challenge
17.Be happy together 一緒に幸せになろうね
2025/10/14 16:30【お題】ダンデ×ソニア
早くにお父さまを亡くしたダンデくんは、幼いころから一家を支える長男としての責任感や自覚が大きかった。
わずか十歳でポケモンバトルの頂点に立ち、圧倒的な強さと人気を博したことで、巨万の富を得た。そのおかげで実家の農場経営も立て直せたし、家族が安心して暮らせる基盤を守れた。ホップの進路も、彼が望むならいくらでも質の良いものを与えてやれる。
彼のお母さまは気丈なひとで、幼い息子に必要以上の負担をかけまいとしていたけれど、ダンデくんがガラル中の称賛を浴びる世界で成功していることを、誇りに思っていただろう。そのことだけでも、母親の心身をどれだけ助けていたことか。
そんなダンデくんは、なんでも引き受けて背負い込んでしまう、根っからのヒーロー体質だ。どんなことでも、任せておけと胸を叩いて、実際どうにかしてしまう。英雄的滅私の心と、類稀なるポテンシャルが融合してしまって、傍目には苦労なく期待に応えてしまえる。
まさに、絶対王者。完全無欠のチャンピオン。
だ・け・ど!
「却下!」
勢いよく断じたわたしに、ダンデくんは心底不思議そうに目をまるくした。
「なんでだ?」
「あのね。おうちはひとつで十分なの。ブラッシーとシュートと、エンジンとナックルと? そんなにたくさん、どうやって維持するの!」
「それなら問題ないぜ。以前からリーグで、不動産関係の資産を運用しているからその物件の一部を……」
「そういうことじゃなくて。もったいない、無駄!」
「だけど、結婚したらそれぞれの職場に近いところに家があれば便利だろう? ソニアは研究で、それこそあちこち飛び回るだろうし」
ごく当たり前だと言わんばかりのダンデくんに、わたしはぷりぷりとまなじりを上げた。
「だったら、中間地点にひとつで十分。あのね、この際だから言うけど、ダンデくん!」
「な、なんだ」
「きみは、自分だけがわたしを幸せにするつもりだろうけど、そうはさせないからね。わたしだって、きみを幸せにすることを放棄しない」
「ソニア……」
驚いたように目をまるくするダンデくんに、ここぞとばかりに畳みかける。
「ふたりの生活を、未来を、自分ひとりが背負い込むんじゃない。なんでも、ふたりでわかちあうことが、結婚するってことなの」
引き受けたがりの背負いたがり。そんなダンデくんの悪癖を、わたしは絶対許さない。
そんなわたしの宣言に、ダンデくんはぱちくりと目を瞬かせてから、顔を真っ赤にしてはにかんだ。
