encounter<加藤>
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チャイムが鳴る。
朝からなんだと寝起きで『はい』と出れば「なにしとん、はよあけてや」といつもの菜緒
玄関をあければ「おはよう、ひっどい顔やんな、洗った方がええで」とずかずかと入ってくる。
言われた通り眠気覚ましも含め顔を洗って戻ると菜緒は我が物顔で寛いでいる。
『朝から何』
「もう昼過ぎやし、電話したのに出ないから死んでんのかと思ったわ」
『ん、あれ、充電切れてるわ』
「例の件どうなった?」
『あぁ、楽しみにしてるって言ってた』
「ほんま?え、めっちゃ嬉しい流石なまえ!」
『まさかそれ聞きに来たの』
「それ以外何があんの」
『行動力ヤバいな』
「まあ、それは冗談やけどさ、なんかあったやろ」
分かってて聞いてるんだと思うけど、言いたくなくて目線を逸らす。
『何もないけど』
「菜緒にまで誤魔化さんでええやん、なんでとしさんに返事しなかったん」
『なんで知ってんだよ』
「くみさんが心配して連絡くれたんよ」
「なまえとしさんのこと好きやんな?」
『…なんでだと思う』
冷蔵庫からお茶を取り出してコップに注ぐ。
いちにんしょうには理解出来なかった。
あれだけの美人で性格も良くて面白い子が自分を好きだというのが。
菜緒にお茶を渡して自分の分は一気に飲み干す。
『酔ってたから多分間違えたんだと思うよ、それか告白の練習的な』
「なにをアホな事言ってるん?」
『だって、気になる人いるって言ってたし』
「なまえの事やん」
『その人鈍感だって言ってたし』
「なにそれギャグ?なまえは間違いなく鈍感だけど?」
『は、どこが』
「そういうところ、てか誰がどう見てもとしさんなまえに好意あったやん」
初めて言葉を交わしたあの飲み会は久美さんがいちにんしょうと史帆を繋ぐための飲み会だったらしい。
いちにんしょうが来るまでコンビニで働いている事や学内で見かけること、いちにんしょうに対しての思いを聞いたのだと菜緒は言った。
「ここまで鈍感なアホちゃんに教えたんだからやることわかってるよな?」
『史帆に連絡します』
「菜緒には…?」
上目遣いで、いちにんしょうの手を軽く握る。
『菜緒…?』
「鈍感ななまえに菜緒が色々教えたるよ」
じりじりといちにんしょうとの距離を縮めてくる菜緒
『菜緒、ちょっと待って』
「待たへんよ、としさんより菜緒の方が先に好きになってんから」
『は…?!何言ってんの』
押し倒される形になって唇が触れる寸前でおでこに衝撃が走る
『った…!』
「冗談、そんな困らんでええやん」
「とりあえずはよとしさんに連絡しいや、あ、付き合ったからといって週末ドタキャンはなしやで」
「帰るわ」とそのままいちにんしょうの話も聞かず出ていってしまった。
連絡、なんてしたらいいんだ。