encounter<加藤>
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チャイムを押してみたものの出ない。
2回3回と鳴らすけどやっぱり出なくて、中で倒れてるのかなと玄関の前でウロウロしていると中からぶつかったような物音がした。
『史帆…?』
「…あれ、なまえ……?」
『大丈夫?!』
「ごめんなさい…今あけるね…」
消えそうな微かな声がして、数分後鍵の開く音がする。
ゆっくり扉を開けると玄関でだらんと座り込んでる史帆がいた。
『大丈夫…じゃないよね?』
「…ごめんなさい」
『開けてくれてありがとう、辛いよねベッド戻れる?』
小さく首を振りながらごめんなさいと呟く。
『謝らないよ』と頭を撫で持ってきた荷物を一先ず玄関に置く。
史帆の体を自分に倒してそのまま持ち上げる。
「…なまえ?」
『うん、なまえだよ』
「ふふ、なんか良い夢見てる…」
ゆっくりベッドに寝かせて買ってきた物を取りに行く。
『冷蔵庫あけまーす』と一応断ってゼリー、飲み物を冷やす。
史帆の額に触れると汗ばんでいて少し熱く感じる。
勝手に物色するのはどうかとも思ったがそんなこと言ってられないのでタオルを濡らして軽く汗を拭いて冷えピタを貼ってしばらく様子を見ているうちに眠気に襲われてウトウトとする。
「ん…え、なまえ…?」
『…!史帆、大丈夫?』
「うん、あの、なんでいるの?」
うたた寝していると史帆が起きてベッドの振動で慌てて目が覚める。
不思議そうな顔をしている史帆にこれまでの経緯を話す。
「久美が…携帯…どこやったんだっけ…」
『そこにあるやつでは…?』
「ほんとだ、あちゃー電池切れだ…」
「充電充電…」と言いながら充電器に挿しいちにんしょうの方を見る。
『熱とか大丈夫?何か食べれそう?』
「うん、大丈夫、ほら」
手を掴まれ頬に軽くあてられる。
さっきよりもだいぶ熱は引いたみたいだったけどまだ少し熱い気がする。
『まだ少し熱いね』と言えば「そりゃあ…なまえの手が冷たいんだよ…」と力なく笑った。
『ゼリーとかあるよ、少し食べて薬飲んで寝た方がいいよ』と立ち上がろうとすると「あ、のさ、しし、汗かいて臭いかもだからちょっとシャワーいきたいんだけど」と恥ずかしそうに話した。
『いや、臭くないし、そんなのダメに決まってるじゃん、濡れタオル持ってくるから拭いてあげる』
「それは!!いい、大丈夫!!恥ずかしいから…!!」
とんでもないことを言ったという事に気付いていちにんしょうまで恥ずかしくなる。
『ごめん、そうだよね、とりあえず濡れタオル持ってくるから着替えた方がいいよ』
「ううん…ありがとう」
濡れタオルを用意して史帆に渡し部屋を出て扉を閉める。
冷蔵庫からゼリーを何種類か取り出して部屋の前に立つ。
『あのさ』
「…覗かないでね」
『覗かないよ!おふざけじゃなくて』
「うん…」
『この間の好きって』
「忘れてって言ったじゃん、ししはもう覚えてませ~ん」
『忘れないから、史帆も覚えといてよ、いちにんしょうも史帆が好きだってこと…』
振り絞った声が史帆に届いたのか中から返事がなくて『史帆?』と声をかけると「まだあけないで」と涙ぐむ声が聞こえる。
『え、大丈夫?体調悪くなった?』
「そうじゃないけど」
『着替えは?手伝わなくて大丈夫?』
「もう着てる」
『じゃあ入っていい…?』
「今のしし可愛くないからダメ」
『それは、見てから判断するよ』
扉をあけると頑張ってるけど涙を堪えきれてない史帆の姿がある。
『なんだ、可愛いじゃん』と笑うと「普段そういうこと言わないじゃん」と更に泣かせてしまう。
『ひとつ、質問していい?』
「なに?」
『なんでいちにんしょうなの』
「それは、秘密」
『え、なん、なんで?!』
「それよりゼリー食べたい」
『話そらさないでよ!』
「ゼリー!ゼリー!」
仕方なくゼリーをあげると目をキラキラさせて「これ、ししの!?」と笑った。
美味しそうにゼリーを食べる姿が可愛くて『かわいい』と思わず口に出せば「今日のなまえ優しすぎる」と顔を赤くする。