challenge
4.Under Lover 恋人未満
2025/10/01 17:41【お題】ダンデ×ソニア
「ダンデくん、今日はなに?」
面倒そうに言うくせに、ソニアはいつだってその手を止め、ダンデの来訪に付き合ってくれる。
わざわざシュートシティから、隙間時間を縫うようにして会いに来る幼馴染に気を遣っているのか、チャンピオン業の多忙さを思いやっているのか、それとも単に、彼女が善良でこころ優しい女性だからか。
その理由のどれをとっても、ダンデの望んだものではない。
「今日はきみに会いにきたんだ」
落ち着いた声色で言えたことにほっとしながら、ダンデはドキドキと逸る心拍を感じていた。チャンピオンシップのラストマッチ、手に汗握るようなギリギリの局面ですら、こんなに緊張したことはない。
十三年以上の付き合いの、慣れ親しんだ幼馴染をデートに誘う、そんなささやかなチャレンジに、ダンデの胸は張り裂けそうに高鳴っていた。
ダンデの言葉に、ソニアは一瞬きょとんと目をまるくさせ、それから胡散臭そうにジト目になる。
「なに? なんかまた、無茶なこと言いにきたとか?」
「いや、そうじゃない」
「あいにく、伝説のポケモンも未知のポケモンも、新たな情報は入ってませんよ~」
「そうじゃないって、ソニア」
「カレーならあるから、座って待ってなよ」
そう言ってくるりと踵を返すソニアに、ダンデは焦って声を上げる。ソニアの頭の回転は速く、会話の主導権を取り戻すのは至難の業だ。
「ソニア、今日はきみと出かけたいって思って」
「なに、ワイルドエリア? 別にいいけど」
「いや、エンジンとかナックルとか、どこか街でゆっくりと」
「え、ジムの視察? お仕事じゃん、わたしついてく必要ある?」
ソニアがカレーをかき混ぜながら言う。ダンデはじれったく首を振って、嚙み合わない会話に唸った。
「じゃなくて、ソニア、オレとデートしようぜ!」
いよいよはっきり意思表示をすると、ソニアは初めてダンデを振り返る。零れそうなほどおおきく瞳を見開いて、それからキャラっと笑った。
「あは! なんだよ、それェ! 最近シュートでは、視察のことデートっていうの?」
「ソニア……」
「ん、まーいいよ。そこまで言うならお供しますよ、チャンピオン」
ニヤリと悪戯っぽく笑って、ソニアは抜け目なく言う。
「エンジンの新しいカフェ、気になってたんだよね。そこ寄ってくれる?」
「……ああ」
完膚なきまでの敗北だったが、目的だけは達成できそうだ。ダンデは苦々しく頭を抱えつつ、恐ろしく胡乱な自分たちの現状に改めてため息をついた。
