encounter<加藤>
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致した次の日の史帆はよく眠る。
昨日話したデートの約束の時間なんてとうに過ぎていて起こすべきか、でもこの寝顔をずっと見ていたい、でももうお昼だし…とベッド脇で少し前に起きてたいちにんしょうは恋人の寝顔を見ながら真剣悩む。
毛布の中から少し冷たい手がいちにんしょうの腕に触れる。
『、ぁ、起きた…?』
「ん…おはよなまえ…」
『おはよう、もうお昼になってて起こせなくてごめん…』
「あちゃー…ししが沢山寝ちゃったから…」
『今日、楽しみにしてたよね、ごめん…』
「楽しみだったけど、今、朝一でなまえの顔見れてるのは凄い幸せ…」
寝起きでいつも以上にふにゃっと笑う彼女が可愛くて頭を撫でると猫のようにすりすりと目を細めて気持ち良さそうにしている。
「ん、ふふ、くすぐったい」
『猫みたいだよ、可愛い』
「にゃ〜」
『可愛い猫だね』
「ねぇ、今日どうする?おでかけ…」
『あー、遠くは行けないけど駅前とかで買い物とか行く?』
「!!行く!…あ、一回おうち帰って着替えてもいい?」
『もちろん、いちにんしょうも準備するし』
「じゃあ起きる〜」
両手を上に伸ばして「起こして」と可愛く言われると従わないわけがない。
ベッドに乗って上体を起こしてそのまま抱きしめると驚いた声と幸せそうに笑う彼女の声。
『昨日はありがとう、これからはちゃんと話すから、隠し事しないから不安にさせてごめんね』
「ちょっと心配はしたけどなまえのこと信じてるし、大好きだから、大丈夫だよ、これからも一緒にいてね」
『こちらこそ、隣にいてください』
2人で抱き合いながら笑って史帆は身なりを軽く整えて自宅に戻った。
改めて14時に駅前集合と約束して、それまでに自分の準備をする。
せっかくのデートだし、と普段は着ない服をクローゼットから取り出して合わせて史帆が好きそうな物を選んでいく。
いつになくそわそわしてしまって、家は近いのに駅前集合とか、少し緊張して早めに家を出てしまう。
13時半、かなり早く着いてしまった…。
でも彼女を待つのは嫌いではない、むしろ前は待たせてばかりだったのだからたまには先に着いていてもいいよね…。
ボーッと行き交う人を見ていると携帯が鳴り、見れば史帆からで何かあったのかとすぐに出る。
『も、もしもし?何かあったの?』
「え、何もないけどもうすぐ着くけどもう着いたかな〜って」
『あぁ、そっか、なんか事故か巻き込まれたかと思った、少し早めに着いちゃったから待ってるよ』
「え、まだ15分も前なのに待ってるの?!すぐ行く!」
『そんな焦らなくていいから!ただ、楽しみで早く着いちゃっただけだから…』
「…!嬉しい、ししも早く会いたいから急ぐ…」
『いつも待たせてばかりだったから、たまには待つのもいいかなって、とりあえず焦らず来てよ』
「ふふ、もうなまえの事見つけたよ」
『え、うそ、どこ』
きょろきょろと辺りを見渡すと一瞬でわかった。
髪の毛は巻いていて普段とは違う、より可愛さが増していて声が出ない、視線が泳ぐ。
「おまたせ、寒かったよね…?」
『いや、全然、それは平気なんだけど…』
「デートだし、少し気合い入れてみた…どうかな…」
『めちゃくちゃ可愛くて直視出来ない…』
「なまえが見てくれなきゃ意味ないよ〜」
『めっちゃ見る…!でも、改めて、本当に可愛い』
「へへ、あんまり褒められると照れるね…なまえもししの好きそうな服選んだの、似合ってるよ」
お互いに照れながらぎこちなく手を繋ぐ。
『お腹すいたよね、少し遅いけどお昼食べようか』
「賛成!何にする?」
『何か食べたいものある?』
「なまえ…?」
後ろから聞いたことのある声がして振り向くとみささんがいて、同時に史帆と繋いだ手に力が入った。
それに応えてくれるように史帆の手にも力がこもる。
『…美彩さん』
「見覚えのある後ろ姿だったからつい声かけちゃった、……お邪魔だったよね…?」
『ぁ、いや、その』
「ししなら大丈夫だよ」
『、ごめんなさい今から彼女とデートでっ!失礼します、衛藤センパイ』
逃げるように、でもハッキリと美彩さんの目を見て言いきって史帆の手を引く。
少し悲しそうな顔をした美彩さんを慰めるのはいちにんしょうじゃない。
「なまえ…!」
『うわ、あ、ごめん…』
「あの人がミサセンパイ?」
『うん、ここで会うと思わなかった』
「よかったの、あんな言い方して」
『史帆が、大丈夫って言ってくれたから、なんか自然に声に出てた』
あはは、と少し笑ってみると史帆が嫌な顔をする。
その顔はこの1週間で度々していた表情で空いてる手で頬に触れる。
『そんな顔しないでよ』
「大丈夫って言ったのは2人で話してきていいよって、そういう信頼があっての意味だよ…」
『でも』
「なまえ…!自分にも嘘ついてほしくない…しし、ここで待ってるから」
『…わかった』
史帆の手を離して来た道を走る。
多分、まだ近くにいる、慰めるのがいちにんしょうじゃなんだとしたら、あんな顔もいちにんしょう以外に見せるべきだ。
別れたすぐ近くのベンチに座っていた美彩さんを見つけて慌てて声をかける。