キミのコトだから<飛鳥>
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チャイムを鳴らすとすぐに鍵があいて中から『どうぞ』と声がする。
「よ、久しぶり」
『おー、あんま変わんないね』
「なまえもね、と、お邪魔します」
高校を卒業して以来あまり顔を合わせなくともあまり懐かしさがなかったのは時々飛鳥がなまえの話をするからだ。
昨日、家に帰ると飛鳥が珍しく家のリビングで丸まっていた。
原因があるとすればこいつなのだろうと思う。
飛鳥が小学生の時家に当時も仲の良かった友達を呼んだことがあった。
勉強会と称して試験前や受験が差しかかるにつれ回数は増えた。
きっかけがなんだったのか分からないけど飛鳥が急に「みょうじさんってどんな人」と聞いてきたのだ。
「変なやつだけど良い奴だよ」と答えるとやっぱりそうなんだ。とその日以来リビングにちょいちょい来てはなまえに擦り寄るようになった。
コーヒーを持ってきて私の前に置く。
そして笑いながらデスクの椅子に腰をかける。
『話っていうのは、愛しい妹君の事?』
「わかってるね〜」
『だから昨日送るって言ったのになぁ』
「昨日飛鳥に何か言ったの?」
『それがすぐ帰っちゃったんだよ、奈々未からおつかいあったんだ~って』
「おつかいなんて頼んでないけど」
『やっぱり嘘だったか…!』
「そうじゃないでしょ、なまえ」
『んー』と少し唸ってから俯いて『好きな人いないのって聞いた』とぽつりと言った。そして何があったのか話してくれた。
「原因あるじゃん」
『やっぱりいちにんしょうが悪い…?』
「どっちもどっちだけど」
『だってまいちゃんにさぁ、飛鳥はそういう子いないのって』
「あぁ、例のセフレ」
『セッ…!一応付き合ってるんだけど?』
「じゃあ、飛鳥に言った好きな人ってまいやんの事…?」
目を見て聞けばスっと視線を逸らされ少しの沈黙のあと『そうだよ』と答えた。
思わず笑いが込み上げてくる。
「なまえ嘘つくの下手すぎ」
『…まいちゃんの事好きだもん』
「嘘をつく時視線逸らすのやめた方がいいよ」
「まあ、誰を好きでもいいけどさウチの飛鳥を泣かせたら許さないよ」
『うわ、出たシスコン』
「飛鳥の好きな人気付いてるんでしょ」
『…知らないよ』
「ほら、また視線逸らす」
否定しようとするなまえの言葉に被ってチャイムが鳴る。
『あ、こんな時間か、飛鳥だわ』と立ち上がり玄関に向かう。
『おかえり、飛鳥ちゃん』
「ん、誰か来てるの」
『うん、あなたのお姉様が』
「奈々未…?」
リビングから顔を出して手を軽く振る。
「私もう帰るし、飛鳥あんまり遅くならないようにね。」
『ちゃんと送っていくよ』
「子供扱いしないでくれる?」
じゃあね、と飛鳥の頭を撫でる。
『見送ってくるから飛鳥ちゃん待ってて』と飛鳥をリビングに通して2人でエレベーターに乗り込む。
「2人は似た者同士だね」
『なんの話?』
「飛鳥となまえ」
『いちにんしょうが子供って言いたいの?』
「いや、それもあるけど、飛鳥が大人過ぎるかな」
おい、と軽く肩をどつかれる。
エレベーターが開いた時「今日は特別に20時までに帰してくれたらいいよ、晩御飯食べさせてあげて」
『はあ…?急に?』
「頼んだよ」と肩をどつき返す。