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【不毛の大地にて】《リーフ&アルテナ@FE聖戦の系譜》
2026/01/08 16:06【お題】他CP
「美しい土地ですね」
乾いた赤土を踏みしめて、リーフが言う。
眼前には、険峻な岩山。草木一本生えない不毛の大地に、今まさに夕日が溶け落ちんという頃。
弟を背に乗せて、愛竜を駆りやってきたここは、アルテナにとって思い出深い場所だった。
「美しい?」
砂塵混じりの乾いた風に、アルテナの大地の髪が大きくうねる。いつの間にか姉よりも幾分目線が高くなった弟は、夕景を背に頷いた。
「容赦なく美しいと思います」
「容赦なく、か」
その言葉選びに、思わず笑った。
ここは、水も緑も縁遠い痩せた土地だ。他国では苦もなく手に入れられるあらゆるものが、過酷な条件を伴う。
けれどそれだからこそ、この国は求めることを知っていた。手を伸ばし、足掻き、苦しむことで手に入るものの価値を知っていた。
そこにはむしろ純粋な、欲という名の美があった。
「この美しい国で、争うのはつらいです」
リーフが言う。
アルテナは少しだけ睫毛を揺らした。
「この国の者たちと、殺し合い奪い合うのはひどくつらい」
「では、やめますか」
「いいえ、やめません」
半ば反射で問いかけた言葉に、返答は一瞬のためらいもなかった。
「やめません。私には、戦う理由がある」
「……この国の者にもある」
「そうですね。それぞれの事情がある」
「それでも?」
「それでもです。むしろそれだから私は戦う。全ての事情を飲み込んで、だからこそ戦おうと言うのです」
言って、リーフは静かに紅茶色の瞳を姉に転じた。夕焼けに照らされて、それは燃えるような色をしていた。
「……そう」
「姉上はどうします。やめますか」
「いいえ、やめません。私にも、理由はある」
多分それは、弟の事情とは、まったく異なるだろうけれども。
幼い頃から育った大地で、幼い頃から共にあった者たちに刃を向ける事情など、誰にも理解されないかもしれないけれども。
「きっと誰にでも、事情はある」
「光にも、闇にも」
「けれど戦わなければならない」
「そうする理由があるのだから」
静かに、夕日が大地に溶けて。
姉と弟の長い影が、いま、夜の闇に消えた。
《お題7 『事情』》
◎365 Themes Ver.1~創造者への365題~様よりお題拝借
