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#74.飽きる【ダンデ×ソニア@Pokémon Shield】

2026/10/07 18:03
【お題】ダンデ×ソニア



 ふと数えれば、ナックルに越してきて一か月が過ぎようとしていた。
 本当に青天の霹靂の転居騒動だったので、最初こそバタバタと気忙しく、生活のリズムや仕事との兼ね合い、段取りや折衝で目が回るほどの日々だったけれど、それもだいぶ落ち着いた。
 現在のソニアの状況は、かなり理想的なものになっている。
 週の半分はブラッシーのポケモン研究所に通い、ポケモン博士としての業務を行っている。ポケモンリーグとの連携、他地方の研究者たちとのやり取り、論文の準備や作成進行、他誌への寄稿やメディアの対応、ガラル全土の粒子調査と継続的な点検業務等。
 それらを研究所勤務員に分掌して管理しているので、スケジュールとして切羽詰まることはあまりない。まだ本格的な修羅場に突入していない時期、ということを鑑みても、スタッフの能力は極めて高いものだった。
 そしてその余裕を、ナックルのポケモン屋敷に用意した私的研究所でのライフワークにも生かせている。
 こちらでは主に、ガラルの歴史研究、ブラックナイトとそれ以降のポケモン生体研究を行っている。ブラッシーでの業務にも絡むものは多く、どちらもガラルのポケモン博士としての両輪といっていいものだった。
 拠点が二つあることで、ソニアの思考も随分整理できる。それぞれに利点があり、さらにポケモン屋敷では多種多様なポケモンが身近にあって、インスピレーションの泉といえる刺激があった。
 事程左様に、ソニアの生活は充実の一途を辿っている。
 まさに、婚約様々、転居様々。
 ダンデ様々。
「――うそ……」
 呆然と呟いて、ソニアは目の前のスマホ画面を見据えながら震えていた。
 今日は、週の終わり。ナックルの私的研究所で、持ち帰った仕事のチェックを行っている。ワイルドエリアの粒子調査ポイントを巡った外勤研究員の報告書に目を通し、確認をすれば今週の業務は終了だ。来週に予定している仕事の段取りも終わっているし、久々にゆっくりとした週末を迎えられる。
 その、油断というか余裕というか、が、思わぬ隙となった。
『あなたはだいじょうぶ? セックスレスから見える10の落とし穴』
 休憩中の気分転換で、適当に流し見していたショート動画。ほとんど身を入れて見ていなかった流れる画面の中で、なぜかその文言がくっきりとソニアの視界に焼き付いた。
 セックスレス……セックスレスかあ。世の中には、そんな言葉もあるよねえ。
 最初はそんなふうに、のんき極まりなく考えていた。紅茶を片手にぼーっとショート動画を眺め、10の落とし穴とやらがつるつる流れていくのを目で追う。
『セックスレスを感じる期間は、平均で一か月! その中でも深刻なのは、同棲・結婚直後のレス』
「……はい?」
 一か月? たったの? それだけで??
 呆然としながらも、思わず頭の中に思い浮かべたのは、ダンデとの夜の生活。
 ブラッシーとシュートで別れて暮らしていたころは、仕事の都合がつかないときを除き、ほぼ毎週末ペントハウスで過ごしていた。その時は当然、一緒のベッドで眠っている。もちろん、ただ眠るわけではない。
 その他にも、平日になだれ込んだこともある。場所も結構多岐にわたっていて、必ずしもペントハウスに限らなかったし、寝室にも限っていなかった。そういう意味で、どちらかといえば、かなり充実していた性生活だった……ような。
「……あれ?」
 そしていま。ナックル邸で同居をはじめ、プレ新婚生活を送っている、現状は。
「……あれれ?」
 指を折って数えなくても、はっきりわかる。最初の数日こそ充実していたけれど、ここ最近はすっかりご無沙汰だ。
 毎日のルーティンを確立することに忙しかったし、新しい生活に慣れるのに一生懸命だった。けれど、毎晩一緒のベッドにもぐりこんで、熱を分け合いながら眠っていたというのに、性的に触れ合った記憶はだいぶだいぶ遠い。
 その事実に改めて気づいて、ソニアはさあっと青くなった。
 無情にも流れるショート動画。不安を煽るような文字と画像を必死に追いかけるソニアの目は、気になる文言に釘付けだった。
『セックスレスの原因は、相手への不満・日々の忙しさ・性欲の減退など、いろいろあります! でも一番致命傷なのはズバリ、「相手に飽きちゃった」!』
『これは案外、同居直後のカップルが陥りがちな罠!』
『一緒に暮らすことで安心感が生まれてしまって、いままでのセックスライフが面倒臭くなっちゃった、なんてことも!?』
『特に、男性にはありがちな「飽きる」現象! これを回避するためには……こちらをclick!』
 あからさまにインプレッション数を稼ぎたいようなチープな動画の誘導に、ソニアの細い指が震えながら反応する。もう少しでクリックしそうになった時、寸前で彼女の理性が働いた。
「っっあっぶな! ちょっともう、巧妙すぎる!!」
 焦りながら叫んで、ソニアは一旦スマホロトムを閉じた。それから、バクバクと嫌なリズムを刻む心臓を押さえて頭を振る。
「落ち着きなさい、ソニア。よく考えて……まだ決まったわけじゃない」
 研究者として、現状の解析をしないまま結論に飛びつく真似はできない。ソニアは飲みかけの紅茶をテーブルに置いて、アイディアの書き出し用のノートパッドを引き寄せた。そこに、少々震える手つきで書きこんでいく。
《ナックルに引っ越してからの日数……30日
 夜の回数……3回》
 これでいうと、10日に一回。セックスレスの条件には満たない。だが……
《最後にしてからの経過日数……27日》
 改めて数字にした途端、ソニアのこころがざわざわと不安に震えた。
 さらに、記憶をたどる。
《恋愛関係になってからの頻度……ほぼ週一
 事情があった場合を除き、週末のルーティン
 場所……ペントハウスの寝室が9割、他各部屋、浴室、研究所、オーナー室……》
「……」
 初めて身体を重ねてからずっと、ことさら意識することもなかったけれど、かなり高頻度かつ定期的に抱き合っている。これに比べれば、ここ一か月の状態は危機的ともいえた。
 ソニアは白く変わった顔色で原因を探る。なにがきっかけで、こうなってしまったのか。おおきな変換点は、もちろんナックルへの転居だったけれど、遠距離よりも同居の方がセックスに向かない道理などない。
 ならば、距離ではなく、心理の方だ。なにかが、ダンデの気持ちを変えてしまった。
『男性にはありがちな「飽きる」現象!』
「……」
 先ほどのショート動画が蘇る。男性にはありがちな、なんてわかりやすく主語を大きくする煽り文句を、普段なら鼻で笑えるところなのに……
「飽きる……そりゃ、飽きることもあるか……」
 暗く呟いて、ソニアはぐったりと項垂れた。
 端的に言って、ソニアにはセックスの技術はない。ダンデを相手にしか経験がないし、そもそもそれほど性的なことに興味がない。
 興味がないというより、興味を持って積極的に行動する必要に迫られなかった、が正しい。そんなふうに気を回す前に、ダンデがガンガン攻め込んできて、最初は翻弄されることの方が多かった。相手の熱に慣れたころ、少しずつ自分の好みや欲求を理解してきたけれど、それをソニアが口にする前に、ダンデが過たず提供してくれる。
 だから、なんの不満もなかった。
 ただ現状に乗っかって、ダンデに求められているだけで、充分に幸せだった。
「……つまり、全部相手任せ……」
 いわゆる、マグロというやつである。
 いや、マグロというのは違うかもしれない。ソニアはソニアなりに、探究心の赴くままダンデに親しんできた。彼の弱点や好い処を学び、気分が乗った時などは積極的に攻めてもみた。
 ただしそれらは、『ダンデのリード』が前提だったことは否めない。
 彼が誘い、ソニアが乗り、予定調和のように身体を重ねる繰り返しに、ダンデが飽きてしまったとしたら……
「……どうしよ……」
 いままでの怠惰のツケが、現状の27日、というわけだ。
 ソニアはさあっと顔を青くして、ノートパッドをそっと閉じた。そのまま仕事用のPCの電源を落とし、夕闇が迫るおおきな窓を見つめる。
 ナックル邸に越してきてから、自分のことだけに精いっぱいで、ダンデとの関係を疎かにしていたかもしれない。仕事や生活のリズムを整えて、住みやすさを追求することだけしか考えていなかった。
 それに、毎日一緒に暮らすということは、苦労しなくても相手の顔が見える。週末にしか会えなかった時と比べて、そのありがたみが減ってしまっていてもおかしくはない。
 さらに、日々の繰り返しというのは刺激がないものだ。まして、五歳の頃から知っている幼馴染が晴れて婚約者同士となり、あらゆる意味で新鮮味がなくなることもあるだろう。愛がなくなったわけではない。ただ、日々の流れの中に胸を焦がすような情熱が薄らいだというだけで……
「……うわ。ちょっと待って、これがずっと続くの?」
 結婚する前から、こんな状態で大丈夫だろうか。もちろん、夫婦関係においてセックスだけがすべてというわけではない。友人のように、穏やかな愛情で結ばれる夫婦は世の中にたくさんいる。
 けれどもし、それが不協和音の始まりだとしたら?
 ダンデは、どちらかというと性欲が旺盛の方だ。と思う。誰かと比べたことなんかないけれど、ものの本やネットにはびこる情報などを見れば、大体想像がつく。
 そんな彼だからこそ、現状の違和感は大きい。離れていた恋人同士の時代は週に一度求めていたものを、一緒に暮らして毎日隣にいるのに、三週間以上手を出さないというのは、あまりにも不自然。
 つまり、なんらかの心境の変化があったとみていい。
 問題は、それが一時的なものか、恒常的なものか……このセックスレスが、今後の結婚生活を占うものであったとしたら、どうすべきか。
「……う~ん……」
 本格的に煩悶していたソニアは、その時正面玄関が開いたベルの音に気づいてハッと顔を上げた。ダンデが帰ってきたらしい。
 なんとなく落ち着かない気持ちで立ち上がり、ソニアは研究室の扉を開いた。おおきな屋敷は移動に時間がかかる。回廊と階段を足早に進みながら、ソニアはまだなんの結論も出ない状態で、それでもダンデの顔が見たい、と気が急いていた。
 ようやく玄関ホールにたどり着くと、ダンデは出迎えてくれた執事と談笑していた。傍らにはイエッサンがおり、ピンクのエプロンのかのじょが階段を来るソニアに気づいてきゅああ、と鳴いた。
「ソニア、ただいま!」
 パッとこちらを仰いだダンデが明るく笑う。執事は一礼してダンデのコートを手に回廊へ下がり、イエッサンもくるりと回ってそれを追いかける。ダンデはずんずんと大股で階段を上って、ソニアの方へやってきた。
「今日はこっちで仕事だったな」
「うん、おかえり、ダンデくん……」
 いつも通りを心掛けたソニアがほほ笑むと、ダンデは一瞬パチリとおおきく目を見開いた。それからきょとんと首をかしげる。
「どうかしたのか?」
「えっ!? いや、なんで?」
「なんか、様子が変だぜ」
 鋭すぎる。ソニアは慌てて笑顔を深くした。
「いやいや、なにもないよ~。ダンデくんの気のせい」
「そうか?」
「そうよ」
 無理矢理話を畳んで、ソニアはダンデのほほにチュッとくちづける。行ってらっしゃいとお帰りのキスは、ナックル邸に越してきてからのルーティンとして、いつの間にか定着していた。もちろん発案者はダンデで、彼はいつも満足そうだった。
 この時も、ソニアのキスに嬉しそうにほほを緩ませて、彼女のくちびるにそっとお返しをする。羽根のように軽いキスは、まったく性的なものを窺わせず、挨拶以上の感情はない。
 それに気づいて、ソニアは何故か、深く傷ついた。
「……」
 離れていったダンデの顔を見上げて、ソニアの眉が寄る。悲しげな顔を見せる彼女に、ダンデは再び目を見開いた。
「なんだ、どうしたソニア?」
「……」
「やっぱりなにかあったんだろう?」
 心配そうなダンデの様子に、ソニアは泣きそうになる。先ほど初めて気づいた崖っぷちの現状のことを、どう説明していいかわからない。
 もう少し、自分だけで考える時間が必要だった。でも、毎日一緒にいるダンデに、悩みを隠すことなんてできるだろうか?
 いたずらに心配させるくらいなら、素直に聞いた方がいいのかもしれない。夫婦は話し合いが大事だって、おばあさまも言ってたし。男の人にははっきり聞くことが大事だって、ダンデくんのお母様も言ってたし。
 ソニアは意を決して、玄関ホールの大階段の踊り場で、真っ直ぐにダンデに問いかけた。
「ダンデくん、正直に教えて。――わたしに飽きちゃった?」
「……は?」
 ダンデの金色の瞳が正円に見開かれる。マメパトそっくりのその眼差しに、ソニアは気圧されるように俯いた。やっぱり唐突すぎた、もう少し作戦を練って、穏やかに話を持っていくべきだった……
 そんな反省をしているソニアの肩をぐいと掴んで、ダンデは顔を上げた彼女に正面から目を合わせた。いつの間にか、その金色の瞳に真剣な光が宿っている。怒っている様子ではないけれど、不愉快そうな圧を感じて、ソニアはひゅっと息をのんだ。
「どうしてそんなことを思ったんだ?」
「……」
「オレがソニアに飽きたって、そんなふうに感じるなにかがあったのか?」
「……だって」
「うん」
「……27日……」
「うん?」
 思わずついて出た日数に、ダンデはパチリと再び目を丸くし、ソニアは慌てて口元をふさいだ。さすがにこの数字はマズい。指折り数えてセックスレスを嘆いていた、と告白するのは、ダンデに飽きられたかどうかを確認するよりも、はるかに恥ずかしい。
 ソニアは必死に頭を回転させた。
「えっと、別になにがあったってわけじゃなくて、ただ漠然と、なんとなく、いや、飽きるっていうか、最近なにか心境の変化があったかな? って、ふと思ったっていうか……」
 普段の頭の回転が嘘のように、ソニアの言い訳はボロボロだった。取り繕うこともできないほどに、ダンデとの関係が大切なのだと改めて自覚した彼女は、諦めたようにため息をつく。
 そんなソニアをそっと抱き寄せて、ダンデが言った。
「なにを気にしているかわからないけど、オレがソニアに飽きるなんてことはないぜ」
「うん……ごめん、ちょっとテンパってた」
「その、テンパった理由が知りたいんだが」
「……ちょっと恥ずかしいので、また折を見て……」
「……恥ずかしいことなのか?」
「うっ」
「……27日?」
「あっ」
 基本的に、ダンデの頭の回転は速い。加えて、点と点を繋いで線にする瞬発力は、恐らくソニアよりも秀でている。勝負勘の強さはそこに由来するのだが、それはともかく、わずかなヒントで瞬く間に正解を導き出したダンデが、抱き寄せていたソニアを離してまじまじと彼女を見つめた。
「ソニア……もしかして、夜の誘いか?」
「ううっ……」
 一瞬で、火を噴くように真っ赤になったソニアに、ダンデは思わず口元を緩ませる。喜びを隠しきれない彼の様子に、ソニアは泣きそうになりながら釈明した。
「ち、ちがくてっ! 誘ってるっていうか、だって、いきなり変じゃんか! いままでこんなことなかったのにさ!」
「いままでって、一緒に暮らし始めてまだ一か月だぞ」
「一緒に暮らす前! 離れてた時の方が、頻繁だった……ってもー、なに言わせるのばかぁっ!」
「オレはなにも言わせてない、ソニアが勝手に言ったんじゃないか」
「ううーっ」
 ダンデの前から逃げ出そうとするソニアを、彼は容赦なく抱き込んで留める。じたばたともがく柔らかな肢体を、ダンデはうっとりするような心地で抱きしめた。
「そうか……オレがソニアを抱かなかったから、不安にさせたんだな」
「……っ、そ、そうだよっ、だってしょうがないじゃん、ダンデくんいきなりすぎるんだよ!」
 開き直ったように叫んで、ソニアがダンデの腕の中から彼を睨み上げる。白い肌を真っ赤に上気させ、エメラルドの瞳を潤ませるその様子に、ダンデは息をのんだ。
「も、もっとゆっくり、穏やかにしてくれたら、わたしだって覚悟できたっていうか、納得できたよ……でもさ、一緒に暮らし始めてピタッとやめる、ってのはあからさますぎるでしょ! そのへんはもうちょっと気を遣ってほしいよ!」
「気を遣う?」
「だから、飽きたんだったら飽きたなりに、もう少し取り繕う努力っていうか」
「飽きることなんてない、って言っただろ。オレはソニアに飽きてないし、抱きたい気持ちも無くしてない」
 キッパリとしたダンデの言葉に、ソニアはこれ以上なく赤く染まった頬のままちいさく震えた。鋼のようなダンデの両腕に締め付けられて、逃げ場がないままに反論する。
「……じゃあ、なんでエッチしないの!?」
「だって、ソニアが嫌がるじゃないか」
「はあ!? 嘘だよ、わたしがいつ」
「ポケモンに見られるの、嫌がるだろ?」
「……」
 ダンデの言葉に、ソニアはぽかんと目と口を開いて固まった。彼女の様子に、ダンデが思わず苦笑する。
「……この屋敷中に、ポケモンがいるだろう。そんな中で手を出したら、きみに気まずい思いをさせると思って、我慢してた」
「で……っ、でも、寝室は……」
「――いまだから言うが、あそこにもいるんだ」
「!?」
「警備ポケモンが、夜通し控えてる」
「えっ……じゃ、じゃあ、最初の日、も?」
「ああ」
「……」
 ダンデの告白に、ソニアはさあっと顔を青くさせた。それから再び真っ赤になって、まるで信号機のように明滅する彼女の顔色に、ダンデは心配そうに眉を寄せる。
「だいじょうぶか、ソニア?」
「だっ、だいじょうぶじゃない……! ダンデくん、それはちょっと……っ!」
「もちろん、室内じゃない、影の中だ。どこまで相互伝達があるかはわからないし、そもそもオレの監督下にいないポケモンも、この屋敷の至る所に潜んでる。だから、それを掌握して棲み分けが済むまでは、なかなかうかつにソニアに手を出せなくて……正直、オレも参ってる」
「……」
 赤裸々なダンデの告白と、本当に参っているような彼の様子を目にして、ソニアは気が抜けたように彼にもたれかかった。
 力なく体重を預けるソニアをそっと抱きしめて、ダンデが囁く。
「それに、それだけじゃなく、ここ最近は忙しかったろう、オレも、きみも」
「……」
「だから、まあ、少しは余裕を見せて、落ち着くまで待とうか、と……慣れない禁欲を心掛けた」
「……」
「でもそれで、飽きたんじゃないか、とか思われてたら本末転倒だぜ。そんなことは断じてない。むしろ、日々きみへの欲が膨れ上がって、なかなかキツイんだぜ」
「……」
「実際……そろそろ限界だ。だからオレも、今日きみに相談しようと思ってた」
「……相談……」
 もごもご、とソニアが呟く。ダンデは彼女の黄昏の猫っ毛にほほをすり寄せて、こころから哀願するように囁いた。
「ああ……もう、気が狂いそうなんだ。ポケモンたちにも、適う限り配慮してもらって……とりあえず、寝室のプライバシーは確保できてる。だから……」
「……」
「今夜、きみを抱いていいか?」
 ストレートな問いに、ソニアは全身をわななかせて答えた。
「……だめなわけないでしょ!」
 ストレートな返答に、ダンデは心底嬉しげに破顔した。





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