感想・考察
完走して振り返って
2021/05/02 18:24少女革命ウテナ
泣けなかった。
肩に力が入って手には汗が溢れてた。胸に無理やり空気を詰められたかのように息苦しい。そんな最終回。
だけど、泣けなかった。
あえて言葉にするとするなら、「すごいものを見せられてしまった」という圧倒感。
最終回を見てから数日が経つが、相変わらずそんな漠然とした感想しか出てこない。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
【天上ウテナというキャラクター】
天上ウテナに惚れちゃったんです。いやなんか、ガチ恋みたいなではなくて。
私も物書きの端くれだからかなあ、天上ウテナというキャラクターの構成の仕方にね、惚れちゃった。そりゃあプロが作ったんだからすごいのは当たり前なんだけどさ、私が今まで触れてきたどんなキャラクターより≪人間≫だった。
間違ってると思えば「間違ってる!」、わからなければ「わからない」。わけまえるとか考えずに、相手のバックボーンの想像は難しい。
これリアルすぎるでしょ。外見のデザインから中学生って設定は厳しいんじゃない?って思ったことあったけど間違ってた。ウテナは中学生です。14歳です。
あと、自我の統制というかアイデンティティの確立の限界年齢が14、15歳な気もしてる。
ほらウテナって「ぼくは女子!」って主張する割に男っぽい振る舞いをしたり(何が≪男っぽい≫かとかは置いといて)どっちつかずなんですよね。どちらにも属さないように描かれているようにも見える。
ウテナはウテナ。唯一無二。そしてそうあることに迷いはない。それが若葉の羨ましかったウテナの特別性であり強みでもあったのだと思います。
だけれどカッコイイ王子様に憧れる面とか弱いお姫様でいたいと願う面が共存するウテナはどちらにもなれなかったし、ならなかった。だから良かったんだなって思う。11話ではそこが弱点として書かれたけどね。アンシーの棺を開けられたのはそんなウテナだからこそ。
まあもちろん私が真っ直ぐで純粋なキャラが好きな傾向にあることも関係してるだろうし一人称ぼくの女の子って時点で属性が強すぎるというところも………げふんげふん。
【姫宮アンシーというキャラクター】
アンシーもねぇ、噛めば噛むほど味が出る女……。全話見終わってから生徒会編を見てるとね、セリフのさじ加減が絶妙でこの人ほんと………もう……って気持ちがしんどくなりますね……。ひめみや……ほんとのことを言ってやれよ………………。
チュチュがアンシーの心情の鏡写しだという話もあるのでそこに注目しながら見るのも楽しいかも。ミスリードも多い気もしますが。ちゅちゅ〜〜〜!
暁生編入ってから2人のベッドルームシーンで、アンシーは「ウテナさま、私、ほんとは……」と言う回がいくつかありましたね。あれ何を言いたがってたんでしょうか。兄とのイケナイ関係のこと?ずっとウテナさまを蔑んでいたこと?それとももっと他の?
姫宮アンシーというキャラクターはとことん「自分から」動くことはしないし意志を見せることも無い。言わば完全なる受動の形。
そんなアンシーが時々「自分の意思で」動くことがあって、やっぱりそのシーンは印象に残りますね。黒薔薇の対若葉戦の「早く剣を」然り。
アンシーは自分が好きだった頃のデュオスとウテナを重ねている節がありますよね。その上で決闘時ウテナの支援をしたりしてる。あれも「ウテナの支援」をしてるのか「デュオスに重なるウテナの支援」をしているのかというところでニュアンスが変わってくるなあと…。
ウテナはウテナとして姫宮を守ろうと、救い出そうとしてるんだぞ……。
【少女革命ウテナの異質性】
あとこの「少女革命ウテナ」という物語、よく考えると奇妙なんだなって思いました。
一般的な戦闘のある子供向けアニメだと、
戦闘前→何かしら悩みや突破しなければならない問題を持ったキャラの出現
戦闘中→その悩みが解決する言動や出来事があり、意識改革などが起こる。
戦闘後→戦闘前に抱えていた問題や悩みが無くなる。
という流れがあると思います。戦闘を経ての問題解決という流れが30分アニメの中で巻き起こるわけです。
私の好きな少女漫画原作のアニメ「しゅごキャラ!」はその典型的な例。主人公あむちゃんは敵対した人物の心に寄り添い、心の闇を取り除いてあげる。
対して「少女革命ウテナ」はどうか。
ウテナと樹璃が決闘をしても枝織への想いは現状維持のままだったし、
幹と決闘しても幹の幼さゆえの他人への願望の押し付けが変わることは無かったし、
黒薔薇の若葉と戦っても若葉の劣等感は消えない。
ましてや対茎子戦なんてウテナは茎子の名前すら知らずに剣を混じえた。当然、決闘を通してくれた茎子に何か変化は無かった。
そう、決闘は悩み解決の装置ではないんです、この「少女革命ウテナ」においては。決闘をしても変わらない。勝った負けたという事実だけが残るんです。
先述したあむちゃんとウテナの違いは何か。
それはウテナは徹底的にその悩みを持った人の第三者的立ち位置だ、ということ。踏み入ったとしてもお節介という言葉で片付けられてしまう程度。
何も変わらない決闘を繰り返すアニメ、「少女革命ウテナ」。
中々に奇妙。この「決闘しても変わらない」という点は大人と子供という縮図に関係してくる気もしています。
ウテナに敗れていった人々は本当に実力不足でウテナに負けたのでしょうか?本当はわざと負けたのかも?とか。まあこの話はまた追追やれたらなと。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
【お世話になったサイト様】
難しいストーリの考察やキャラの心情変化などを書いてくださってる方は沢山いて、私なんかより読みが深くて素敵なのでその辺はお任せします。
☞各話ごとの感想や考察を綴って下さっています。私は1話見る度にこのブログを読んで理解を深めていました。
蛍の墓
☞全体を通しての考察をなさっています。私の中では1番しっくり来ました。
考察:20年経って考える「少女革命ウテナ」
☞こちらも全体の考察。すごく分かりやすかったです。
【最終的な考察】もう一度「少女革命ウテナ」を全力で謎解きする。
様々な考察サイトを拝見しましたが、本当に人によって解釈がまちまちな印象です。それだけ、この物語は受け取り手の感性に委ねられていて、どの解釈も正しいということかなと。だから、自分の私だけの解釈も大事にしたいところだなあとも思いますね。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
とてもまとまりのない文章になってしまった気がしますが!
とにかく私の心はズタボロです。当分この作品への熱は冷めないでしょう。
今回はこれで。また今度!
肩に力が入って手には汗が溢れてた。胸に無理やり空気を詰められたかのように息苦しい。そんな最終回。
だけど、泣けなかった。
あえて言葉にするとするなら、「すごいものを見せられてしまった」という圧倒感。
最終回を見てから数日が経つが、相変わらずそんな漠然とした感想しか出てこない。
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【天上ウテナというキャラクター】
天上ウテナに惚れちゃったんです。いやなんか、ガチ恋みたいなではなくて。
私も物書きの端くれだからかなあ、天上ウテナというキャラクターの構成の仕方にね、惚れちゃった。そりゃあプロが作ったんだからすごいのは当たり前なんだけどさ、私が今まで触れてきたどんなキャラクターより≪人間≫だった。
間違ってると思えば「間違ってる!」、わからなければ「わからない」。わけまえるとか考えずに、相手のバックボーンの想像は難しい。
これリアルすぎるでしょ。外見のデザインから中学生って設定は厳しいんじゃない?って思ったことあったけど間違ってた。ウテナは中学生です。14歳です。
あと、自我の統制というかアイデンティティの確立の限界年齢が14、15歳な気もしてる。
ほらウテナって「ぼくは女子!」って主張する割に男っぽい振る舞いをしたり(何が≪男っぽい≫かとかは置いといて)どっちつかずなんですよね。どちらにも属さないように描かれているようにも見える。
ウテナはウテナ。唯一無二。そしてそうあることに迷いはない。それが若葉の羨ましかったウテナの特別性であり強みでもあったのだと思います。
だけれどカッコイイ王子様に憧れる面とか弱いお姫様でいたいと願う面が共存するウテナはどちらにもなれなかったし、ならなかった。だから良かったんだなって思う。11話ではそこが弱点として書かれたけどね。アンシーの棺を開けられたのはそんなウテナだからこそ。
まあもちろん私が真っ直ぐで純粋なキャラが好きな傾向にあることも関係してるだろうし一人称ぼくの女の子って時点で属性が強すぎるというところも………げふんげふん。
【姫宮アンシーというキャラクター】
アンシーもねぇ、噛めば噛むほど味が出る女……。全話見終わってから生徒会編を見てるとね、セリフのさじ加減が絶妙でこの人ほんと………もう……って気持ちがしんどくなりますね……。ひめみや……ほんとのことを言ってやれよ………………。
チュチュがアンシーの心情の鏡写しだという話もあるのでそこに注目しながら見るのも楽しいかも。ミスリードも多い気もしますが。ちゅちゅ〜〜〜!
暁生編入ってから2人のベッドルームシーンで、アンシーは「ウテナさま、私、ほんとは……」と言う回がいくつかありましたね。あれ何を言いたがってたんでしょうか。兄とのイケナイ関係のこと?ずっとウテナさまを蔑んでいたこと?それとももっと他の?
姫宮アンシーというキャラクターはとことん「自分から」動くことはしないし意志を見せることも無い。言わば完全なる受動の形。
そんなアンシーが時々「自分の意思で」動くことがあって、やっぱりそのシーンは印象に残りますね。黒薔薇の対若葉戦の「早く剣を」然り。
アンシーは自分が好きだった頃のデュオスとウテナを重ねている節がありますよね。その上で決闘時ウテナの支援をしたりしてる。あれも「ウテナの支援」をしてるのか「デュオスに重なるウテナの支援」をしているのかというところでニュアンスが変わってくるなあと…。
ウテナはウテナとして姫宮を守ろうと、救い出そうとしてるんだぞ……。
【少女革命ウテナの異質性】
あとこの「少女革命ウテナ」という物語、よく考えると奇妙なんだなって思いました。
一般的な戦闘のある子供向けアニメだと、
戦闘前→何かしら悩みや突破しなければならない問題を持ったキャラの出現
戦闘中→その悩みが解決する言動や出来事があり、意識改革などが起こる。
戦闘後→戦闘前に抱えていた問題や悩みが無くなる。
という流れがあると思います。戦闘を経ての問題解決という流れが30分アニメの中で巻き起こるわけです。
私の好きな少女漫画原作のアニメ「しゅごキャラ!」はその典型的な例。主人公あむちゃんは敵対した人物の心に寄り添い、心の闇を取り除いてあげる。
対して「少女革命ウテナ」はどうか。
ウテナと樹璃が決闘をしても枝織への想いは現状維持のままだったし、
幹と決闘しても幹の幼さゆえの他人への願望の押し付けが変わることは無かったし、
黒薔薇の若葉と戦っても若葉の劣等感は消えない。
ましてや対茎子戦なんてウテナは茎子の名前すら知らずに剣を混じえた。当然、決闘を通してくれた茎子に何か変化は無かった。
そう、決闘は悩み解決の装置ではないんです、この「少女革命ウテナ」においては。決闘をしても変わらない。勝った負けたという事実だけが残るんです。
先述したあむちゃんとウテナの違いは何か。
それはウテナは徹底的にその悩みを持った人の第三者的立ち位置だ、ということ。踏み入ったとしてもお節介という言葉で片付けられてしまう程度。
何も変わらない決闘を繰り返すアニメ、「少女革命ウテナ」。
中々に奇妙。この「決闘しても変わらない」という点は大人と子供という縮図に関係してくる気もしています。
ウテナに敗れていった人々は本当に実力不足でウテナに負けたのでしょうか?本当はわざと負けたのかも?とか。まあこの話はまた追追やれたらなと。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
【お世話になったサイト様】
難しいストーリの考察やキャラの心情変化などを書いてくださってる方は沢山いて、私なんかより読みが深くて素敵なのでその辺はお任せします。
☞各話ごとの感想や考察を綴って下さっています。私は1話見る度にこのブログを読んで理解を深めていました。
蛍の墓
☞全体を通しての考察をなさっています。私の中では1番しっくり来ました。
考察:20年経って考える「少女革命ウテナ」
☞こちらも全体の考察。すごく分かりやすかったです。
【最終的な考察】もう一度「少女革命ウテナ」を全力で謎解きする。
様々な考察サイトを拝見しましたが、本当に人によって解釈がまちまちな印象です。それだけ、この物語は受け取り手の感性に委ねられていて、どの解釈も正しいということかなと。だから、自分の私だけの解釈も大事にしたいところだなあとも思いますね。
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とてもまとまりのない文章になってしまった気がしますが!
とにかく私の心はズタボロです。当分この作品への熱は冷めないでしょう。
今回はこれで。また今度!
コメント
- 匿名 (非ログイン)2021/06/01 01:25
こんにちは、初めまして。
私もウテナが好きで、考察を読むのが趣味です。ウテナの解釈は本当に人それぞれで分かれますよね(笑)そこがウテナの魅力な気がします。
アニメをご覧になられたのなら、是非漫画版を読むのをおすすめします!(もう読破済みでしたらすみません)あとは劇場版も是非是非!個人的におすすめなのはミュージカル版です。キャストの方々が皆キャラそっくりで、演出も“ウテナらしさ”があるのでとてもおすすめです!
突然出てきて布教活動してすみません。感想と考察とても面白かったです。令和にウテナ好きさんと出会えて嬉しかったです。[ 返信する ]- 薫瑚2021/06/01 22:39
こちらこそ初めまして! こんな辺境のブログにお越しいただきありがとうございました(^^♪
漫画版は新装版を買って読みました……!アンシーがアニメよりお兄様大好きっ子だったり、あれはあれで面白かったです笑
映画もいいですよね!あれは制作側からのアニメ版完走のご褒美だと思っています。とにかく画面が綺麗……。
ミュージカルはまだ見てないのでいつか見られたらなと!ただでさえ演劇っぽいウテナですから、舞台作品になるとさぞ映えるだろうなと妄想してます……!笑
こちらこそコメント本当にありがとうございます…! これからもウテナ関連の更新をしていくので覗いてくださると嬉しいです(˶˙˚̮˙˶)[ 返信する ]
- 薫瑚2021/06/01 22:39