challenge
26.I liked you the whole time 好きだったよずーっとね
2025/10/23 20:00【お題】ダンデ×ソニア
幼馴染同士の初恋。それだけ聞けば、なんともロマンティック、なんという麗しさ。
ちいさなころからの純情一途。運命的な出会いと、奇跡のような意思の力が、世にも素晴らしい恋人同士を誕生させる。
……はずじゃないのか。
「いーや、信じらんないね! それは、ダンデくんの勘違いだよっ」
目の前で、幼い物言いでそう告げる師匠……若きポケモン博士は、知性の象徴である眩い白衣を翻して地団太を踏んだ。
「言いがかりはやめろ、ソニアこそ、記憶を捏造してないか?」
キャンキャンと吠え立てる彼女の正面で、黄金の瞳を苛立たしげに細めたバトルタワーオーナーは、逞しい腕を胸の前で組んで、一歩も引かじと仁王立ちしている。
普段は、なんだかんだとおおらかにじゃれ合う仲のいい幼馴染同士だったが、今日はだいぶ険悪な様子だった。
けれど、ふたりの諍いのきっかけから目撃していたホップには、どうしてこんなにもこじれているのか、それが本気でわからない。
「だって、ダンデくん、十歳のころ離れ離れになるとき、泣かなかったじゃん」
「あの時は、ソニアだって平気そうだったろ。それに、目まぐるしく状況が変わって、落ち着くまでいっぱいっぱいだったんだ。慣れたころ……泣いたぜ」
「うっそだぁ! わたしだって寂しくって、何度もダンデくんに電話かけようって思ったけど、チャンピオン忙しいよねって遠慮してて……ずっと、ダンデくんからかかってくるの待ってたんだよ!」
「だから、それはあんまり忙しすぎて……落ち着いたころ会いに行ったら、ソニアはもう、留学してただろ。オレに内緒で。あれは、ショックだった」
「だってそれは、ダンデくんが先に先に行っちゃうから、わたしだって追いつきたかったんだもん。でも……すごく遠くに行っちゃって、もう、わたしのことなんて忘れちゃったって思ってたから……」
「忘れるわけないだろ、ずっと好きだったんだぜ!」
「だから、そんなはずないってば!」
「ソニアこそ!」
「わたしは好きだったよ、ずーっと! いまも!」
「オレだって!」
熱烈な愛の告白をし合っているというのに、どうしてこのふたりは、敵同士のように鼻先を突き合わせているのか。
ホップは呆れてため息をつき、そっと席を立った。どうせ、しばらくして頭が冷えて、お互いの言動がきちんと腑に落ちた瞬間に、収まるところに収まるだろう。
冷静に【みらいよち】する弟は、その時のお茶請けを用意するために研究所の外へと向かった。
