「アリシア……」
　無意識に空中庭園まで足を運んでいた私は、アリシアが眠る墓石の前に膝をつき、崩れるように俯いた。
「どうしたら、リーガルを幸せにしてあげられるかな」
　当然返事はないが、私は彼女に縋るように、続けて語りかける。
「……私、とんでもない事をしちゃったんじゃないかなって。リーガルは、自分の命と引き換えに最愛の恋人を救おうとした私の事を突き放せなかっただけなのに、それをいいことにアリシアを想い続けるリーガルからの愛を望んで、それって、最低だったんじゃないかなって、不安で、怖くて、」
　私はずっと抱えていた胸いっぱいの罪悪感をやっとの思いで吐き出すが、罪悪感が薄れる事はなく、重たい自己嫌悪が加わるだけだった。
「アリシア、あなたを救ってあげられなくてごめんね、自分勝手にリーガルとの未来を望んで、リーガルがあなたの事を想う時間を奪って、ごめん、ごめんなさい……」
　私はうわ言のように懺悔を繰り返しながら、その場にうずくまる。
　大粒の涙が溢れて止まらないけれど、泣く事すらも、烏滸がましい。