encounter<加藤>
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
急いで向かった公園には既に加藤さんが待っていて、いつも待たせてばかりだななんて思いながら深呼吸して『おまたせ』と駆け寄る。
「わ、走ったの?全然ゆっくりでよかったのに」
ありがとう、ごめんねと目を細めて笑う彼女は今まで以上に可愛く見えた。
菜緒が変なこと言うから無駄に意識してしまう。
「スーパー行ってもいいですか?」
『あぁ、もちろん、この近くってスーパーありましたっけ』
「お家通り過ぎた所なんだけど、先にお家で待ってても大丈夫だよ!」
『流石にそれは、荷物持ちますよ』
ありがとう、こっちだよと手を引かれそのまま包み込まれる。
今まで何度か繋いだ事はあったが、それは全部お酒が入っていたからでお互い素面で触れ合うのはほぼ初めてだった。
加藤さんは案の定耳まで赤くして、恥ずかしいならしなきゃいいのに、といちにんしょうまで顔が熱くなる。
普段はお別れするはずの家を通り過ぎて少し歩けばスーパーがあって自動ドアを抜けてカゴをとりながら「何食べたい?」と振り返る。
『なんでもいいの?』
「としちゃん的おすすめはオムライス!」
『じゃあオムライスで』
「え?本当?オムライス好き?」
目をキラつかせながら聞いてくるのが可笑しくて『好きだよ』とカゴを奪い取れば急に顔を抑えて「なにそれずるい…」とよく分からんことを言っていた。
2人での買い物は新鮮で普段自炊なんて全くしないいちにんしょうからしてみればとても頼もしく見えた。
会計の時財布を出そうとすれば加藤さんは頑なにここはししが出す!ときかなかったのでありがとうといい、今度何か奢ってあげようと袋に詰めてスーパーを出る。
『加藤さんって』
「そろそろ、やめません?」
『え、』
「加藤さん呼び!あんまり好きじゃなくて」
『としさん、とか?』
「それ、こさかなのやつ」
『えー、と?』
「なまえって呼びたい」
『急に呼ばれると恥ずかしいですね』
「敬語も禁止!」
『確かに、同い年だし、…史帆がそれでいいなら』
「うん…!!としちゃんオムライス楽しみにしてて!!」
るんるんで繋がれた手を振りご機嫌な加藤さん、改めて史帆はやっぱり綺麗でこんな人に好きになって貰えたら最高に幸せなんだろうなと見とれていた。
──
「ちょっと汚いかもだけど、どうぞ」
『お邪魔します』
流石に好きな人の部屋となると少し緊張してぎこちなくなる。
「荷物ありがとう、重かったよね」
『いや全然、こちらこそお金払ってもらっちゃったし』
「ししが食べたいものばっかりだったから…」
「適当に座ってて今お茶出すね!」
『おかまいなく~…』
と言いつつも辺りをキョロキョロしてしまう
「そんなに見られると恥ずかしいから…」
『女の子の部屋とか初めてだから新鮮で』
「そうなの?」
『あんまり友達も多くないし行く用事もないからね』
「へぇ、なまえの部屋は?」
『うちは本当に何もないよ、菜緒は何回か来たことあるけど、いつも殺風景やなって言われる』
「今度ししも行きたいな?」
『いいけど本当に何もないよ』
と笑っていたら
「隣になまえがいてくれたらそれでいいよ」
急に真面目な声でそんな事言われてどういう意味か聞こうとした時「なんてね、今から作ってくるから寛いでていいよ」とキッチンに戻っていく。
勘違いしそうになった自分が恥ずかしくて貰ったお茶を一気に飲みほし一息つくとさっき昼寝しそびれた分なのか急に眠気に襲われた。