encounter<加藤>
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大学ですれ違えば軽く会釈をし
毎週水曜日にはコンビニで挨拶を交し
月に2回、金曜日には二人で公園でお酒を飲む
そして、日常になったのは加藤さんとのLINEだった。
毎朝おはようからはじまり、お昼ご飯やその日にあった些細な出来事を報告しておやすみ、またねを繰り返している。
お昼ご飯にうどんを啜っていれば「ここ、いいですか?」と声を掛けられる。
他にもたくさん席があるはずなのに聞き覚えのある声の正体を確認すれば彼女で『どうぞ』と一言
「さっきうどんの画像きたからここかなって思ったら当たりでした」といつもと変わらぬ笑顔で腰をかける。
『学食あんまりこないんですか?』
「お弁当あるから、みょうじさんはいつもここにいるの?」
『うどん、コスパいいので。お弁当手作り?加藤さんの』
「一応、あんまり料理得意じゃないんだけどね」
広げられた中身を見れば綺麗な彩りで不得意な人のお弁当ではない。
『めっちゃ美味しそう…』と思わず口に出してしまうほどのクオリティで「恥ずかしいからあんまり見ないで」と手で隠されてしまった。
『料理苦手なので羨ましいですよ、本当!今度食べたいくらい!』
「じゃあししの家、来る?」
また、この目だ。
真っ直ぐで曇りない瞳でじっと見つめられる。
恥ずかしくなって目を逸らして『あんまりそういうこと言うと勘違いされますよ』と言えばよく分かってない表情で
「今日バイト休みですよね?一緒にご飯どう、かな?」と再度誘われる。
『喜んで…』
美人にここまで言われて断れるやつがいるわけない。
授業が終わる頃連絡するねと言われ、いちにんしょうは一時帰宅した。
昼寝でもするかとゴロゴロしていると菜緒から飲みの誘いがきて断れば着信が鳴る。
「菜緒の誘い断るとか何考えてるん」
『第一声それかよ、いちにんしょうにだって予定あるから』
「当ててやろか?」
「そやなぁ、としさんやろ?」
『分かってんなら深堀すんな』
「友達の恋愛応援させてくれてもええやん、もしかして付き合ってんの?」
『そういうんじゃないって、ただの、友達だから』
「なまえもいい加減素直になった方がいいって、としさんめっちゃモテんで?」
『素直って…そりゃあんな綺麗ならモテるでしょ、てかさっきからとしさんってなに?』
「くみさんがとしちゃんって呼んでるから菜緒もとしさんって呼んでいい?って聞いたらいいよ~って」
『ふーん』
「あからさまに嫉妬するやん、ほんまおもろいななまえは」
電話越しに笑う菜緒に『うるさいわ、もう切るから』と終わらせようとすれば「としさん気になる人おんねんて、最近振られたやつから聞いたんよ」
『告白されてたんだ』と思わず反応すればにやにやしてるのが目に浮かぶ声で「そりゃモテるからな。気になる?」と煽られる。
本当に生意気だなと思いつつ気になるし、いちにんしょうにとってはただの友達ではないのは紛れもなく事実なのだ。
『はぁ…本当に、嫌な性格してるな』
「認めないなまえがアホなだけちゃうん?」
本当毒舌過ぎないかこいつってくらい馬鹿にされながら詳細を聞けば昨日加藤さんに告白した奴が「気になる人がいる」と断られたらしい。
ただ、前まではごめんなさいだったのが最近になって気になる人を出してきたというので一部界隈では付き合ってる人がいるのではと噂になっているらしい。
「菜緒の勘が正しければその気になる人っていうのは…」
「自分で考えてや」
と強制的に切られて考えるも何も加藤さんの交友関係なんて知るか!と携帯を睨みつける。
タイミングよくなった通知音は加藤さんでもうそんな時間か、靴を履き待ち合わせの公園に向かう。