encounter<加藤>
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いつもと同じコンビニバイト。
この日はやけに寒くて、暖かい飲み物がよく売れた。
上がりまであと数十分。
今日は史帆とも会う約束をしていない。
目の前にホットのストレートティーが置かれる。
『いらっしゃ、いませ…』
冷静を保ちながらレジを打つ。
気付かれていませんように。
『151円ですテープでよろしいですか?』
「はい」
『丁度頂戴致します、ありがとうございました』
頼む、そのまま出ていってくれ。
「あの、なまえ…だよね…?」
『え、あ、はい』
「覚えてる…?高校の時、先輩だった…!」
『あぁ、ええっと…』
忘れるわけがない、ミサ先輩。
あの瞳、忘れたくても忘れることが出来なかった思い出。
「ここでバイトしてるんだね、何時まで?」
『あぁ、今日ちょっと遅くて…』
「そっか、少し話でもと思ったんだけど…」
よし、逃げ切れる。
バックヤードから「あ、みょうじもういいよ、勤怠押しとくわ、たまにはゆっくり休め!」といつもなら有り得ない台詞によって逃げ道を塞がれる。
「外で待っててもいいかな…?」
『…すぐ、行きますね』
こんな形で先輩と会うなんて思いもしなかった。
でも、今は何もない、何もしようがない、いちにんしょうには史帆がいる。
それでも、肌寒くなったこの夜を1人待たせるのは気が引ける。
『おまたせしました』
「あ、早かったね、はいこれ」
手に渡されたのはホットコーヒー。
そこの自販機で買ったものだ。
「暖まる用に買ったけど飲めないからあげる、ぬるいかもしれないけど」
『あ、りがとうございます…』
「どこか入る?家近くならお邪魔したい、かも?なんて」
『家は…!!ちょっと散らかってて、ごめんなさい』
「そう、じゃあ少し歩きながら話そっか」
2人で歩き出しミサ先輩が話し出す。
今は大学を卒業して就職していること、それがこの近辺であること。
たまに寄っていたコンビニにたまたまいちにんしょうがいて声をかけてしまった事。
「なまえは何か変化とかないの」
『特には…』
「彼女とかできた、とか」
『…!それは、まあ』
「そっか、いるんだ…彼女は私たちのこと知ってるの?」
『知ってます』
「なら、都合いいね」
意味がわからなくてミサ先輩の方を向くと抱きつかれる。
この状況はおかしい、やばい。
『美彩さん…!』
「あれから少し経つけどなまえは更に素敵になったね、私たち、やりな」
『美彩…先輩っ…!!よくないよ、こういうの…』
ゆっくり先輩の腕を離すとあの綺麗な瞳で見つめられる。
「好きだって言ったら…私のところに来てくれる?」
『…あの頃、付き合ってたわけじゃないいちにんしょう達がやりなおすとかないですよ』
静かに下を向く先輩に『送ります』と言いまた歩きはじめた。