fingertip<加藤>
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久々の同じ収録で気持ちが昂っていたのかもしれない。
いつもより少し早めに楽屋に着き、ケータリングのお弁当を手に取り1番端の席に座る。
いちにんしょうより先に来ていた京子が不思議そうに首を傾げる
「あれ、今日早くない?」
『そう?まあ、たまには』
当たり障りのない返しをしてお弁当をあける。
「もしかしてだけど、最近史帆に会ってないから早く会いたくて早めに来たとか?」
『京子のそういう勘の働くところマジで厄介だよね』
「え、本当に!?あれでもこないだ…いや、なんでもないわ」
『は?マジでなに、そこで止めるな』
歯切れの悪い京子に言え言わないを繰り返していると漸く口を割る
「この間撮影一緒でなまえの事聞いたら悲しそうな顔して“もう無理かも~”って言うから…」
『え…まじ…?』
「一応フォローはした!!したけど…その…ごめん」
『なんで京子が謝るんだよ』
正直会えなくても毎日連絡はとっていた。
電話もそれなりにして不安にならないように愛の言葉を送ったりもした。
あれ、もしかして今日振られる…?
お弁当の箸が止まった時横から肩を叩かれる
「ここ、いいですか?」
可愛らしく微笑む彼女は最近仕事でよく一緒になる小坂だった
『どうぞ』と言いつつ慌てて荷物を避ける
「なまえさんお弁当全然食べてないですね、あんまりお腹すいてないんですか?」
『そういうわけでは…ちょっと食欲はないかもだけど…』
「菜緒があーんしましょうか?」
『…は、いや、しなくていい』
「冗談ですよ、面白いなぁ」
口に手を当ててふふっと笑う小坂は最近、よくからかってくる
他のメンバーよりも距離も近い、懐かれているのかよく分からないが史帆に見られたら誤解されてもおかしくない距離感の時がある
「おはようございまぁす」
聞き覚えのある声を聞いてドアに目を向ければ会いたかった愛しい彼女がいる
一瞬目が合って口を開こうとした瞬間目線を逸らされ他のメンバーの所に駆け寄ってしまった
あれ、私マジでやばい…?
急いでお弁当を詰め込んで隣の小坂も無視して椅子を繋げて仮眠してる史帆の横にしゃがむ
『史帆さん…久しぶり』
「あ、なまえおはよ~」
寝てはいなかったみたいでのんびりとした声が帰ってくる
『あ、あの…』
「今日終わり時間同じだよね?一緒に帰ろ?」
『え、もちろん!』
「話したいこともあるし、としちゃんちょっと眠いからねまぁす」
あとから加えられた言葉に完全なフラグを立てられ大人しく席に戻る
「なまえさん、もしかして振られます?」
『はぁ?小坂…本当に…はぁ…』
返す言葉も見つからずため息混じりで机に伏せると頭を撫でられる
「菜緒が慰めてあげます、史帆さんに振られたら私にしません?」
腕の隙間から彼女を見ればなんとも可愛らしく首を傾げて真っ直ぐにいちにんしょうを見る
『小坂は可愛いねえ…でも振られても史帆がいいや』
何この発言我ながら史帆にハマり過ぎだなとハニカムと菜緒は「先輩には適わんなぁ」と耳を赤くて席を立って同期が集まる所に行ってしまった
─
──
───
ダラダラと帰り支度していると上から声をかけられる
「なまえ、準備終わった?」
『すぐ、すぐ行く、ちょっと待って』
気付けばここにいるのはいちにんしょうと史帆だけで私が動く音だけが室内に響く
「ここでもいいか、ねえなまえ」
やばい、そう思った時には遅くて次の言葉が発せられる
「ししと、別れませんか?」
体感時間にして数時間、俯いたまま体が動かなくて必死に出した言葉が
『じゃあ、もう一度いちにんしょうと付き合ってくれませんか?』
「え…」
変な事言った自覚はあって慌てて顔を上げると涙を堪えて顔を真っ赤にした彼女がいた
『会えなくても、気持ちは変わらなかった、他のメンバーと撮影しても一緒にいても史帆の事ばかり考えてた、別れたいなら別れる、けどいちにんしょうはまだ好きだからまた告白する、いや、させてください』
「なまえはこさかな好きなんだと思ってた」
『それはない!』
涙を零しながら言われた言葉に思わず強く否定する
手を伸ばして彼女の顔を優しく拭う
「だって最近ずっとこさかなだし、今日もこさかなにデレデレしてた」
『それは仕事だし…てかデレデレしてないよ、あいつずっとからかってくるし…』
「でもこさかななまえの事好きじゃん」
『え、そうなの?いや、でもいちにんしょうが好きなの史帆だけだし…ごめん、不安にさせないようにと思ってはいたけど気付かなかった』
涙が収まってようやく目が合ったと思ったら可愛く上目遣いで「ししのこと好き?」なんて聞いてくるから『史帆しか好きじゃない』と返せばへにゃっとした笑顔で「私もなまえしか好きじゃない」と抱きついてきた
こんな可愛い彼女を手放すわけがない。
久々に会えたのだ、普段はさせてくれないけど今日は許してもらおう
名前を呼べば「ん?」と素直に顔を上げる彼女に優しくキスをする
さらに顔を赤くて「ずるい!」とよく分からない反論を聞き流しながら手を差し出す
『帰ろ、明日オフだよね?久しぶりだし家行っていい?』
「いいけど、散らかってるかも」
照れながらも手をとってくれるあたりやっぱり可愛いなぁと思いつつ
『ベッドの上だけあけてくれればいいよ』と軽く冗談を言えば
小声で「えっち…」と睨んできた彼女の手に力がこもったのをいちにんしょうは見逃さなかった
───
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