challenge
3.commitment 真剣な交際
2025/09/30 12:21【お題】ダンデ×ソニア
ダンデと気持ちが通じ合った奇跡のような瞬間から、ソニアの足はちょっとだけ宙に浮いている。
ずっと昔から好きだった、特別な幼馴染。自分とは違う世界の人間だと、一度は諦めかけた彼からの、思いもよらなかった熱烈な告白は、彼女の世界を百八十度ひっくり返した。
ダンデがソニアの名前を呼ぶ、わずかに高い音階の声音が、彼の気持ちが弾んでいるときの声だと知った。
ダンデがソニアを見つめる、黄金の瞳に混じるとろりとした蜜の色が、彼の恋しい気持ちの色だと知った。
ダンデがソニアに触れる手が、いつもあたたかく優しいのは、彼が少しだけ緊張しているからだと知った。
十七年以上も傍にいて、初めて知ることばかりだ。
そして、ダンデがソニアを好きだと言って、ソニアがそれを喜んで受け入れた瞬間からずっと、ダンデがこのうえなく真剣に、ふたりの将来について計画を立てていることも、ソニアは初めて知ったのだ。
「……なんて?」
思わず聞き返して、ソニアはぽかんと口を開いた。その正面で、ダンデはワンパチのモフモフとした腹をおおきな手で撫でてやりながら、一言一句正確に繰り返す。
「来月結婚しようぜ、ソニア」
「ん? けっこ……え、けっこん?」
「ああ」
「……あは、ダンデくん、そんな冗談どこで覚えたの? ……いや、シャレになってないな……つまり、本気?」
「当然だぜ」
さらりと自然に頷いて、ダンデは不思議そうにソニアを見やった。その無邪気な表情に、ソニアはいやいやいや、と頭を抱える。
「ダンデくん……あのね、一般的に、結婚を決めるのはもう少し時間をかけて」
「十七年以上たってるぜ」
「それは幼馴染の時間でしょ! こ、恋人になってからまだ三十分もたってないし!」
「だが、時間をかけたって結論は変わらないぜ?」
ぬわぬわぬわ。ダンデの指がワンパチのあごの下をくすぐり、あまりの心地よさにかれが満足の唸りをあげた。たらんと口の端からこぼれたよだれが、ダンデの腕に遠慮なく垂れている。
相棒のあられもない姿を横目に、ソニアは真っ赤な顔で叫んだ。
「そういうことを言ってんじゃなくてさぁ!」
「結論を先延ばしにしたってしょうがないだろ?」
「あー決定的になにかがズレてるぅ~! でも指摘が難しいな!」
赤い顔を伏せてぶんぶんと頭を振るソニアに、ダンデはのん気に小首を傾げている。
ダンデにとってのソニアとの真剣交際は、段階や手順を吹っ飛ばす究極の結論なのだと、その時ソニアは初めて知った。
