サカキ×夢主
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空はまだ薄暗い明け方、彼の寝室。扉が開く音で目が覚めた私は寝室を出た彼を追うと、一足先にソファに座った。寝惚けながらぼんやり時計の針を眺めていると、上から声が降ってくる。
「今日は早いな」
彼はそう言うとマグカップを手渡してくる。中を覗くとホットミルクが注がれていた。彼のカップから香るのは珈琲の匂い。わざわざ淹れてくれた事を思うと、また少し好きになった。
私がお礼を言うと、彼は私の頭を一撫でして隣に座る。
彼が起きてから仕事に行くまでの短い一時。いつもは夢の中だけど、たまにこうして過ごしてみると穏やかで心地良い。
そんな温かい気持ちで温かいホットミルクを啜っていると、ふと気になっていた事を思い出して彼に話しかける。
「ねぇサカキさん、恋人作らないでくださいね」
横目で覗き見るようにして見た彼の顔は、片眉が上がって怪訝そうだった。
「なんだいきなり。君の方こそどうなんだ」
「私が他の人を好きになると思いますか?」
「まぁないだろうな」
考える素振りもなく即答され、ムッとする。いつだって私の気持ちばかりが大きい。
「……そもそも私に恋人が出来ても何とも思わないでしょ、サカキさん」
私はわざとらしくそっぽを向くと、拗ね気味に返事をする。まるで幼い子供だが、寝起きだから仕方がないと自分に言い訳をした。
「どうだかな」
いつもと同じ、答えのない返事。私はまたムッとする。いっそ風船のように頬を膨らませてやろうかと思うが、呆れた顔をされるだけなので眉間に皺を寄せるだけに留める。
「また曖昧な返事する」
「ハッキリさせたらつまらないだろ?」
「恋愛に面白さなんて求めてないです」
「だが君は、ここから抜け出そうとはしないよな」
「それは……」
図星を突かれて言い淀む。だが一方的な恋愛が好きなわけではない。私は反論しようときちんと彼の方を向いて言葉を探すが、彼に先を越されてしまう。
「俺のこの態度も言動も、案外君の好みだったりしてな」
彼はそう言うと口角を上げ、いつもの意地悪そうな顔をこちらに向けてくる。
他の誰でもないあなただからですよ、と伝える余裕があるはずもなく、私はまたそっぽを向こうと顔を左に動かした。しかし彼に顎を捕えられ、目を逸らす事は叶わない。
「ウエサキ」
名前を呼ばれたかと思うと、返事をする間もなく唇を塞がれる。そのまま遠慮なしに入り込んで来た舌に自身の舌を絡め取られ、私は流れのままに彼に体を預けた。
結局彼の気持ちは少しも分からないままだけど、ほろ苦い珈琲の唾液が、私の中を満たしていった。
「今日は早いな」
彼はそう言うとマグカップを手渡してくる。中を覗くとホットミルクが注がれていた。彼のカップから香るのは珈琲の匂い。わざわざ淹れてくれた事を思うと、また少し好きになった。
私がお礼を言うと、彼は私の頭を一撫でして隣に座る。
彼が起きてから仕事に行くまでの短い一時。いつもは夢の中だけど、たまにこうして過ごしてみると穏やかで心地良い。
そんな温かい気持ちで温かいホットミルクを啜っていると、ふと気になっていた事を思い出して彼に話しかける。
「ねぇサカキさん、恋人作らないでくださいね」
横目で覗き見るようにして見た彼の顔は、片眉が上がって怪訝そうだった。
「なんだいきなり。君の方こそどうなんだ」
「私が他の人を好きになると思いますか?」
「まぁないだろうな」
考える素振りもなく即答され、ムッとする。いつだって私の気持ちばかりが大きい。
「……そもそも私に恋人が出来ても何とも思わないでしょ、サカキさん」
私はわざとらしくそっぽを向くと、拗ね気味に返事をする。まるで幼い子供だが、寝起きだから仕方がないと自分に言い訳をした。
「どうだかな」
いつもと同じ、答えのない返事。私はまたムッとする。いっそ風船のように頬を膨らませてやろうかと思うが、呆れた顔をされるだけなので眉間に皺を寄せるだけに留める。
「また曖昧な返事する」
「ハッキリさせたらつまらないだろ?」
「恋愛に面白さなんて求めてないです」
「だが君は、ここから抜け出そうとはしないよな」
「それは……」
図星を突かれて言い淀む。だが一方的な恋愛が好きなわけではない。私は反論しようときちんと彼の方を向いて言葉を探すが、彼に先を越されてしまう。
「俺のこの態度も言動も、案外君の好みだったりしてな」
彼はそう言うと口角を上げ、いつもの意地悪そうな顔をこちらに向けてくる。
他の誰でもないあなただからですよ、と伝える余裕があるはずもなく、私はまたそっぽを向こうと顔を左に動かした。しかし彼に顎を捕えられ、目を逸らす事は叶わない。
「ウエサキ」
名前を呼ばれたかと思うと、返事をする間もなく唇を塞がれる。そのまま遠慮なしに入り込んで来た舌に自身の舌を絡め取られ、私は流れのままに彼に体を預けた。
結局彼の気持ちは少しも分からないままだけど、ほろ苦い珈琲の唾液が、私の中を満たしていった。
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