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15.love of my life 愛する人、最愛の人

2025/10/12 11:34
【お題】ダンデ×ソニア



 ※『拝啓、いとしのきみよ』ラストシーンの直後設定です。



 公園の中ほどで、ダンデとソニアは立ち止まった。
 駆けてきた勢いのまま、ダンデはソニアへと腕を伸ばしかけたけれど、彼女のきらめくエメラルドグリーンの瞳、鮮やかに紅潮した白い頬、うっとりと蕩けるような笑顔を前に、突然胸が締め付けられて、それ以上なにも言えない。
 ソニアは、目の前に立って自分を見つめる黄金の瞳を見上げて、照れくささを凌駕する多幸感に圧倒された。大切に、何度も読み返した熱烈なラブレター、その文字のひとつひとつがソニアを天にも昇る心地にしてくれたけれど、実際にダンデを前にして、熱に浮かされたように蕩ける黄金の瞳を見つめた瞬間の、この言葉にならない感情に比べれば、それはなんとぼんやりとした熱だったことか。
 ダンデの瞳が、なによりも雄弁にソニアへの愛を叫んでいる。見慣れていたはずの幼馴染の、馴染み深い黄金の色が、こんなにも熱烈な愛を示すなんて、初めて知った。幼馴染の時には気づかない、気づけなかった彼の情熱。これほどの熱を、どうやって彼は隠しおおせていたのだろう。
 ソニアは、自分の瞳に浮かぶ熱も、圧倒するほどの愛を伝えていることには気づかずに、ただダンデの愛情に蕩けそうだった。
「……ソニア」
「……待って、ダンデくん」
 真剣な表情で何事か……恐らく、今後の人生を左右するであろう大切な願い……を口にしようとしたダンデに、ソニアは泣き笑いのように眉を寄せた。きょとんとする彼の、髪や肩にくっついている枝葉を取り除くべく、細い指を伸ばす。
「せっかくだから……ちゃんとカッコよくなってよ」
 悪戯っぽくソニアが笑うと、ダンデは彼女の指をそっと捉える。今更気取ったところで遅いだろう、と、甘えるように瞳を細めて、その指にくちづけた。
「ソニア、返事をくれないか」
 単刀直入な言葉に、ソニアは呆れたように眉を上げた。それから仕方がないなあ、とでもいうように肩を竦める。
「改めて言葉にするかと思ったのに」
「きみが望むなら、何度でも。だがいまは、返事が欲しい」
「マイペースめぇ」
「欲しいものには我慢が効かないんだ。知ってるだろ?」
 気が急くように言い募る、その切迫した眼差しに、ソニアは改めて頬を染める。
「……十七年も、我慢してたくせに」
「だから、これ以上は無理だ」
 言葉通り、もはやソニアの返事など言葉にせずともわかっている、といわんばかりに抱き寄せる男の腕の中で、ソニアは格好がつかないなあ、と嘯きながら幸せに溺れた。


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