challenge
18.Only you are seen あなただけをみつめてる
2025/10/15 16:52【お題】ダンデ×ソニア
目の端に映った鮮やかな黄昏色に、一瞬で視線が奪われた。
スタジアムの中央、バトルフィールドからまっすぐに見つめる先では、マグノリア博士とその助手として付き従う幼馴染が、ガラル粒子計測器を前に真剣な表情で打ち合わせている。周囲にスタッフも多く、その中の豆粒みたいな大きさの彼女に、すぐに気づいて目が釘付けになる自分に、思わず苦笑が漏れた。
「ん? どした、ダンデ」
本日のテストバトルの相手である長身のライバルは、オレの変化に目ざとい。それは、虎視眈々と勝利を狙うポケモントレーナーとしての優秀な資質だが、こういう時は非常に面倒だ。
「いや、別に」
言いながらも、視線がなかなか外せない。遠くで動くリザードンと同じ色の髪の毛が、ふわふわとオレの注意を惹きまくる。
「お、ん~? ……あぁ~、ふんふんなるほど……」
オレと同じくらいの視力を誇るキバナが、あっという間に視線の先に気づいてにやりと笑った。オレは渋々ソニアから目を離して、傍らの長身を見上げる。
「なにがなるほど、だ?」
「いやぁ~。相変わらずお前、目ざといねぇ」
からかうように言われ、それが事実だったこともあり、オレは反論せずに手持ちのボールを放り投げる。現れたリザードンが、出番か? とこちらを見下ろすその首に手を這わせ、ちいさく囁いた。
「リザードン。ソニアが来てるぜ」
「ぱぎゅっ」
とたんに、相棒はヒトカゲの顔で目を輝かせた。そして、遠くに見えるガラル粒子測定ブースへと目をやって、パタパタと炎の尾を振る。
その様子に、今度こそ遠慮なくキバナの爆笑が上がった。
「ぶはっ!! な、なんだその顔……激カワじゃんよぉ、ロトムで撮っていい?」
「バギュ!?」
その声に、今更気づいたようにリザードンはキバナを見やり、慌てて表情を取り繕った。チャンプの相棒、最強の火竜と誉れ高いキリッとした顔は、けれどすべてが手遅れだ。
「うわぁ~もう、可愛いなぁオマエ~!」
「バ、バギュアッ!」
「うんうん、キリっとしてるな。だいじょうぶ、ばっちりカッコいいぜ……っ」
オレと同等に、すべてのポケモンを愛する優秀なトレーナーであるキバナは、リザードンの愛くるしいギャップにめろめろだ。相棒の矜持をいささか傷つけてしまったが、それは後でフォローするとして、オレはこの隙にとばかりに彼女へ視線を飛ばす。
――オレを、見てくれ、ソニア。
真剣な表情で仕事に取り組む幼馴染に、決して言えない願いを胸に畳みながら。
