夢小説
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いつものように仕事を終えた私は、最寄り駅のコンビニでお酒を物色していた。毎週末の楽しみだ。
ビール、ハイボール、サワー……新商品もいくつかあって迷ってしまうが、今はダイエット中。
私は一番カロリーが低いいつものハイボールを手に取った。
「桜木?」
「え?」
ふいに声をかけられ、ハイボールを片手に振り向くと、そこにはベルナルドさんが立っていた。
私が習っているフィットボクシングの担当インストラクターで、私の想い人。
「べ、べるなるどさん……」
「おお、やっぱり桜木か。奇遇だな。買い物か?」
ベルナルドさんはそう言いながら、私が腕にぶら下げるカゴの中身をふと見やる。
カゴの中には数本のお酒とおつまみしか入っておらず、女子力の欠片もない。
「あ、えっと、これは……」
「宅飲みか?」
「いや、ひとり、で……」
私は恥ずかしさから、ドリンクの扉をパタンと閉めながら俯いた。
どうしてよりにもよってこんな日に……!
今にもカゴの中身を水やサラダに入れ替えたい気持ちでいっぱいだ。
「……なあ、俺も混ぜてくれないか?」
「え!?」
思いもよらないその言葉に、店内に大声を響かせてしまう。
「ああ、嫌ならいいんだ。一人で飲みたい時もあるよな」
「ち、違います!あ、あの、飲みたいです、ベルナルドさんと一緒に飲みたいです!」
私は拳に力を入れ、必死にベルナルドさんへと訴える。片手に持ったハイボールがペコリと音を立て、ほんの少しだけへこむ。
「そうか?なら今夜は一緒に飲もう。そのカゴ渡せ」
「あ、えっと、」
私がもたついていると、ベルナルドさんは私が持っていたカゴを持ち上げてレジまで運んでくれる。
「全部一緒で」
ベルナルドさんは私の手の内からハイボールを攫うと、スムーズにお会計を済ませてしまう。
私は慌てて財布を取り出すが、ベルナルドさんはこちらを全く気にしないまま自動扉をくぐり外へと行ってしまった。
私は慌ててその背中を追いかけた。
「あ、あの、奢ってもらっちゃってすみません、ありがとうございます」
「ん?ああ、このくらい気にするな。お前は可愛い生徒だからな」
生徒。その言葉に胸がモヤモヤとして、口がへの字に曲がる。
確かに私はベルナルドさんの生徒ではあるけれど、恋愛対象として見てほしい、もっと彼に異性として意識して欲しいのだ。
「どうした?」
「あ、いえ、なんでもないです」
不思議そうな顔をしたベルナルドさんにぎこちなく作った笑顔を見せると、小走りで彼の隣へとつく。
周りから見たら恋人同士だと思われないだろうかと、淡い下心を抱きながら。
*
「お、お邪魔します」
「おう。こっちだ」
案内されたベルナルドさんの部屋に上がって彼の後をついて行くと、八畳ほどの広さのリビングに通される。
部屋は至ってシンプルで、ダークブラウンのラグの上にローテーブル、それを挟んで二人がけの黒いソファと大型のテレビが置いてある。そしてその辺りにはトレーニング用の器具がちらほらと見え、今この瞬間、ベルナルドさんの部屋にいるんだという実感に包まれて胸がドキドキと高鳴った。
「グラスと氷を持ってくる。お前さんは適当に座っていてくれ」
ベルナルドさんはそう言うと、キッチンの方へと歩いていく。
私は改めてぐるりと部屋を見渡した後、二人がけのソファへと腰を下ろした。
ベルナルドさんがグラスと氷を持って戻って来ると、躊躇なく私の隣へと腰を下ろした。肩と肩が触れ合う距離に、心臓がうるさく鳴る。
「人を家にあげるのは久しぶりだ」
ベルナルドさんはそう呟くと、二人分のグラスにお酒を注ぎ込む。
「今日もお疲れさん、乾杯」
「あ、はい、か、乾杯……」
私はこちらに傾くグラスに自分のグラスをカチンとぶつけると、揺れる辛口のハイボールを口に含んだ。
*
私達二人はお酒を飲みながら、何でもない雑談に花を咲かせる。上司がどうのとか、近所に野良猫が住み着いてるだとか、フィットボクシングの極意だとか。どうでもいい話から、為になる話まで。どちらにせよ、明日には忘れているのだろうけど。
私はふらふらに酔っ払い、ベルナルドさんの肩へと寄り掛かる。今だけ、今だけだからと心の中で言い訳をしながら。
「なあ、桜木」
「?」
ベルナルドさんが、頭に響く低音で語りかける。それもいつものトーン故に、私は警戒しないまま、ベルナルドさんの顔を見上げた。
すると、彼はゆっくりと顔を下げ、互いの鼻先がかするところまで私に近づく。
「この時間に男の部屋に一人で上がり込むことが、どういう意味かわからないほど子供じゃないよな?」
「べるなるどさん……?」
静かな部屋で、ベルナルドさんと見つめ合う。
それから数秒。
お酒のせいで思考力が低下した私は、彼の胸元に手のひらを当て、体温を感じ取るようにゆっくりと動かした。
「可愛い生徒だって、言ったじゃないですか……」
「ただの生徒だと思っていたら、部屋にあげたりなんかしないぞ」
吐息のかかる距離でそう呟くベルナルドさんに、私は思わず唇を寄せた。お酒でぐにゃぐにゃになった理性は役割を果たすことなく、彼の厚い唇を啄み、アルコールを含んだ吐息を吐きながら子供のようなキスを何度も何度も繰り返す。
そのうち頭がぼんやりして、唇をそっと離すと、突然唇を食べられるようなキスに襲われる。
「ん、んぅっ」
分厚い舌が隙間へと割り込むと、すぐに口内を侵され息がどんどん浅くなる。
「んっ、ふ、はぁっ」
「はっ……ちゃんと息をしろ、桜木」
「べるなるどさん、すき、すきなんです、あなたのことが、ずっと……」
溶ける理性の中で、ベルナルドさんへの想いを伝える。けれどその瞬間、重たい眠気が頭を襲い、彼からの返事は宙を浮くようにして、私の耳へは届かない。
今眠るわけにはいかないと必死に抵抗するも虚しく、私はゆっくりと意識を手放した。
*
「んん……あれ、ここ……」
「おう、起きたか」
見慣れない部屋に、大好きなベルナルドさんの声。私は何が起きたかわからずに、痛む頭を抑えながら昨日の事を思い出す。
コンビニでベルナルドさんに偶然会って、ベルナルドさんの部屋に上がって、お酒を飲んで色んな話をして、その後は……
そこまで思い出して、顔から火が出るように熱くなる。
「あ、あの、えっと、」
私はいつの間にかかけられていた毛布で顔を隠すと、ベルナルドさんに笑われる。
「可愛いな、お前さんは」
「あ、あ、あの、返事、は……」
ふわふわとした意識の中で告白をしたことは覚えているのだけど、彼からの返事を聞いた覚えがない。
私は目の辺りから上だけを毛布から出すと、ベルナルドさんの顔を見つめた。
「昨日の返事、覚えてないのか?」
「う、ごめんなさい……」
私は居た堪れなさから、また毛布で顔を隠す。
「そうだなあ……」
ベルナルドさんは少し考え込むような仕草を見せると、毛布ごと私を抱き締めた。
「好きだ、桜木。俺の彼女になってくれ」
その言葉を聞いた私は、安堵と嬉しさで、眉根を寄せながらも笑顔でいっぱいになる。
「っ、はい!」
私はそう大きく返事をして、甘えるようにベルナルドさんの体に寄りかかった。
「ただし、レッスンは変わらず厳しくいくからな」
「う、はい……」
今度は小さく返事をすると、口を大きく開けて笑われる。
私は彼の厳しいレッスンを思い出して縮こまりながらも、今この瞬間の幸せを噛み締めた。
ビール、ハイボール、サワー……新商品もいくつかあって迷ってしまうが、今はダイエット中。
私は一番カロリーが低いいつものハイボールを手に取った。
「桜木?」
「え?」
ふいに声をかけられ、ハイボールを片手に振り向くと、そこにはベルナルドさんが立っていた。
私が習っているフィットボクシングの担当インストラクターで、私の想い人。
「べ、べるなるどさん……」
「おお、やっぱり桜木か。奇遇だな。買い物か?」
ベルナルドさんはそう言いながら、私が腕にぶら下げるカゴの中身をふと見やる。
カゴの中には数本のお酒とおつまみしか入っておらず、女子力の欠片もない。
「あ、えっと、これは……」
「宅飲みか?」
「いや、ひとり、で……」
私は恥ずかしさから、ドリンクの扉をパタンと閉めながら俯いた。
どうしてよりにもよってこんな日に……!
今にもカゴの中身を水やサラダに入れ替えたい気持ちでいっぱいだ。
「……なあ、俺も混ぜてくれないか?」
「え!?」
思いもよらないその言葉に、店内に大声を響かせてしまう。
「ああ、嫌ならいいんだ。一人で飲みたい時もあるよな」
「ち、違います!あ、あの、飲みたいです、ベルナルドさんと一緒に飲みたいです!」
私は拳に力を入れ、必死にベルナルドさんへと訴える。片手に持ったハイボールがペコリと音を立て、ほんの少しだけへこむ。
「そうか?なら今夜は一緒に飲もう。そのカゴ渡せ」
「あ、えっと、」
私がもたついていると、ベルナルドさんは私が持っていたカゴを持ち上げてレジまで運んでくれる。
「全部一緒で」
ベルナルドさんは私の手の内からハイボールを攫うと、スムーズにお会計を済ませてしまう。
私は慌てて財布を取り出すが、ベルナルドさんはこちらを全く気にしないまま自動扉をくぐり外へと行ってしまった。
私は慌ててその背中を追いかけた。
「あ、あの、奢ってもらっちゃってすみません、ありがとうございます」
「ん?ああ、このくらい気にするな。お前は可愛い生徒だからな」
生徒。その言葉に胸がモヤモヤとして、口がへの字に曲がる。
確かに私はベルナルドさんの生徒ではあるけれど、恋愛対象として見てほしい、もっと彼に異性として意識して欲しいのだ。
「どうした?」
「あ、いえ、なんでもないです」
不思議そうな顔をしたベルナルドさんにぎこちなく作った笑顔を見せると、小走りで彼の隣へとつく。
周りから見たら恋人同士だと思われないだろうかと、淡い下心を抱きながら。
*
「お、お邪魔します」
「おう。こっちだ」
案内されたベルナルドさんの部屋に上がって彼の後をついて行くと、八畳ほどの広さのリビングに通される。
部屋は至ってシンプルで、ダークブラウンのラグの上にローテーブル、それを挟んで二人がけの黒いソファと大型のテレビが置いてある。そしてその辺りにはトレーニング用の器具がちらほらと見え、今この瞬間、ベルナルドさんの部屋にいるんだという実感に包まれて胸がドキドキと高鳴った。
「グラスと氷を持ってくる。お前さんは適当に座っていてくれ」
ベルナルドさんはそう言うと、キッチンの方へと歩いていく。
私は改めてぐるりと部屋を見渡した後、二人がけのソファへと腰を下ろした。
ベルナルドさんがグラスと氷を持って戻って来ると、躊躇なく私の隣へと腰を下ろした。肩と肩が触れ合う距離に、心臓がうるさく鳴る。
「人を家にあげるのは久しぶりだ」
ベルナルドさんはそう呟くと、二人分のグラスにお酒を注ぎ込む。
「今日もお疲れさん、乾杯」
「あ、はい、か、乾杯……」
私はこちらに傾くグラスに自分のグラスをカチンとぶつけると、揺れる辛口のハイボールを口に含んだ。
*
私達二人はお酒を飲みながら、何でもない雑談に花を咲かせる。上司がどうのとか、近所に野良猫が住み着いてるだとか、フィットボクシングの極意だとか。どうでもいい話から、為になる話まで。どちらにせよ、明日には忘れているのだろうけど。
私はふらふらに酔っ払い、ベルナルドさんの肩へと寄り掛かる。今だけ、今だけだからと心の中で言い訳をしながら。
「なあ、桜木」
「?」
ベルナルドさんが、頭に響く低音で語りかける。それもいつものトーン故に、私は警戒しないまま、ベルナルドさんの顔を見上げた。
すると、彼はゆっくりと顔を下げ、互いの鼻先がかするところまで私に近づく。
「この時間に男の部屋に一人で上がり込むことが、どういう意味かわからないほど子供じゃないよな?」
「べるなるどさん……?」
静かな部屋で、ベルナルドさんと見つめ合う。
それから数秒。
お酒のせいで思考力が低下した私は、彼の胸元に手のひらを当て、体温を感じ取るようにゆっくりと動かした。
「可愛い生徒だって、言ったじゃないですか……」
「ただの生徒だと思っていたら、部屋にあげたりなんかしないぞ」
吐息のかかる距離でそう呟くベルナルドさんに、私は思わず唇を寄せた。お酒でぐにゃぐにゃになった理性は役割を果たすことなく、彼の厚い唇を啄み、アルコールを含んだ吐息を吐きながら子供のようなキスを何度も何度も繰り返す。
そのうち頭がぼんやりして、唇をそっと離すと、突然唇を食べられるようなキスに襲われる。
「ん、んぅっ」
分厚い舌が隙間へと割り込むと、すぐに口内を侵され息がどんどん浅くなる。
「んっ、ふ、はぁっ」
「はっ……ちゃんと息をしろ、桜木」
「べるなるどさん、すき、すきなんです、あなたのことが、ずっと……」
溶ける理性の中で、ベルナルドさんへの想いを伝える。けれどその瞬間、重たい眠気が頭を襲い、彼からの返事は宙を浮くようにして、私の耳へは届かない。
今眠るわけにはいかないと必死に抵抗するも虚しく、私はゆっくりと意識を手放した。
*
「んん……あれ、ここ……」
「おう、起きたか」
見慣れない部屋に、大好きなベルナルドさんの声。私は何が起きたかわからずに、痛む頭を抑えながら昨日の事を思い出す。
コンビニでベルナルドさんに偶然会って、ベルナルドさんの部屋に上がって、お酒を飲んで色んな話をして、その後は……
そこまで思い出して、顔から火が出るように熱くなる。
「あ、あの、えっと、」
私はいつの間にかかけられていた毛布で顔を隠すと、ベルナルドさんに笑われる。
「可愛いな、お前さんは」
「あ、あ、あの、返事、は……」
ふわふわとした意識の中で告白をしたことは覚えているのだけど、彼からの返事を聞いた覚えがない。
私は目の辺りから上だけを毛布から出すと、ベルナルドさんの顔を見つめた。
「昨日の返事、覚えてないのか?」
「う、ごめんなさい……」
私は居た堪れなさから、また毛布で顔を隠す。
「そうだなあ……」
ベルナルドさんは少し考え込むような仕草を見せると、毛布ごと私を抱き締めた。
「好きだ、桜木。俺の彼女になってくれ」
その言葉を聞いた私は、安堵と嬉しさで、眉根を寄せながらも笑顔でいっぱいになる。
「っ、はい!」
私はそう大きく返事をして、甘えるようにベルナルドさんの体に寄りかかった。
「ただし、レッスンは変わらず厳しくいくからな」
「う、はい……」
今度は小さく返事をすると、口を大きく開けて笑われる。
私は彼の厳しいレッスンを思い出して縮こまりながらも、今この瞬間の幸せを噛み締めた。
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