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【実践前夜】《エド&ユーリ&ジーク@XENOGEARSパラレル》

2026/02/14 15:16
【お題】他

 *オリジナルキャラクターに付き、ご興味のある方は【archive】Xenogears After Storyy及び、Xenogears After Story Guideをご一読いただけますと幸いです。




 広大な敷地面積を誇るギア・ハンガーの一角に、それはあった。
「おおおおおお!!」
 一目見て、まずエドが吠えた。エナメルブルーのボディは金混じりの光沢で、最大限に無駄を省いた機能性重視のフォルムはもはや芸術品と呼べよう。
「これは……シュミ丸出しだね~」
 ははは、と笑いながらも、ユーリもそれから目が離せないようだ。
 ふっ。当然、当然。
 これは、俺が半年がかりで設計から仕上げまで手がけたシリーズ(いずれはSiegSeriesと銘打つ予定!)の初号機で、いままで学んできたギア開発のノウハウを徹底的に叩き込んでる自信作。そんじょそこらの野暮なギアとはひとアジ違うぜ。
「すっげーな、ジーク! これ、ホントにお前が作ったのか?」
「当たり前だろ。誰の手も借りてないぜ」
「ホントにすごい。天才だね、ジーク」
「ふっ。まーな」
「それで、これいつ乗れんの?」
 わくわくとした顔でエドが言ってくるのに、俺はちっと軽く舌打った。
「完成はシーズンに間に合わせたんだが、思わぬ落とし穴があった」
「落とし穴?」
「年齢制限」
 簡潔に言うと、エドはしばし怪訝そうに眉を寄せ、初号機の脚部パーツに手をついた。
「なんじゃそら?」
「つまり、今シーズンからバトリングの出場条件に年齢制限がかかったんだよ」
「マジで?! いくつだよ」
「16」
「なにー??!!!」
 ハンガー内にエドの絶叫が木霊した。うるさい、俺だって昨日知ってショックを受けてんだ。
 大体、バトリングに年齢制限なんてナンセンスの極みだろ。子供だろうと年寄りだろうと、ギアの潜在能力を引き出す力に優劣なんかないはず。運動能力の差なら、なおさらギア戦ではハンデは少ないってのに。
「くっそー! あと一年もお預けかよ!」
「正確には、一年と二ヶ月だね」
 溜息をつきながら、ユーリがいらんツッコミをする。癇癪を起こしたエドがユーリにヘッドロックをかましている横で、俺はごほん、と咳をした。
「……まあ、正攻法でいけば、そうなるな」
「……あん?」
 ぴたり、と、ふたりの動きが止まる。俺は、自慢の初号機を撫でながら、にやりと不敵に笑ってみせた。
「ギア開発第一人者の孫の特権なんて、こういう時に使わないでいつ使うんだ?」
 ついでに、親父のカオでもちょっと圧力をかけておいた。当の親父には勿論極秘だが。バレたら逆さに吊られるな。
「ってことは?」
 エドの両目がきらきらと輝く。俺は殊更ゆっくりと、懐からエントリーカードを取り出して見せた。
「Aブロック第一試合。搭乗者名『エド・F』でエントリーしたぜ」
「よっしゃあああ!!!」
 俺の手からカードを奪い取ったエドが、思いっきり飛び上がる。
「よくやった、ジーク! これで明日は暴れまわってやるぜぇっ!」
「頼むぜ。優勝してSS開発に弾みをつけてくれよな」
「おうっ、任せとけって!」
 俺とエドががしっと手を取り合って騒いでいる傍らで、ユーリがでも、と冷静な声を上げる。
「ちゃんと合法でエントリーしたんだよね?」
「ん?」
 振り返ると、ユーリは小首を傾げながら続けた。
「もし、エドが14歳だってばれても、問題はないよね?」
「ん~……まあ、ないこともない、か。一応、主催者側にはごり押ししたけど、大っぴらにばれるとちょっとまずい。けど、キスレブにエドの顔を知ってる奴はほとんどいないし、優勝でもしない限り顔が晒されることもない。もし優勝したとしても、ヒーローインタビューは開発者の俺が受けるよ」
「あー? なんでだよ、優勝したら俺は目いっぱい出張るぜ」
「バーカ。だから、お前が前面に出たら年齢詐称がばれるだろって」
「いいじゃねえか、別に」
「いいわけあるか、アホ」
「ねえ、ちょっと待ってよ」
 果てしない俺とエドの言い合いに、ユーリが待ったをかける。見ると、ますます難しい顔をしていた。
「確か……僕の記憶では、明日のバトリング……キスレブ訪問中の大統領も、観戦に来る、はずじゃないかった?」
「……げ」
 その言葉に、エドがさあっと青くなる。俺も、思わずかくんと顎を落とした。
「マ、マジでか?! そんな日程だったっけ?」
「や、一応、バトリングに来るのはお忍びだから、正式な予定ではないと思ったけど」
「お忍びィ? 親父のやつ、なにやってんだよ人の国まで来て」
「息子が言うこっちゃねえな。でも、そんなら大丈夫じゃねえか? 来るか来ないかも五分五分だし、万が一来たところで、お前の親父なら話もわかるし、少々のことには目を瞑ってくれるだろ」
「う~~~ん……親父が来るとなると、当然シグも来るからなあ……。シグは洒落がきかねえぞ」
 難しい顔で腕組みをするエドに、俺は初号機の脚部パーツを掌で打って言った。
「今更泣きごというな! こいつはなあ、お前のために開発したギアだぞ。俺は、お前の類稀なるギアセンスに賭けてんだ。明日は、全部のバトラーたちの度肝を抜いてやれよ、エド!」
 その言葉に、案の定エドはがらりと表情を変え、そのやんちゃ臭い顔に不敵な笑みを貼り付けて初号機を睨んだ。
「おうっ! 任せとけって、俺とこいつにかかりゃ、他の連中なんざしおしおのぱーよ!」
 相変わらず単純なエドの傍らで、ユーリはまだ不安そうに溜息をついている。こいつはちょっと、いらんことばっか考えるんだ。
 だけど、明日バレたらバレた時のこと。大事なのは、俺の全てをかけて製作したギアが、エドという逸材を乗せて、どこまでものになるか、だろ。
 改めてそう思いながら、俺は優美なフォルムのギアを見上げて、明日の勝利を確信していた。 



《お題19 『イエー!!!』》
◎365 Themes Ver.1~創造者への365題~様よりお題拝借


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