<齊藤BD>
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外番組の収録が終わり早々に片付けて帰ろうとした時、好意を寄せている彼女を見つけて声をかける。
『あ、ねぇ京子、誕生日おめでとう』
「えっ、覚えててくれたの!?」
『そりゃ、覚えてるでしょ馬鹿にしてる?』
「いやいやいや、だって他のメンバーの誕生日祝ってんの見た事ないんだけど?!」
『祝ってるわ、皆でおめでとーってしてるだろ』
「あれは“皆で“であってなまえが祝ってるわけじゃないでしょ、忘れてるの知ってるよ」
やっぱりお見通しだったのか。
ただ、人の誕生日を覚えるのが苦手で誕生日が過ぎた後にプレゼントを渡す事も多い。というかその方が圧倒的だったりする。
メンバー全員の誕生日覚えてろっていう方が無理だと思う。
ただ、好きな人となれば話は別だ。
嫌でも忘れない。そしてプレゼントも用意してある。
ただ、こんなに驚かれては渡すのもなんだが恥ずかしくなる。
やっぱり後日にしようかな…なんて考えていれば京子が覗き込むように下から見上げる。
「大丈夫?」
『ぅわっ、大丈夫だよ、なに』
「お腹空いたからご飯いこって言ったんだけど?」
『え、いいけど、いいの?誕生日だよ?』
「いいの!私が好きでそうしたいから、それに…今日中に言ってほしいこともあるし」
『え、なに?聞こえなかった』
「なんでもない!早く行こ!もちろんなまえの奢りだからね!」
『誕生日だからって高すぎるのはなしね!』
結局少し高めの焼肉屋さんに入り個室でなんだか緊張がはしる。
掘りごたつになっていて足を揺らせば相手の足に触れそうで何時にもなく揃えて座ってしまう。
「緊張し過ぎじゃない?」なんて薄い灯りに照らされて笑う京子。
軽く今日の反省なんかもしながらご飯を食べお腹もいっぱいになってきた時、なんだか今しかチャンスがないように思えて口を開く。
『誕生日、』
「ん?ぁ、ありがとう、祝ってくれて嬉しい」
『そうじゃなくて、覚えてたのさ』
きょとんとした表情で見つめてくる。
こういう表情一つ一つが全部自分の中に刺さるのを感じる。
好きなんだ、と改めて意識させられる。
『だから、その…』
「ん?」と首を傾げ口角を上げる彼女。
それと同時に彼女の足がいちにんしょうの足に触れる。
『好き、だから、なんだよ、他のメンバーとは違って』
「違うってなにが?」
『だからさ、好きの気持ちというか』
「分かるように言って」
足を軽く蹴られる。
分かってるだろ、絶対。
余裕な笑みも浮かべる彼女になんだか負けた気持ちになって顔を隠すように前髪をぐしゃぐしゃと掻き乱す。
足の気配が消えたと思えば隣に座って「ねえ、どういう違い?」なんて上目遣いでくるもんだから、流石に押されっぱなしは癪に障る、そう思ってそのまま肩を押し上半身だけ押し倒す形になる。
『愛してる、とかそういう事なんだけど、まだわかんない?』
「ぇ、わかっ…た、から、どいてくれる?」
『さっきまでの余裕はどこにいった?』
「こんなことするキャラじゃなくない…?愛してる、とか、言わないじゃん」
顔を赤くして隠すようにいちにんしょうの肩を押し返す。
ふと我に返り自分まで恥ずかしくなり体制を整えて『帰るか』と準備をする。お会計をして「ご馳走様、ありがとう」と言われ『誕生日だからね』と笑って返す。
店を出て駅までの途中京子は一言も喋らなかった。
もうすぐ駅に着くというところで京子に手首を掴まれる。
「さっきのさ」
『うん?』
「好きとかそういうの、本当のやつ?」
『あぁ…本当だよ、好きだよずっと前から』
「私も、って言ったらどうする?」
『誕生日プレゼント渡す』
「それは私もって言わなくても頂戴よ」
鞄からプレゼントとして用意したネックレスの箱を渡す。
『そういわないと素直になれないのがいちにんしょうの好きな人なんだよね』
「…よく分かってんじゃん」
『好きなんだけど、付き合ってくれますか?』
「私でよければ」
京子がいちにんしょうの両手を引っ張り少しバランスが崩れ前屈みになる。
柔らかいものが唇に触れ、京子は「めっちゃいい誕生日になった」と顔を赤くして笑った。
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