キミのコトだから<飛鳥>
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学校帰りどこにも寄らずにまっすぐいつもの所に行ってチャイムを鳴らす。
中からガタガタと物音がして暫くすると解錠音がして扉が開く。
『ぉ、飛鳥ちゃん、おかえり』
「… なまえ寝てた?」
『寝てないよ、仕事してた、本当に』
「ヨダレの跡ついてんぞ」
『へっ、うそ…!?』
「嘘だバカ」
『ちょっと飛鳥ちゃんからかわないでよ』
部屋に上がった時なんか違和感を感じる。
なまえの匂いではない、僅かに他の人の匂い。
「誰か来てたの?」
『寝てたからわかんない』
「やっぱり寝てたんじゃん」
『はは、飛鳥ちゃんには適わないなあ』
「なまえじゃない人の匂いがする」
『ん?あー、昼までいたのかなあ』
「…友達?」
『そんなところ』
これ以上は聞いちゃいけない気がして深くは追及できなかった。
なまえは私が帰ったあと誰かを家に入れてるのを知っていたから。
ナニをしてるのかも分かっていた。
『飛鳥ちゃんお菓子あるよ、食べる?』
「いらない」
『そっか、美味しいのに残念』とキッチンでくれるはずだったお菓子を食べて私にオレンジジュースを、自分にはブラックコーヒーを持って戻ってくる。
いつもならそのままデスクに向かうのに何故か目の前に座って私を見る。
「なに…?」
『たまにはお話しようかなと思って』
「ふーん」
『飛鳥ちゃんはさ、好きな子とかいないの』
「……いない」
『あ、嘘、今の間は絶対いるじゃん!』
「いないって」
『奈々未には内緒にしてあげるから言ってごらん〜?』
「いないよ…!なまえだって、いないくせに」
『いるよ』
「え……あ、へぇ…そう、なんだ」
『飛鳥ちゃん?』
「ごめん、もう今日は帰ろうかな」
『来たばっかりだよ?』
「奈々未におつかい頼まれてたんだった」
『じゃあ送るよ』
「いらない…!!」
逃げるように顔を伏せて玄関を出る。
歩きながらふと振り返ればベランダからなまえが見える。
おつかいなんてない。あそこにいれば自分が傷つくのが分かったから逃げ出した。
好きな人がいないなんてのも嘘だ。
私はずっとなまえが好きだ。