1000文字で綴るアイラブユー
ダンデくんの手が、ゆっくりと繊細な動きで頬の線をなぞる。
気持ちよさげに瞳を細めたのを確かめて、彼の黄金の眼差しも、蕩けるようにまろやかに揺れた。そして、この上なく大切な宝物を愛でるように、指先は優しくあごの下をくすぐる。
「うきゅぅ……」
あまりにも気持ちよさそうな声が漏れて、はっと目を見開いた様子に、ダンデくんはしーっ、と吐息が漏れるような低音で囁いて、そのままゆっくりと腕を揺らす。彼のおおきな身体に包まれるような安心感は、まるで天上のゆりかごに揺られているような充足感と安心感をもたらした。
そんな優しい空気が、五分ほど経過した後。
「――寝たな」
すっかり寝入ったサルノリは、本当に気持ちよさそうだった。ぷうぷうと可愛らしい寝息を漏らして、ダンデくんの浅黒い腕の中に納まっている。
「そのかご、使って」
ちいさく言うと、ダンデくんは用意していた籐かごの中に敷き詰めたふわふわのタオルの真ん中に、そっとサルノリの身体を横たえた。通常個体よりも一回りほどちいさなかれは、たまご色のガーゼタオルに包まれて、天使のようにあどけない。
ダンデくんはかごを持って、手持ちたちがくつろぐベランダへと向かった。新入りの赤ちゃんに興味津々だったかれらは、案外上手に面倒を見てくれる。
戻ってきたダンデくんは、サルノリの寝ぐずりに付き合っているうちにすっかり冷めた紅茶のカップを持ち上げて、くいと傾けた。
「お疲れさま、ダンデくん。紅茶、淹れ直そうか?」
「ああ、だいじょうぶだ。ありがとう、ソニア。せっかく来てくれたのに、構えなくて悪いな」
大人びたことを言って笑うダンデくんに、わたしは複雑に微笑んだ。
まったく……ポケモン相手だと、どこまでも真摯に、どこまでも博愛主義になる彼は、当たり前のように恋人よりもかれらを優先する自分を、どこか後ろめたそうにしている。
そんな顔を見せられると、つい、わたしは意地悪をしてしまいたくなるっていうのに、あーあ。
「あのね、ダンデくん。きみと恋人になった時から、こんなことは想定内。大事なのは、このあと、でしょ?」
言いながら、わたしは立ち上がってダンデくんのすぐ傍へ寄った。体温が触れるほど近くで、彼の黄金の瞳がゆっくりと瞠られるのを、楽し気に見つめて。
「――さあ、ここからがソニアタイムだぜ」
ニッと笑って、そのくちびるにゆっくりとキスをする。
無敵のチャンピオンは、挽回するのがことのほかお上手だ。