encounter<加藤>
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金曜日の夜は疲れきったサラリーマンやOLが多い。
8割はお酒を買っていく。
あと5分で23時。
このまま客が来なければすぐに帰ろう。
なんとなく仕事してるように見えるようにレジ周りを整える。
〜♪
来店音から反射的にいらっしゃいませと声を出せば今日は来るはずがない彼女の姿で目が合えば軽く会釈をされる。
今日金曜だよな、と曜日確認。
うん、金曜日だ。
「こんばんは…」
とレジに持ってきたのはいつものヨーグルトとおにぎりではなくアルコール3%の缶チューハイ2本だった。
『いらっしゃいませ、こんばんは』
レジを通せば“確認ボタンをお願いします”と機械音が流れ
『ボタンのタッチお願いします』
と促せば
「何時に終わりますか?」と画面に触れながら加藤さんがこちらを見つめる。
『あ、もう終わりです、加藤さんが最後のお客さん…』
「私が最後のお客さん…みょうじさんが良ければ一緒にのみませんか?」
ふにゃっと微笑めば突然の誘い『のみます』
考えるより先に口が動いていて
『すぐ行きます、あ、近くに公園ありますよね、そこで!』
「ありがとうございます、待ってる」
会計を終えて加藤さんの後ろ姿を見送ってバックヤードにいる先輩に声をかける。
走って公園に行けば加藤さんはブランコに乗っていて
楽しそうに、でも少し悲しそうな目をしていて一瞬で吸い込まれるような…
息を整えて驚かせないように『おまたせ』と声を出せばこちらを見て「本当にすぐ来てくれた」と笑う
二人でブランコに揺れながらさっき加藤さんが買っていた缶チューハイを1つ貰う
『珍しいですね、金曜日に来るの』
「この間、バイトしてるって言ってたから、今日もいるかなと思って」
『大体水曜と週末ははいってます』
「水曜日、いつもいるって思ってました」
『…水曜日いつも来るなって思ってました』
お互いに意識していた事がわかって沈黙が流れる
なんだか恥ずかしくてお酒を半分くらい一気に流し込む
「また、誘ってもいいですか?」
ビックリして加藤さんの方を向けば暗闇の公園のライトでも分かるくらい顔を赤くして「迷惑ですか?」と首を傾げる。
あ、やば、これは…
『…可愛い』
「えぇ…!?え?!」
『え!?違う!違くないけど…酔ってるのかなぁ~あは、ははは』
笑って誤魔化そうとして、目線を下におろせば隣でブランコに乗っていたはずの加藤さんが目の前に立っていて両手で顔を包まれる
「ねぇ、しし可愛い?」
『可愛い、です』
「また、誘っていい?」
『もちろん』
満足したような笑みを浮かべて今度は自分自身の顔を抑えて「はずかし~」と言いながらお酒に口をつける。
その後も残りのお酒を飲みながら軽く話をして加藤さんが飲みきったタイミングで『そろそろ帰りましょうか』と立ち上がった。
『また家まで送りますよ』
「ふふ、お願いします」
加藤さんは酔ってるのかいちにんしょうの手を握り腕を組む。
いちにんしょうは手を握り返す事も出来ず平然を装って歩く
「もうついちゃった」
「じゃあ、また」
するりと腕が解かれ小さく手を振る
『あの、』
「ん?」
『連絡先教えて貰っていいですか?』
その日いちにんしょうの携帯に加藤さんの連絡先が追加された。