Truth of the Twilight




「――さん、お客さん……オーナーダンデ!」
 強く呼ばれて、ダンデははっと目を覚ます。一瞬、混乱した頭で周りを見回すと、狭い客車の中には、自分一人だけしかいなかった。
 窓の向こうから、ゴーグル越しにこちらを窺う運転手の男が覗いている。ダンデは急いで扉を開けた。
「すまない、すっかり寝入ってたようだ」
「そのようですね。さあ、到着しましたよ」
 あっさりと答える運転手は、当然のように、老女の存在は口にしない。ダンデもあえてそれを指摘しなかった。
 降り立ったそこは、ブラッシータウンのマグノリア邸の傍にある池のほとり。すっかり日が暮れ、そこここに飾っていたらしいジャック・オー・ランタンのランプの光も弱まり、お祭りムードもだいぶ落ち着いたような街の様子に、ダンデは苦笑した。
「すまない、ありがとう。気をつけて帰ってくれよ」
「毎度」
 運転手とアーマーガアに労いの言葉をかけて、ダンデはその場を後にする。すぐそこに見える邸宅の窓から漏れる光を目指して、真っ直ぐに歩いた。
 歩くごとに、夢か現かわからないほど鮮明に思い出す、華奢な老女の記憶。彼女との短い旅が思い出されて、ダンデは無意識に足を速めた。
 あの世とこの世が交じり合う、不思議な一日の終わり。自分のもとに訪れたのは、単なる白昼夢か、それとも。
 その答えは、きっと愛しの幼馴染が知っているかもしれない。根拠のない確信を胸に、ダンデは一直線に駆け出していた。





END.
2/2ページ
スキ