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感想・考察

『AKIRA』初見感想

2021/05/26 00:01
感想
東京オリンピックの延期を予言していた(?)でお馴染み『AKIRA』を初鑑賞。
本記事はネタバレ考慮していませんので、見る予定のある方は回れ右でお願いします。


[作品データ]
・1998年公開 ・監督:大友克洋 ・PG12
(声優として渕崎ゆり子さん(アンシーの声の人)や草尾毅さん(西園寺の声の人)が出演していらっしゃったり、やっぱりウテナと同時期だからか繋がる点がありますね。)


第三次世界大戦を経た2019年の東京を舞台にしたお話。街が荒れきってます。ネオンが燦然と光る夜の街を暴走族のバイクがライトの尾を引いて走り抜けていく。

主な登場人物はそこまで多くもなく。主人公金田とその幼馴染の鉄雄、金田が好意を持った女性のケイ、謎の顔色悪めなサイキッカー(実験体?)3人、軍の大佐。
あとはちまちま出番あるけどそこまで…って感じ。強いていえばもう荒廃した街が1人の登場人物と言ってもいいかなと思うくらい。

とにかく何に対しても説明がないので、感じろ!!!という制作側の圧が凄かったですね……。
考えさせる間も与えてくれない(おちゃらけパートとかも基本無いし)ので、本当に超高速。

バイクで高速をぶっ飛ばすシーン、かっこよかったです。マジで。ライトの尾を引く感じがたまらなかった。私都会の夜が好きなのでそこもぶっ刺さってました……。

あと音楽がいい。これはマジ。

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どうやらこの世界では1988年に東京で大爆発が発生。
それが引き金となり第三次世界大戦が勃発した模様。
爆発と対戦でぐちゃぐちゃになった東京は、ふたたびビルが立ち並ぶ都会になったけど、治安は最悪。

この街を「熟しすぎた果実(うろ覚え)」と言っているセリフがあったように思う。
塾した実を拭う風を待っている街。ひたすらに祈祷を行う人も映されていた。

私は当時を生きていないので話で聞いただけなのですが、1900年代が終わる頃、『ノストラダムスの大予言』なんかが流行ったのだと聞きます。
新しい時代の幕開けと共に、築いた文明は崩壊する。社会に漂う崩壊の空気。

なんだかリンクしてるなーと思いました。
こんな街やってられっかよ!って暴走族はバイクを走らせ、学生たちは武器を握る。
そう簡単に変えられないのだよと偉い人達は抑え込む。

大佐ってなんだったんでしょう。あの街を復興させたと言います。そして、劇中で最も重要なキーワード「AKIRA」の管理もしている模様。
議員らに訴えかけるのはサイキッカー達に予算をさけ、そうしないとまた崩壊がくるぞ、と……。

一見、街を守ろうとする立場のようにも見えるけれど、見方を変えれば今の街を維持しようとしているだけ。現状維持に過ぎない。
変えようと(やり方はどうであれ)動いている人々の敵かもしれません。

こんな街どうだっていいんだよぶっ壊れろよ!
VS
荒れ果てていたとしても再びあの惨事が起こるのは阻止せねばならん。


変えたい、と強く願ったのは鉄雄。金田との関係を変えたい。いつもいつも守られるばかりの俺は嫌だ。
対して金田はそんな鉄雄の気持ちなんて一切気づいていなかったように見える。
力に目覚めかけて苦しむ鉄雄に、悪びれる様子もなく金田は「大丈夫か」と声をかける。逆撫でするわけですね。

変えたいと願った鉄雄には力が芽生えた。サイキックと言えばいいのか、まあそれは早い話最強の力。命なんてひと握りで奪うことが出来、この排気ガスの溜まる腐った街を壊すのも容易いこと。
人々はそんな力を持った鉄雄を「AKIRA」と呼んだ。

「AKIRA」ってなんだろう、というのがまあ一番の疑問です。解剖され研究され尽くし冷凍保存された男児。
かつてはサイキッカー3人と共にいたようです。
別に鉄雄が得た力は「AKIRA」のものでは無い様子。それとこれとは別らしい。

でも明らかに1988年の爆発を見るに、「AKIRA」の力は破壊の力。触れてはならない力を制御しようとした人間へのバツとも言えるかもしれない。

破壊され尽くした街は、また1から作り直すしかないのです。破壊のあとには再生が付き物。作り直し。街は生まれ直す。


規模は確実に違いますが、あのイスラムの神の名前を叫びながら行われる自爆テロと「AKIRA」の爆発は同類のものかなと思いました。
変えたい、変わりたい意志の先にあったのは、破壊に付きまとう再生の光。その光を得るためにはこの犠牲は必要なのだ。
壊さないと作れない。だから壊すんです。レゴブロックで子供が遊ぶ時でさえ行われる、ごく普通の行動。

一言で「AKIRA」とは何かというのを、たった1回見ただけでは言い表せません。恐らく何度見ても無理だと思います。でも、ニュアンスそんな感じに思いました。

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アニメーション映画の中でもよく名前を聞く作品だったので、今回見てみました。
面白かったか、2回目は見たいかと聞かれると正直そこまでです。
でも、凄かった。評価されるのは分かる。って感じです。

破壊と再生の街に光があらんことを。

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