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ダンソニ長編【寄れば零れる恋のあや:第六章 少しずつ、でも確実に】

2026/05/08 20:25
【お題】ダンデ×ソニア



 ソニアがダンデの住まいに転がり込んでから、五日が経とうとしていた。
 初日こそ、主人不在の広々とした部屋で過ごす慣れない環境に及び腰だったソニアだが、ダンデの手持ちたちが屈託なく甘えてくることや、なにからなにまで快適な高級マンションの居心地の良さに、あっという間にリラックスしていった。
 ダンデのお言葉に甘えて、彼の書斎がソニアの研究所になり、日中のほとんどをそこで過ごしていた。ガラル博士協会のアーカイブからメタモン関連の資料を検索し、読み込んではまとめる。二日目以降は、全博士協会の電子蔵書庫にアクセスし、その膨大な資料に果敢に取り組んだ。
 けれど思うように研究は進まず、三日目の晩、ソニアはとうとうパルデアの伝手を頼ることをダンデに告げた。
「オレもあいさつするぜ」
「いや、それはやめて」
「なんでだ?」
「ダンデくんがガラルチャンピオンだったっていうのは、さすがにパルデアでもみんな知ってるの! そんなひとが、いきなりわたしの幼馴染です、って言ったら、びっくりさせるでしょ!」
 ソニアのもっともな説得に、しかしダンデは頷かない。粘り強く、まったく引かない精神力でソニアと交渉し、結局いつものように根負けしたソニアは、ダンデの立会いのもと渋々ジニアへと連絡を取った。
『おやあ……これはこれは、お会いできて光栄ですう』
 スマホロトムのちいさな画面越しにも、ジニアが目をぱちくりとさせているのがわかる。事前にメッセージを送って、テレビ電話での相談を持ちかけていたので、ジニアと一緒にセイジの姿もあった。
『ワオワオ! オヌシ、ガラルチャンピオンのダンデではないか!? はじめまして、セイジだよー!』
「はじめまして! 元チャンピオンの、ダンデだぜ。ソニアがお世話になっています」
 にっこりと満面の笑顔でダンデが答える。ソニアは無理矢理彼の身体をぐいぐい押しやって、スマホの中の好奇心いっぱいの視線を仕方なく受け止めた。
「それで、あの、お話ししたいことがありまして!」
 ソニアは早口に、いままでの経緯を説明した。ジニアとセイジは、すぐに真面目な顔になる。彼女の陥っている苦境が、日々ポケモンと接する彼らにとって、決して軽視できることではなかったからだ。
『なるほど……では、いまのところソニアくんの安全は確保できている、ということですねえ。それは本当に良かった』
「はい、だいじょうぶです。ただ、この現象がいつまで続くのか、その目途が立たないことには、本格的な検証をすることができなくて……」
『わかりました。ぼくの方でも、メタモンを研究している伝手が二、三あるので、問い合わせてみますねえ。ただ、今回のぼくたちが立てた仮説のような研究をしている人はいないと思うので、ちょっと時間がかかっちゃうかもですが……』
『ワシも、昔馴染みに片っ端から声をかけるよ! ソニア……ワシのせいで、オヌシにはとんだデンジャラスハプニングだったね……こころからソーリーだよ』
 しゅんと項垂れるセイジに、ソニアは慌てて首を振った。
「セイジさんのせいじゃないですよ! ポケモン研究をしていれば、こういう不可思議な現象は日常茶飯事です。慣れっこだから、だいじょうぶですよ」
『……とってもアリガトウだよ、ソニア! もしまたなにかあれば、セイジがすぐに飛んでいくからな! パモさんも一緒だよ!』
 画面の中で、セイジに抱っこされたパモが可愛らしく手を上げる。ソニアはそのあまりの愛らしさに真っ赤になって震えたが、そんな彼女の肩をぐっと抱き寄せる硬い身体があった。
「心配はいらないぜ! ソニアのことは、オレが責任もって護るから、おふたりにはメタモン研究の方で手を貸してもらえればありがたい」
 そう言って、無理矢理画角に入ってくるダンデの笑顔に、ジニアとセイジがきょとんと目をまるくさせる。ソニアは押しつぶされそうな重さにじたばたと暴れながら叫んだ。
「もー、ダンデくん、重いよっ! もうちょっと離れ……なんでリザードンまでくっついてくるの!?」
「バギュア!」
『ワオ! チャンピオンダンデの、最強のリザードンでんな! ほらほらパモさん、ご挨拶だよー! チャオ~!』
『……パモ~』
「あああ、可愛い~~~~!!!」
 ダンデとリザードンに挟まれて、もみくちゃになったソニアがそれでもパモの可愛らしさに悶絶する。そんな様子を、ジニアは楽しげに笑って見ていた。


「……あれから二日、か……」
 ソニアは、ドタバタとした一幕を思い出しながら、そこからなんの進展もない状況にため息をつきつつ、隠し味のとくせんリンゴのすりおろしを入れたカレーを丁寧にかき混ぜた。
 メタモンの研究は、そのほとんどが『へんしん』能力か、タマゴの顕現に関するものが主流で、ソニアたちのように、ポケモンの好意感情に着目した例はほとんど見られない。そのため、ソニアが欲しい方面の研究結果が著しく不足していた。
 こんな時、自分で自由に検証できないことが、研究者であるソニアにはなによりも堪える。知的好奇心の行き場を失い、フラストレーションがたまっていくソニアに、けれどダンデはすべて理解しているように適切に対応していた。
 毎日必ずソニアとの時間を作り、その焦りや不安を受け止める。目の前のものごとに集中しすぎて、余裕をなくしてしまうソニアを知っている彼は、心憎いまでの気配りとさりげなさで、彼女の気を晴らしてくれた。
 夜寝る前、ふたりはハーブティを飲みながら、その日のメタモン研究の進捗を話し合う。毎夜のルーティンだったが、昨夜は進みの遅い現状に焦ったソニアが、思わず泣きごとをこぼしてしまった。
「もしも、ずっとこのままだったらどうしよう……」
 そんな弱気な一言に、ダンデは太陽のような笑顔を浮かべて言った。
「焦るとろくなことがないぜ。これはソニアの持論だろ?」
「う。そうだけどぉ……」
「現状、打てる手はすべて打っている。ソニアはいつも通り、自分を信じて進めばいいさ」
 その言葉は、いまでもソニアの胸を打つ。
 かちりと火を止め、ソニアは完成したカレーの匂いを思い切り吸い込んだ。懐かしい香り。ダンデと一緒に、ガラル中を旅していた日々を思い出して、ほほ笑みが浮かぶ。
 思いがけず始まったダンデとの同居生活は、想像もできないほど心地よく、ソニアはすっかり満たされていた。物心つく前から一番仲が良かった幼馴染は、長い別離の時間や、複雑な感情の隔たりなどものともせずに、いまでもソニアのこころを支え続けている。
 博士になる前の劣等感、襲名してすら拭えなかった焦燥感が、たった数日一緒に過ごしただけで、こんなにも簡単にほどけていくなんて。ソニアは我ながら現金だな、と苦笑した。
 ダンデとの関係は、いままでとなにも変わらない。気安い幼馴染のまま、わだかまりのない日々を過ごしているだけ。
 それでも、ソニアにとってそれがすべてだ。ただダンデが傍にいてくれる。単純なその事実だけが、ソニアの幸せそのものだった。
「さて。そろそろ帰ってくるかな?」
 時計を見上げ、きっちり帰宅時間だと目を細める。忙しいはずの彼が、毎日日暮れに帰ってくるのは、ソニアのためだとわかっていた。ダンデの仕事に支障はないか、無理をさせているのではないかと心配はあるけれど、その心遣いがなによりも嬉しい。
「みんな~、そろそろご飯だからね。おもちゃ片付けるんだよ~」
 ポケモンたちの部屋に声をかけると、ぎゃうぎゃうと高い返事が返ってくる。リザードン以外、みんなソニアの傍に置いてくれるのが心底心強いが、この数日ですっかりかれらはソニアに甘えることを覚えてしまった。ポケフードやおやつをせがまれたり、撫でてほしいとひっきりなしに要求されると、ソニアもついつい応えてしまう。
 バトルタワーオーナーの最強の手持ちとしての、威厳と品格が損なわれたらどうしよう。いまさらのようなことを考えていたソニアの耳に、一部屋しかないフロアのエレベーターが止まったことを伝える電子音が聞こえた。
「あ、帰ってきた!」
「イヌヌワンッ」
 その声に、おおきなソファでへそを天にさらしながら寝入っていたはずのワンパチが、バネのように弾んで起き上がる。ソニアと競いながらフローリングを進み、長い回廊の向こうにある玄関扉が開くのを目にすると、さらに興奮気に声を上げた。
「おかえりー!」
「イヌヌワー!」
 そっくり同じ顔で、ソニアとワンパチが笑って言う。ダンデは驚いたように目をまるくして、しばしその光景を眺めていた。
「ん? どした、ダンデくん?」
 ワンパチとの思いがけない競争で、ソニアは興奮したようにほほを赤くしていた。我ながら子供っぽかったな、と今更反省し、ダンデの背後にいたリザードンに改めて挨拶をする。
「リザードンもお帰りなさい。お腹すいたでしょ? 今日はカレーだよ」
「ぱぎゃう♪」
 ワンパチによじ登られながら、リザードンが嬉しそうに鳴く。無邪気なポケモンたちがどたばたと中へ入っていっても、玄関扉を開けたままのダンデは、その場にとどまっていた。
「ダンデくん?」
 さすがに心配になったソニアが、振り返って眉を寄せる。具合でも悪いのか、と近付けば、ダンデは夢見るような表情で、ソニアを見つめていた。
「ソニア」
「へ? はい? どした?」
「……お帰りって、もう一度言ってくれ」
「は?」
 思わず目をまるくするソニアが、まじまじとダンデを見上げる。聞き間違いかと思ったけれど、ダンデは真剣に期待するような眼差しで、ソニアを見つめ続けていた。
 いまさらなにを言うのだろう。毎日言ってるじゃないか。確かに今日は、玄関まで走ってきちゃったけど……それは、ワンパチと競走したからで……ううう、改めて言うのって、なんかすっごく恥ずかしいんだけど!?
「ソニア……」
「……っ、お、お帰りダンデくん!!」
 蜜のようなダンデの声が聞こえた瞬間、ソニアは弾かれたように叫んだ。真っ赤になった彼女が、虚勢を張って眦を上げる姿に、ダンデはきょとんと目をまるくして、それからふはっと気の抜けた笑い声を上げる。
「ああ、ただいま、ソニア」
「も……っ、もー、なんだよー! 早く入ってよね!」
 恥ずかしくなって踵を返すソニアの後ろから、ダンデの満足そうな笑い声が続く。からかわれているような気分に、ソニアはぶすくれた。
「せっかくダンデくん好みの味付けにしたのになー。カレー、食べたくないのかなー」
「すぐに行くぜ!」
 リビングに向かうソニアの背中に、急いで自室へ入ったダンデが声を張り上げる。その必死な様子にようやく留飲を下げたソニアは、待ちきれない手持ちたちへとにっこりと笑いかけた。
「はいはい、みんなは先に食べててもいいよ。よそってあげるから、お皿持っておいで~」
 順番にソニアからカレーを貰う手持ちたちは、嬉しそうに楽しそうにそれを平らげる。上手に食べられない子の補助をしたり、汚れをふき取ってやりながらソニアが甲斐甲斐しく動いていると、部屋着に着替えたダンデがてかてかと輝く笑顔でやってきた。
「ソニア、オレにも!」
「はぁ~。もう、人間は自分でよそってくださ~い。ったく、ポケモン並みに世話が焼けるんだから……」
「ぎゃうっ」
「あ、ごめんごめんそうだよね、みんなの方が手がかからないよねぇ」
「ひどいぜ……」
 ソニアと手持ちたちのからかいに、ダンデはわざとらしく項垂れる。ソニアは笑いながらキッチンへ向かい、人間用のサラダやスープを用意して、それからたっぷりのカレーをよそった。
「いただきます!」
 テーブルの角を挟んで斜めに座ったダンデが、無邪気に破顔する。ソニアはその顔を幸せそうに眺めて、楽しげにカレーを口に運んだ。
 食後、ふたりで協力して皿を洗い、交代でポケモンの世話をして入浴すると、いつもの報告の時間が始まる。寝支度をしたソニアがテーブルに着くと、ギルガルドの錆防止剤を塗り終えたダンデが、手を洗いながら声を上げた。
「ソニア。今日は、映画でも見ないか?」
「え?」
「毎晩気を張り詰めてても仕方ないだろう。ほら、前に気になるって言ってた、ワンパチが主人公の映画、配信始まってるぜ」
 水を止めて、ダンデが振り返る。そのやわらかな表情に、ソニアはドキリと胸を高鳴らせた。
 ソニアの心情を慮ってくれるダンデに、けれどソニアはそれ以上の感情を求めそうになって慌てる。傍にいてくれるだけで十分だ、と思っていたはずなのに、ふとした瞬間のダンデの顔が、あまりにも優しくて、あまりにも愛おしそうに見えるから。
 勘違いしそうになって、ソニアはごまかすように元気よく笑った。
「いいね! じゃあ今日は、夜更かししちゃおうか」
「明日はランクアップ戦で遅出だから、気が済むまで付き合うぜ」
「やった~。ならさ、前に映画館で見たやつ……あのアクションの続編もあったはずだから、あれも観ようよ」
「いいな。となれば……」
 ダンデはぱたぱたとキッチンを動き回る。ソニアは巨大なテレビの前にあるソファに、そこら中からクッションを集めた。祖母に知られたら行儀が悪いと叱られるだろうが、広々としたそこに寝転がって、自堕落な夜を過ごすのもたまにはいいだろう。
「ヌワ~?」
「ぱぎゃう」
 ソニアがクッションとブランケットでせっせと巣づくりしていると、眠そうなワンパチとそれを抱えたリザードンが近寄ってきた。ソニアは優しくワンパチを抱き上げて、リザードンの顎を撫でる。
「今日は夜更かしするんだよ。でも、きみたちはおねむかな? ボールに戻る?」
「ぎゅう……」
 リザードンはそのままソファの足元にうずくまり、とぐろを巻いた。ワンパチが前足を動かしてソニアの腕から逃れようともがき、暖かなかれのもとへ行くと、その尻尾の間で丸くなる。
「お待たせ、ソニア」
 ソニアが相棒たちの可愛らしさににこにこしていると、ダンデの声が降ってきた。見上げると、トレイにチーズやスナック、果物を載せたダンデが、ワイングラスとボトルを持って立っている。
「わ! 最高だねダンデくん!」
「ソニア、白が好きだよな」
「うん、甘いのがいいな~」
「この間キバナが置いていったやつが美味いんだ」
 ローテーブルに食べ物を並べながら、ダンデがソファに腰を下ろす。L字ソファの長辺に座ったダンデの隣、短辺に足を伸ばす形でソニアがクッションに寄り掛かった。
「キバナさんとおうちで飲んだりするんだね」
「ああ、たまにな。ネズも来るぜ」
「へぇ~」
 何気ない会話を続けながら、ダンデがワインを注ぐと、ふたりはカチンとグラスを合わせてそれを掲げた。
「メタモン研究に」
 悪戯っぽくソニアが笑うと、ダンデも笑ってテレビをつけた。
 ダウンライトだけに光源を控えた室内で、画面から漏れる映像の光がふたりを照らす。ワイングラスを傾け、時折ちいさな声で感想や疑問を交わしながら、ソニアは暖かくぬくまったブランケットに包まれてうっとりとしていた。
 画面の中では、賢そうなワンパチが、トレーナーと一緒に旅をしている。苦難や試練に見舞われながらも、懸命に戦う姿、トレーナーを信じる純粋さにこころを打たれ、ソニアはだんだん目頭が熱くなってきた。
 クレジットが流れるころには、ごまかしようもなく涙が零れて、ソニアはそっとブランケットに顔を伏せる。そんな彼女の傍らで、ゆっくりと空気が動いた。
「……ソニア」
 蕩ける蜜のような声音に、ソニアはピクリと肩を揺らす。なんだかよくわからない力で、彼女は操られるように顔を上げた。
 目の前にあったダンデの瞳が、ダウンライトの淡い光源にきらりと光る。彼は目尻に浮かんだソニアの涙を、やわらかく笑いながらその指で拭った。
「……泣くと思ったんだ」
「う……うるさいなあ」
「ティッシュいるか?」
「……ちょうだい」
 ちいさく笑ったダンデが、テーブルの上から数枚のティッシュを取り、ソニアに渡す。ソニアは急いで目元をぬぐって、恥ずかしそうにくちびるを尖らせた。
「……ワンパチはずるいよ。こんなん泣いちゃうじゃん。ダンデくんだって、ヒトカゲが健気にがんばるやつとか見たら、泣くでしょ」
「泣くぜ」
「ほらぁ」
 パッと顔を上げて、意地悪く笑おうとしたソニアだったけれど、目の前にあるダンデの表情が、信じられないほど甘く蕩けていたので、驚いて息を呑んでしまった。
 エンドロールが流れる静かな音楽。薄暗い室内で、体温を感じるほど近い距離に、ダンデがいる。
 それをいまさらのように意識して、ソニアの顔が真っ赤に燃え上がった。
「……ソニア」
 そっと、ダンデがソニアを呼ぶ。ただならない空気に、ソニアはほとんどパニックになった。
 さっきまでは、間違いなく幼馴染同士だったのに。子供の頃、同じテントで寝起きしていた時のような、屈託のないやり取りで、なにも変わったところはなかったのに。
 いま、目の前でソニアを見つめる男は、いったい誰なんだ?
「……っ」
 反射的に、ソニアはギュッと目をつぶる。それは極限状態の混乱がさせた自衛本能だったが、ダンデの目にどう映るかまでは、考えが及ばなかった。
 ダンデは、大人しく瞳を閉じたソニアから目が離せずに、彼女の白いほほ、やわらかく遊ぶ黄昏の髪に手のひらを添えた。ピクリと震えた彼女は、けれど嫌がるでも逃げるでもなく、そこにいる。
 ダンデの、目の前に。
「……」
 彼のくちびるがそっと開き、そのままソニアのやわらかなそれに近づいていく、まさにその瞬間だった。
「バギュア!」
「!」
 突然、ダンデの目の前に炎が舞った。驚いて身を引いた彼は、威嚇するように左右に揺れる相棒の尾の炎に、ぱちくりと目をまるくする。
 リザードンは、いつの間にかソニアを抱えるように身を起こしていた。彼女の膝には、眠っていたところを転がされたワンパチがひっくり返っている。
「え、リザードン??」
 ソニアは、なにが起きたのかわからない様子でパチパチと瞬きをしている。一瞬前までの金縛りのような状態は完全に解けて、夢から覚めた顔でダンデを見やった。
「ダンデくん……あ、えっと、なんか……眠くなっちゃったね!」
「……ああ」
「お開きにしよっか。リザードンも、寝ぐずりしちゃったかなぁ?」
 きゃらっと笑い、ソニアが立ち上がる。リモコンで部屋の明かりをつけると、健全な光の下で彼女は早口に言った。
「明日、起きたらここ片付けるね。おやすみなさい!」
「ああ、おやすみ」
 そのまま、ワンパチを抱えてゲストルームに逃げていくソニアを見送って、ダンデはソファの背もたれに肘を預け、ぐったりと項垂れる。彼の薄明の髪に、リザードンの鼻息がかかった。
「……オレまでガード対象にしなくていいんだぜ、リザードン」
「ぎゃう」
「……わかってる。危なかった。サンキュ」
 苦笑して、ダンデは相棒の得意げな顔を撫でてやった。



コメント

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  • シャウラ2026/05/09 11:38

    コメントは今度時間がある時にゆっくり書かせてください。 でもそれでも一つだけ言いたい。 これを本棚に入れるまでもないものと言うのはもったいないです。 

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    • 由紀ちぐわ2026/05/09 13:39

      シャウラっっさん!!!?
      もうここまで読んでくださった!?まさか!!?爆速デンガナ~~~🤣✨
      コメントも楽しみに待ってますです、長い話なので、ゆっくりと隙間時間にお楽しみいただけたら嬉しい💖
      本棚に入れるまでもない~というのは、ここを掌編の墓場にするつもりだった頃の注意書きだね…今はもう、ここで一話掲載してから本棚でまとめるパターンが確立してるから、語弊があるね!でも、そう言ってもらえて嬉しい…ありがとうございます🥹💕

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