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34.I love you more than words can say.
2025/10/31 15:57【お題】ダンデ×ソニア
34.I love you more than words can say. 言葉にならないくらい好き。
そもそも、恋愛向きの性格じゃないし。
理性とか、理屈とかが先に立っちゃって、恋愛映画も小説も、いまいちのめり込めないし。
それでも、ティーンのころはそれなりに、おしゃれや流行りに敏感だったし、そういう意味では、耳年増なことも多いけど、だからといって実際に、誰かと親密になりたいとか、思ったこともないし。
恋愛や結婚は、自分の夢を叶えた先にあることで、それはずっとずっと遠くて、ずっとずっと先の話で。
そんなだから、自分のことだけが最優先で、可愛げもないし色気もないし、モテたことなんて一度もない。声をかけられたって、大抵隣の友人――ルリナとか――目当てか、わたしの書いた論文目当て。一度きりの電話の後、きっかり全員音沙汰なし。呪われてるの? って友達が笑うのに、苦く笑い返すしかない。
つまり、魅力がない女で、つまらない相手ってこと。
それでもいいって思ってたし、そこにこだわって時間を割くなんて、わたしの人生設計上無理だった。誰かと恋をする時間はない。夢を叶えるためには、一秒だって無駄には出来ない。
そんなふうに、きっぱり割り切れてて、全然不満はなくて。
客観的に見て、枯れてるなぁ……とは思ったけども、それがわたしの選んだ道。
そんなだから。
「……っ」
まさかこんなに、自分がどうしようもなく、恋に溺れる女だなんて思ってなかった。
くちびるとくちびるの接触、ただそれだけのことで、こんなにも胸が騒いで、声も出なくて、手足から力が抜けて、ああもう、どうしよう。
目の前に立つ、よく見知った顔。五歳からの幼馴染を相手に、今更こんな、キスくらい。
彼とのファーストキスは、六歳のバレンタインで済ませたでしょ、ソニア。そのころはおしゃまだったわたしが、見よう見まねでダンデくんにキスをして、それを保護者たちがこぞってはやし立てた。記念の写真だって、いまだにダンデくんちの暖炉の上に飾ってある。
だから今更、こんなキスで。羽根のように軽く、マシュマロのようにやわらかな、おままごとじみたキスくらいで。
「うぅ~……」
目がくらむ、息が詰まる。体中が叫んでる。
「ソニア」
わたしのあまりの狼狽に、ダンデくんは少し慌てて、わたしの赤い顔を覗き込む。
ああ待って、なにも言わないで。
恋愛下手で、枯れ切ったわたしだけど、いま、こころの底から実感してる。
――言葉にできないくらい、ダンデくんが好き!
だからもう少しだけ、わたしの震えをただ受け止めていて。
