うの?」
『理佐に似合いそうなの探してただけだから特には』
「似合いそうなの、あった?」
『えー、ん〜…これとか?ちょっと露出多いかもだけど』
「じゃ、これも買う」
『え、いや、これは握手会で着れないでしょ』
「次のデートってやつで着てきてあげる」
振り向きながらにやりと微笑みレジに向かう。
まんまとやられた…。
店の前で待っていると会計が終わったのか隣に来て軽く手が触れる。
その手には購入したばかりの袋がぶら下がっていて無意識にその袋を持ち上げて反対に移す。
『あ、持つよ』
「ふふ、そういうとこいいよね、ありがとう」
『完全に無意識だったけど、どういたしまして』
そして空いた手で店に入る前同様に手を握る。
少し理佐の顔が赤くなった気がした。
「お腹すいた」
『何が食べたいんですかー』
「叙々苑焼肉」
『ねえ、いちにんしょうの奢りでしょ?遠慮って言葉知らないの?』
「なまえの奢り、だからでしょ?」
『はあ〜?…行くよ』
「やったー」
これはあくまで始まりであって、この後もずっと彼女に振り回される。
それが少し心地好くてなんだかんだと聞いてしまうのはいちにんしょうが理佐を好きだからで、それに本人も気付いているからだ。
いつか、彼女の我儘に動じなくなった時、その時は関係が少し進んでいればいいなと思い今日も彼女に焼肉を奢る。