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「虚構の世界で遊びませんか」


『虚構の世界で遊びませんか。』

顔も名前も知らない誰かからのお誘い。突然届いたメール。
『虚構の世界』…なんと響きのいい言葉だろう。
ウザい親、面倒くさい友達、意味の見いだせない課題の山。うんざりして倦怠感に襲われていた私の目を覚ますには十分すぎた。

『遊ぼう』

1つ返事で、私は家を出た。
お母さんに「行ってきます」を言い忘れたな、と思ったときにはもう遅かった。

私は近所の公園でメールの主を待った。数分後、ぼうっとしていた私の前にひょこっと女の子が現れる。可哀想なほど頬にニキビができていた。女の子はにっと笑う。

「メールの送り主は貴方?」

こくっと首を動かす。不思議なほど口を開こうと彼女はしなかった。開こうとする意思もみられない。何かを口走らないように用心しているのか。

「これからどうするの?」
『………どうしたいの?』

『…虚構の世界で遊びたい』

私はゆき
彼女はさやか
彼はたくみ
この人はお母さん
私は私の思うまま。
この子達も、私の掌の上。
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