夢小説
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「もう二度と目を覚まさないかもしれぬと、幾度も考えた」
リーガルは未だ震える両の手のひらで、私の右手をぎゅっと包み込む。
棚の上の置き時計を見つめると、眠りについてから20時間ほど経っていた。驚いて目を凝らしてもう一度確認してみるが、やはり20時間ほど眠っていたらしい。
疲れていたのかな、なんて呑気にあくびを噛み締めるが、いつもは温かいリーガルの手のひらが冷や汗で冷たくなっていて、後ろめたい。
「心配かけてごめんね。でも本当にただ寝てただけだから大丈夫だよ」
「ああ……良かった」
リーガルは私の返事に安堵した様子だったけれど、私の右手を包むその両手にはより一層力が込められる。
「……ねぇリーガ、もし、私が目を覚まさなかったらどうしてた?」
意地が悪い質問だという自覚はあった。しかし、最愛の恋人を失った彼が再び誰かを失った時、どう生きるのかを知っておきたかった。
「……お前の生きた証をかき集め、お前との想い出を一秒足りとも零れ落とさず胸に抱えて生きていくだろう」
目を伏せて話し始めたリーガルがふと顔を上げ、私を真っ直ぐに見据える。その瞳に迷いはなかった。
「……リーガは強いね」
「強くなどない。自分の生き方が正解なのかもわからぬ」
「……正解だよ。忘れられたら、消えちゃうもん」
故人が記憶の中から消え去ればそれは二度目の死となるが、残された者がその記憶を糧にする事で失われた命の価値を作り上げ、意味となる。
彼はすでにアリシアという一つの命を背負っている分、その人生を棒に振る訳にはいかないのだ。
「……傍にいてくれ、アイレス」
リーガルは私がいなくなった世界でも光を見つけ、青空の下を歩き続けるのだろう。しかしその声はいつもの穏やかな低音ながらも小さく震え、悲痛な叫び声のようだった。
「大丈夫、大丈夫だよ」
いつかは訪れる別れの日。どちらが先かなんてわからないけれど、今はまだ彼の傍を離れるわけにはいかないと、私は空いた左手で彼の頭をそっと撫で付けた。
リーガルは未だ震える両の手のひらで、私の右手をぎゅっと包み込む。
棚の上の置き時計を見つめると、眠りについてから20時間ほど経っていた。驚いて目を凝らしてもう一度確認してみるが、やはり20時間ほど眠っていたらしい。
疲れていたのかな、なんて呑気にあくびを噛み締めるが、いつもは温かいリーガルの手のひらが冷や汗で冷たくなっていて、後ろめたい。
「心配かけてごめんね。でも本当にただ寝てただけだから大丈夫だよ」
「ああ……良かった」
リーガルは私の返事に安堵した様子だったけれど、私の右手を包むその両手にはより一層力が込められる。
「……ねぇリーガ、もし、私が目を覚まさなかったらどうしてた?」
意地が悪い質問だという自覚はあった。しかし、最愛の恋人を失った彼が再び誰かを失った時、どう生きるのかを知っておきたかった。
「……お前の生きた証をかき集め、お前との想い出を一秒足りとも零れ落とさず胸に抱えて生きていくだろう」
目を伏せて話し始めたリーガルがふと顔を上げ、私を真っ直ぐに見据える。その瞳に迷いはなかった。
「……リーガは強いね」
「強くなどない。自分の生き方が正解なのかもわからぬ」
「……正解だよ。忘れられたら、消えちゃうもん」
故人が記憶の中から消え去ればそれは二度目の死となるが、残された者がその記憶を糧にする事で失われた命の価値を作り上げ、意味となる。
彼はすでにアリシアという一つの命を背負っている分、その人生を棒に振る訳にはいかないのだ。
「……傍にいてくれ、アイレス」
リーガルは私がいなくなった世界でも光を見つけ、青空の下を歩き続けるのだろう。しかしその声はいつもの穏やかな低音ながらも小さく震え、悲痛な叫び声のようだった。
「大丈夫、大丈夫だよ」
いつかは訪れる別れの日。どちらが先かなんてわからないけれど、今はまだ彼の傍を離れるわけにはいかないと、私は空いた左手で彼の頭をそっと撫で付けた。