キミのコトだから<飛鳥>
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奈々未を見送りに行ったなまえが戻るまで何をしたらいいのか分からなくて、そもそも昨日の今日でここに来てしまってよかったのかと悩む。
戻ってくる前にやっぱり私も帰ると追いかけようか、でもそうしたら多分、いや絶対もうここには来れなくなってしまう。
なまえに恋人がいる事は知っていた。
私の好意に気付いてなまえも私の事が好きでいながらずっと付き合っているのだと思っていた。
私といる時は絶対にその人の話はしないし電話もメールもしない、そして絶対に会わせてはくれない。
そんな意味のない事を考えていると玄関から物音がしてそのまま洗面台に直行した音が聞こえる。
『ただいま、おまたせ』
「ぁ、ううん、奈々未何か用事だったの?」
『普通に喋りに来ただけだよ、久しぶりに会ったけどあんまり変わらないもんだね』
「ふぅん、そっか」
『あ、奈々未が今日はウチでご飯食べてこいって、何かリクエストある?』
「え、あ、考えとく」
『ん、はいどうぞ』
目の前に私専用のコップにオレンジジュース。
私が過去になまえと同じ物が欲しくてわがままを言った。
同じ物はもう売ってなくて新しくお揃いで買ってもらったコップだ。
「彼女さん元気…?」
『ぇ…あ、うん、元気』
「なまえの好きな人ってその人?」
『…本当に好きな人と付き合えてる人って極僅かだと思わない?』
「どういう意味」
『まいちゃん…その、彼女の事も好きだけど生涯大切にしたい子は別にいるよ』
「なまえは私には嘘つかないよね」
『飛鳥ちゃんだからね』
この日初めてなまえの彼女について声にした。はぐらされると思っていたのに、その瞳には嘘はなかった。
ねえ、私の事好き?その大切にしたい子は私?
思っていても口には出せない、それは言うとなまえが困る事をわかっているから。
『昨日、ごめんね、嫌な思いしたでしょ』
「そ、んな、ことない…」
『飛鳥ちゃんは嘘つくの下手だね〜』
「嘘じゃない…!」
『変に干渉してごめんね』
「もう来んなって言われてるのかと思って」
『ん?なんで?』
「だっ…て、私に、好きな人がいたらなまえは一緒に居てくれなくなると思って…」
『言わないよ、言えるわけない』
「なんで?」
『そんな事言ったら奈々未に何されるかわかんないよ〜』
冗談ぽく笑いながら言うなまえは私から目を逸らす。
ねぇ、本当は?私の事好きだからじゃないの?
「そうだね」なんて笑い返して鞄からノートを取り出した。