夢小説
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今日は休日。恋人であるネズの部屋にお邪魔して、二人でのんびりと過ごす最高の一日。
ソファに座りながら雑誌を読むネズ。私も何か読もうかなとマガジンラックに手を伸ばそうとした時、静かに揺れるネズの髪の毛がお菓子みたいでおいしそうだなとふと思い、ソファ越しに彼の髪の毛をそっと触ってみる。
白黒の髪の毛は整髪料でガッチリと固められていて触り心地は正直良くないけれど、この白と黒の棘にネズらしさが詰まっていて、好きだ。
それからしばらくネズが作った歌を口ずさみ、白黒の髪の毛を眺めたり指先で撫でたりしていると、ふいに彼が振り向く。
「暇そうですね。構ってやりましょうか?」
「んー、なんだかおいしそうだなって」
「おいしそう?」
ネズが読んでいるのは音楽雑誌だし、テレビがついているわけでもない。彼も心当たりがないのだろう。不思議そうな顔でこちらを見つめるネズの髪の毛を、私は再度撫で付けた。
「うん。ネズの髪の毛がなんだかお菓子みたいで」
「ああ、そういうことですか。おまえのほっぺたの方がうまそうですけどね」
笑顔のネズに頬を右手でむにむにと摘まれる。私が不服そうな顔をしていると、クククと笑って手を離される。
もう……と呟きながらネズの瞳を見つめると、微笑んだ口元のまま首に腕を回された。
近づいて来るネズの顔。そのままコツンと当たる額と額。
「おれはおまえを丸ごと食べてしまいたいよ」
「えっ、食べ……っ!?」
「冗談ですよ」
ふっと笑って離れるネズ。からかわれてちょっとムッとするけれど、本当に食べられては困る。
私は今度こそマガジンラックから雑誌を手に取ると、ネズの隣に腰掛けた。
横目でちらりとネズを見ると、つまらなそうな顔で、けれど夢中に雑誌を読んでいる。
私は特に気になる話題があるわけではないけれど、手に取った雑誌をパラパラとめくる。すると大人気少女漫画が映画化されるという記事が目に入り、ページをめくる手が止まる。
壁ドンや顎クイなどの王道ワンシーンの撮影現場がピックアップされていたのだ。
こういうことを当たり前にやるのは作り話の中だけだとわかっているけれど、やっぱり憧れてしまう。
「ネズ、あのね、これ」
「うん?」
隣に座る彼におねだりせずにはいられなくなり、私がその一ページを指差すと、ネズは片眉を上げて何やらつまらなそうな顔をする。
ネズこういうの苦手だったっけ、と首を傾げていると、ふいに雑誌を取られてしまう。
「へえ、おまえはこういう男が好みなんですね」
「え?あ、ちが、」
そういう意味じゃなくて、と弁明しようとするけれど、鼻先同士が当たる距離まで顔を近づけられ、言いかけた言葉が喉奥に詰まる。
「ねぇ、リキュラ。おれの方がいい男だと思わねーですか?」
至近距離で自信ありげに瞳を覗き込んでくるネズ。
私はどぎまぎとして即座にこくこくと頷くと、ネズは満足したのかふっと笑いかけてくる。
「次他の男の顔を見せたら、容赦しねーですからね」
ネズは低い声でそう囁くと、私の唇に触れるだけのキスをして、また雑誌へと視線を戻す。
ネズの顔、ネズの声、ネズの唇にドキドキとしている私とは裏腹に、ネズはもう何事もなかったかのように雑誌をパラパラとめくっている。
その上私の雑誌はサイドテーブルへと押しやって、返してはくれないらしい。
私はその様に文句を言いそうになるけれど、ネズは無言で手元の音楽雑誌をこちらに見えるように傾けてくれるものだから、私は一つ溜息をつきながらも口元を緩ませて、ネズの肩に頭を預けた。
*
ネズの家のソファは、どうしてこうも居心地が良いのだろう。
雑誌をひとしきり読み終えた私はソファに置かれたグレーのクッションを抱き締め、横になる。このままここで暮らしたい。なんてことを思うけれど、もうすぐ帰る時間。
私は名残惜しくてソファの上で丸くなる。席を外しているネズの代わりにクッションを強く抱き締めながら。
「暗くなって来ましたね。リキュラ、送りますよ」
戻って来たネズは私に話しかけながらベランダのカーテンを閉めると、私のそばまでやってくる。
「んん……」
私は帰りたくなくて、狸寝入りをしながらソファの奥へところりと転がった。
ネズはいつも私が寝落ちするとそのまま家に泊めてくれるのだ。
「全く、仕方のないやつですね」
ネズの呟きに内心ガッツポーズをしながら狸寝入りを続ける。
私は嘘の寝息を立てながらネズの意識が逸れるのを待った。すると影が落ちてきて、耳元に温かい風が吹く。それが吐息だと気づいた時には、彼の柔らかな唇が私の耳殻に触れていた。
「愛してますよ、リキュラ」
耳元で囁かれ、私は飛び上がるように起き上がった。
「ず、ずるい!!」
「ずるいのはおまえの方でしょう」
顔を熱くする私とは対照的に、呆れ顔でこちらを見やり、ソファの端に腰を下ろすネズ。
私は改めて座り直すと、膝を抱えてネズの方へと視線を向ける。
「だって、帰りたくなくて……」
「この前泊まったばかりじゃねーですか」
「そうだけど……」
私が口篭ると、ネズはやれやれとでも言いたげな溜息を吐く。
「……リキュラ、顔をこっちへ」
名前を呼ばれてネズの方へ顔を向けると、ふいに顔を寄せられ、唇同士が触れ合った。
私が唇を僅かに開くと、ゆっくりと彼の舌が入り込んでくる。そしてどちらともなく舌同士を絡ませて、深く深く混じり合う。
私を受け入れてくれる安心感の中に初めてキスをした日と何ら変わらない高揚を感じて、きゅっと胸が締め付けられる。
そんな心地良さに揺られて、ネズの唇が離れて行った頃にはその胸元に縋りついていた。
「まだ寂しいですか?」
私はすぐそばでネズの吐息を感じながら、彼の胸元に寄せた指先に力を込める。
「もっと、欲しくなる……」
私がそう囁くと、ネズは一拍置いて妖しい笑みを浮かべた。
「おまえは欲張りだね」
小さく笑いながら、また唇を重ねてくれるネズ。
なんだかんだで甘くて優しい恋人。
明日は彼の寝室で朝を迎える事だろう。
ソファに座りながら雑誌を読むネズ。私も何か読もうかなとマガジンラックに手を伸ばそうとした時、静かに揺れるネズの髪の毛がお菓子みたいでおいしそうだなとふと思い、ソファ越しに彼の髪の毛をそっと触ってみる。
白黒の髪の毛は整髪料でガッチリと固められていて触り心地は正直良くないけれど、この白と黒の棘にネズらしさが詰まっていて、好きだ。
それからしばらくネズが作った歌を口ずさみ、白黒の髪の毛を眺めたり指先で撫でたりしていると、ふいに彼が振り向く。
「暇そうですね。構ってやりましょうか?」
「んー、なんだかおいしそうだなって」
「おいしそう?」
ネズが読んでいるのは音楽雑誌だし、テレビがついているわけでもない。彼も心当たりがないのだろう。不思議そうな顔でこちらを見つめるネズの髪の毛を、私は再度撫で付けた。
「うん。ネズの髪の毛がなんだかお菓子みたいで」
「ああ、そういうことですか。おまえのほっぺたの方がうまそうですけどね」
笑顔のネズに頬を右手でむにむにと摘まれる。私が不服そうな顔をしていると、クククと笑って手を離される。
もう……と呟きながらネズの瞳を見つめると、微笑んだ口元のまま首に腕を回された。
近づいて来るネズの顔。そのままコツンと当たる額と額。
「おれはおまえを丸ごと食べてしまいたいよ」
「えっ、食べ……っ!?」
「冗談ですよ」
ふっと笑って離れるネズ。からかわれてちょっとムッとするけれど、本当に食べられては困る。
私は今度こそマガジンラックから雑誌を手に取ると、ネズの隣に腰掛けた。
横目でちらりとネズを見ると、つまらなそうな顔で、けれど夢中に雑誌を読んでいる。
私は特に気になる話題があるわけではないけれど、手に取った雑誌をパラパラとめくる。すると大人気少女漫画が映画化されるという記事が目に入り、ページをめくる手が止まる。
壁ドンや顎クイなどの王道ワンシーンの撮影現場がピックアップされていたのだ。
こういうことを当たり前にやるのは作り話の中だけだとわかっているけれど、やっぱり憧れてしまう。
「ネズ、あのね、これ」
「うん?」
隣に座る彼におねだりせずにはいられなくなり、私がその一ページを指差すと、ネズは片眉を上げて何やらつまらなそうな顔をする。
ネズこういうの苦手だったっけ、と首を傾げていると、ふいに雑誌を取られてしまう。
「へえ、おまえはこういう男が好みなんですね」
「え?あ、ちが、」
そういう意味じゃなくて、と弁明しようとするけれど、鼻先同士が当たる距離まで顔を近づけられ、言いかけた言葉が喉奥に詰まる。
「ねぇ、リキュラ。おれの方がいい男だと思わねーですか?」
至近距離で自信ありげに瞳を覗き込んでくるネズ。
私はどぎまぎとして即座にこくこくと頷くと、ネズは満足したのかふっと笑いかけてくる。
「次他の男の顔を見せたら、容赦しねーですからね」
ネズは低い声でそう囁くと、私の唇に触れるだけのキスをして、また雑誌へと視線を戻す。
ネズの顔、ネズの声、ネズの唇にドキドキとしている私とは裏腹に、ネズはもう何事もなかったかのように雑誌をパラパラとめくっている。
その上私の雑誌はサイドテーブルへと押しやって、返してはくれないらしい。
私はその様に文句を言いそうになるけれど、ネズは無言で手元の音楽雑誌をこちらに見えるように傾けてくれるものだから、私は一つ溜息をつきながらも口元を緩ませて、ネズの肩に頭を預けた。
*
ネズの家のソファは、どうしてこうも居心地が良いのだろう。
雑誌をひとしきり読み終えた私はソファに置かれたグレーのクッションを抱き締め、横になる。このままここで暮らしたい。なんてことを思うけれど、もうすぐ帰る時間。
私は名残惜しくてソファの上で丸くなる。席を外しているネズの代わりにクッションを強く抱き締めながら。
「暗くなって来ましたね。リキュラ、送りますよ」
戻って来たネズは私に話しかけながらベランダのカーテンを閉めると、私のそばまでやってくる。
「んん……」
私は帰りたくなくて、狸寝入りをしながらソファの奥へところりと転がった。
ネズはいつも私が寝落ちするとそのまま家に泊めてくれるのだ。
「全く、仕方のないやつですね」
ネズの呟きに内心ガッツポーズをしながら狸寝入りを続ける。
私は嘘の寝息を立てながらネズの意識が逸れるのを待った。すると影が落ちてきて、耳元に温かい風が吹く。それが吐息だと気づいた時には、彼の柔らかな唇が私の耳殻に触れていた。
「愛してますよ、リキュラ」
耳元で囁かれ、私は飛び上がるように起き上がった。
「ず、ずるい!!」
「ずるいのはおまえの方でしょう」
顔を熱くする私とは対照的に、呆れ顔でこちらを見やり、ソファの端に腰を下ろすネズ。
私は改めて座り直すと、膝を抱えてネズの方へと視線を向ける。
「だって、帰りたくなくて……」
「この前泊まったばかりじゃねーですか」
「そうだけど……」
私が口篭ると、ネズはやれやれとでも言いたげな溜息を吐く。
「……リキュラ、顔をこっちへ」
名前を呼ばれてネズの方へ顔を向けると、ふいに顔を寄せられ、唇同士が触れ合った。
私が唇を僅かに開くと、ゆっくりと彼の舌が入り込んでくる。そしてどちらともなく舌同士を絡ませて、深く深く混じり合う。
私を受け入れてくれる安心感の中に初めてキスをした日と何ら変わらない高揚を感じて、きゅっと胸が締め付けられる。
そんな心地良さに揺られて、ネズの唇が離れて行った頃にはその胸元に縋りついていた。
「まだ寂しいですか?」
私はすぐそばでネズの吐息を感じながら、彼の胸元に寄せた指先に力を込める。
「もっと、欲しくなる……」
私がそう囁くと、ネズは一拍置いて妖しい笑みを浮かべた。
「おまえは欲張りだね」
小さく笑いながら、また唇を重ねてくれるネズ。
なんだかんだで甘くて優しい恋人。
明日は彼の寝室で朝を迎える事だろう。