challenge

43.It takes a couple seconds to say Hello,…

2025/11/09 13:16
【お題】ダンデ×ソニア



 43.It takes a couple seconds to say Hello, but forever to say Goodbye こんにちはは簡単に言えるのにさようならは全然言えない 



 ※No.42【If I tell you I love you, can I keep you forever? もし愛しているといったら、ずっと俺のもので居てくれる?】の続き。多分、一週間後くらい?



「まさかだぜ……」
「まさかだね……」
 ふたりしてぼんやりと天井を見上げながら、同時に呟く。
 シェードの向こうから、朝の光がじわじわ漏れてきている。けれど、この薄暗い寝室は、いまだに夜の気配を色濃く残していた。
「まずいな……」
「まずいね……」
 絡まった髪、ぐしゃぐしゃのシーツ。お互いの身体はまだわずかに汗ばんでいる。
 新婚の朝とはいえ、中々に乱れたその空間で、ダンデとソニアは天井で回るファンを見つめていた。
 ダンデの胸にほほを寄せて、ソニアがぼんやりと囁く。
「ダンデくん……今日からだっけ」
 ソニアの黄昏色の髪を口元に遊ばせ、ダンデが頷く。
「ああ……ランクアップ戦がある」
「おお……ガチじゃん」
「うん……まずいな、腰に力が入らない」
「それ、花嫁のセリフですけど」
「花婿も相当頑張ればこうなるぜ……」
「まじか」
 クフっと笑いながら、ソニアはダンデの胸板にぐりぐりと額をこすりつけた。
「まあ、気合で頑張りなよ。最悪、車椅子とかに乗ってさぁ……」
「多分、バトルタワー正面にパパラッチがいるぜ。新婚初仕事のオーナー、車椅子で出勤。どんな憶測が飛ぶやら……」
「いや、まずカッコ悪いよね。ガラル中のダンデファンが泣くよ。結婚して男を下げたとあっちゃ、わたしの命も狙われるかも」
「ヤられる前にヤろうぜ」
「それは公人としてアウトだよ、ダンデくん」
 ソニアのふわふわの髪を持ち上げて、指の隙間からさらりとこぼす。ダンデはまだよく回らない頭で、全身に絡みつくしっとりとした肌を感じていた。
 シェードから漏れる光が、だいぶ濃くなっている。体内時計が、あと数時間の猶予しかないと告げていた。あと数時間。そんなわずかな時間しか残されていないのかと、絶望的な気分で腕を伸ばす。
「ダメです。閉店。ソニアちゃんは売り切れました」
 自分の肌を滑る男の手をぺちりと叩き落として、ソニアが言う。ダンデは名残惜し気に指を這わせた。
「本当か……再入荷はいつだ」
「ん~……明日?」
「遅い。怠慢だ。本社にクレームを入れる」
「どこだよ本社」
「……ブラッシータウン?」
「わたし、新婚早々未亡人になるのかぁ~悲しいなあ」
 ソニアの笑い声が腹に響く。多幸感が波になって、ダンデを包み込んだ。
「あぁ……知らなかったぜ」
 こんなに幸せな朝があるなんて。
 行ってきますすら言えない朝があるなんて。
「知らなかったね……」
 ソニアが囁いて、ダンデの胸にくちづける。
 太陽なんて、滅びてしまえ。





 「英語」にまつわるワード @お題.com様
 無事終了です!お付き合いありがとうございました~☺

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