わたし。〜1〜
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「じゃあ仕方が無いか」
不機嫌と怒りの色が織り混ざった筈の太宰さんの声が、突然、何時もの冗談めいたことを言う声色に変わっている。私はは肩から大きな荷物を降ろした心持ちすらあって、安堵の気持ちと共に顔を上げた。太宰さんは穏やかな笑みを浮かべていた。浮かべていたけれど、
「ひ、」
―――彼は、私の腕を強く引っ張った。
それと同時に、じわじわと汚泥の湧き上がって蝕むが如く、
痛みが体を襲った。
「い、たい…!だざいさん、」
「…」
彼は何も言葉を発しなかった。沈黙を保たまま、私の新しく包帯を巻いて貰った方の、肌が未だ露出している手首の所を柔く握り、体を彼の方に寄せる。
決して強引な仕草では無かった。彼の手付きは私を優しく誘導しているように思えた。しかし、其れとは逆に、疼くような痛みは増すばかり。頭は、彼の行動と、今自分の身に起こっている出来事の矛盾を、上手く処理できないでいた。
「…痛いかい?」
「いたい、です、…もういい加減、て、
離してもらえますか」
「そうかい。ふふ、其んなに顔をゆがめて」
そう言って、彼はもう一方の手で、私の頬に手を添えた。
不機嫌と怒りの色が織り混ざった筈の太宰さんの声が、突然、何時もの冗談めいたことを言う声色に変わっている。私はは肩から大きな荷物を降ろした心持ちすらあって、安堵の気持ちと共に顔を上げた。太宰さんは穏やかな笑みを浮かべていた。浮かべていたけれど、
「ひ、」
―――彼は、私の腕を強く引っ張った。
それと同時に、じわじわと汚泥の湧き上がって蝕むが如く、
痛みが体を襲った。
「い、たい…!だざいさん、」
「…」
彼は何も言葉を発しなかった。沈黙を保たまま、私の新しく包帯を巻いて貰った方の、肌が未だ露出している手首の所を柔く握り、体を彼の方に寄せる。
決して強引な仕草では無かった。彼の手付きは私を優しく誘導しているように思えた。しかし、其れとは逆に、疼くような痛みは増すばかり。頭は、彼の行動と、今自分の身に起こっている出来事の矛盾を、上手く処理できないでいた。
「…痛いかい?」
「いたい、です、…もういい加減、て、
離してもらえますか」
「そうかい。ふふ、其んなに顔をゆがめて」
そう言って、彼はもう一方の手で、私の頬に手を添えた。