夢小説
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私は、カブさんに恋をしている。
穏やかな口調。物腰柔らかな態度。朗らかな笑顔。それに加えて、そこからは考えられないような燃えるように熱いバトルを繰り広げる。
私はどんどん惹かれていった。けれど、彼はまるで私に興味なし。
私は一つ溜息を吐きながら、今日もエンジンスタジアムへと足を運ぶ。
少しでもカブさんに、私のことを見てもらえるように。
*
エンジンスタジアムに着くと、大きな玄関前でカブさんが出迎えてくれる。
「やあ、カラテアくん。調子はどうかな」
「いつも通り元気です!」
「ふふ、そのようだね。はい、これ」
そう言って手渡してくるのは、ワンパチをモチーフにしたストラップ。
「これ、なんですか?」
「なんだかきみを思い出してね。思わず買ってしまったんだ」
会う度に、色んな物を渡してくるカブさん。時にはドリンク。時には飴玉。今日はとうとうストラップ。
意識してもらうどころか、子供扱いが加速している気がしてならない。
「そういえば、今日はエイプリルフールなんだってね」
「あ、そういえば」
「さっき、さっそく友人に騙されてしまったよ」
「なんて騙されたんですか?」
「今日の食事会はなしになった、ってね」
「食事会?」
「うん。食事会と言っても、友人達やジムのみんなを集めてカレーを作るだけなんだけどね。カラテアくんも来るかい?」
「行きたいです!」
「じゃあ日が暮れる頃、またここに来てくれるかな」
「はい!」
私が元気よく返事をすると、カブさんはふふ、と笑ってくれる。
だけどそうか、エイプリルフール……
私はひとつ嘘を思いつき、ニヤつき顔が表に出ないようにカブさんに向き合った。
「おや、どうしたんだい?」
「……カブさん、好きです。付き合ってください」
カブさんは笑顔から真顔になり、静止する。さっきエイプリルフールだという話をしたばかりなのに、真摯に受け止めてくれるのが何とも彼らしい。
しかし、息がしづらいその空気感に「嘘でしたー!」ともなかなか言い出せず、風がそよぐ音だけが、私達の間をさらりと通り抜けていく。
「あ、ああ、今日はエイプリルフールだったね」
やっと嘘だと気づいたようで、少し焦りながらも心底ほっとしたような困り顔を向けてくるカブさん。
その顔に、やっぱりまだまだ脈はないなと落ち込むけれど、変な感じにならなくて良かったなと、私もほっと胸を撫で下ろした。
「あっ、はい、そう、そうなんです!エイプリルフール!」
「ふふ、まんまと騙されてしまったね」
先程の空気感の名残でぎこちなくネタばらしをすると、すぐに柔らかい笑顔を見せてくれるカブさん。
そんな彼を見ていると「好きなのは本当ですけどね」そう伝えたい気持ちでいっぱいになるけれど、またあの張り詰めた空気になってしまえば、今度こそどうしたらいいのかわからない。
「カブさん、カレーパーティ楽しみですね」
「カレーパーティ……ふふ、そうだね。楽しみだ」
何事もなかったかのように他愛もない話を振ると、柔らかい笑みが返ってくる。
今日も変わらず脈ナシだったけれど、この瞬間がたまらなく愛おしい。
今はまだ、この距離で。
穏やかな口調。物腰柔らかな態度。朗らかな笑顔。それに加えて、そこからは考えられないような燃えるように熱いバトルを繰り広げる。
私はどんどん惹かれていった。けれど、彼はまるで私に興味なし。
私は一つ溜息を吐きながら、今日もエンジンスタジアムへと足を運ぶ。
少しでもカブさんに、私のことを見てもらえるように。
*
エンジンスタジアムに着くと、大きな玄関前でカブさんが出迎えてくれる。
「やあ、カラテアくん。調子はどうかな」
「いつも通り元気です!」
「ふふ、そのようだね。はい、これ」
そう言って手渡してくるのは、ワンパチをモチーフにしたストラップ。
「これ、なんですか?」
「なんだかきみを思い出してね。思わず買ってしまったんだ」
会う度に、色んな物を渡してくるカブさん。時にはドリンク。時には飴玉。今日はとうとうストラップ。
意識してもらうどころか、子供扱いが加速している気がしてならない。
「そういえば、今日はエイプリルフールなんだってね」
「あ、そういえば」
「さっき、さっそく友人に騙されてしまったよ」
「なんて騙されたんですか?」
「今日の食事会はなしになった、ってね」
「食事会?」
「うん。食事会と言っても、友人達やジムのみんなを集めてカレーを作るだけなんだけどね。カラテアくんも来るかい?」
「行きたいです!」
「じゃあ日が暮れる頃、またここに来てくれるかな」
「はい!」
私が元気よく返事をすると、カブさんはふふ、と笑ってくれる。
だけどそうか、エイプリルフール……
私はひとつ嘘を思いつき、ニヤつき顔が表に出ないようにカブさんに向き合った。
「おや、どうしたんだい?」
「……カブさん、好きです。付き合ってください」
カブさんは笑顔から真顔になり、静止する。さっきエイプリルフールだという話をしたばかりなのに、真摯に受け止めてくれるのが何とも彼らしい。
しかし、息がしづらいその空気感に「嘘でしたー!」ともなかなか言い出せず、風がそよぐ音だけが、私達の間をさらりと通り抜けていく。
「あ、ああ、今日はエイプリルフールだったね」
やっと嘘だと気づいたようで、少し焦りながらも心底ほっとしたような困り顔を向けてくるカブさん。
その顔に、やっぱりまだまだ脈はないなと落ち込むけれど、変な感じにならなくて良かったなと、私もほっと胸を撫で下ろした。
「あっ、はい、そう、そうなんです!エイプリルフール!」
「ふふ、まんまと騙されてしまったね」
先程の空気感の名残でぎこちなくネタばらしをすると、すぐに柔らかい笑顔を見せてくれるカブさん。
そんな彼を見ていると「好きなのは本当ですけどね」そう伝えたい気持ちでいっぱいになるけれど、またあの張り詰めた空気になってしまえば、今度こそどうしたらいいのかわからない。
「カブさん、カレーパーティ楽しみですね」
「カレーパーティ……ふふ、そうだね。楽しみだ」
何事もなかったかのように他愛もない話を振ると、柔らかい笑みが返ってくる。
今日も変わらず脈ナシだったけれど、この瞬間がたまらなく愛おしい。
今はまだ、この距離で。