夢主×サカキ
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
もうすぐホワイトデー。バレンタインにサカキさんに貰ったものと言えばチロルチョコ一粒だけど、それでもチョコレートはチョコレートに違いない。
僕はいつぶりか分からない百貨店のギフトコーナーへと足を運び、サカキさんへのお返しにとマカロンを購入しに来ていた。
ホワイトデーにマカロンを贈る意味は『特別な人』僕がサカキさんに抱く想い、そのままだ。
突っ返されなければいいけど……
僕は期待の代わりに少しの不安を抱きながら、店員さんから小さな紙袋を受け取った。
*
「サカキさん、バレンタインのお返ししないんですか?」
ホワイトデー当日、出会い頭にお返しを押し付ける勇気もなく、僕は小さな紙袋を隠し持つと、ソワソワしながらお返しへと繋がる話を切り出した。
サカキさんは相変わらず立派な机で書物と睨めっこをしている。
「ああ。いちいち返してられんからな。それに、今年は本命がいない」
本命が居ない。
その言葉を聞いて、思わず口元が緩む。
僕がサカキさんにとって何番目なのかはわからないけど、少なくとも一番目は存在しないのだ。これほど嬉しいことはない。
「……お前は怒るか落ち込むかするかと思ったんだがな」
「まさか。自分がサカキさんの本命になれるだなんて思ってませんよ」
「その割にはしつこくないか」
「それはそれ、これはこれです」
サカキさんが振り向いてくれなくても、僕はこの恋を諦めるつもりはない。
眉根を寄せて溜息を吐くサカキさんの顔も、見慣れたものだ。
「それはそうと、貰うのは僕からだけですよね」
僕は話を切り替えると、後ろ手に隠し持っていた小さな紙袋をサカキさんの机の上に置いた。
「ん?」
「バレンタインのお返し、マカロンです」
「ほう。お前は案外ロマンチストなんだな」
「意味、知ってるんですか?」
「特別な人、だろう」
囁くような低音で呟かれ、ドキリとする。それに、改めて言われるとなんだか恥ずかしい。
「あ、えっと……」
居た堪れなくなり視線を彷徨わせると、サカキさんにフッと笑われる。
「全く。格好つかないな、お前は」
「す、すみません」
僕は軽く謝ってからやっと目を合わせると、優しい瞳で見つめられる。
その視線が、僕を勘違いさせるんだ。
僕はそれから数秒、サカキさんと目を合わせると、踵を返してその部屋を後にした。
この身体に燻る熱が、止まりそうになかったから。
僕はいつぶりか分からない百貨店のギフトコーナーへと足を運び、サカキさんへのお返しにとマカロンを購入しに来ていた。
ホワイトデーにマカロンを贈る意味は『特別な人』僕がサカキさんに抱く想い、そのままだ。
突っ返されなければいいけど……
僕は期待の代わりに少しの不安を抱きながら、店員さんから小さな紙袋を受け取った。
*
「サカキさん、バレンタインのお返ししないんですか?」
ホワイトデー当日、出会い頭にお返しを押し付ける勇気もなく、僕は小さな紙袋を隠し持つと、ソワソワしながらお返しへと繋がる話を切り出した。
サカキさんは相変わらず立派な机で書物と睨めっこをしている。
「ああ。いちいち返してられんからな。それに、今年は本命がいない」
本命が居ない。
その言葉を聞いて、思わず口元が緩む。
僕がサカキさんにとって何番目なのかはわからないけど、少なくとも一番目は存在しないのだ。これほど嬉しいことはない。
「……お前は怒るか落ち込むかするかと思ったんだがな」
「まさか。自分がサカキさんの本命になれるだなんて思ってませんよ」
「その割にはしつこくないか」
「それはそれ、これはこれです」
サカキさんが振り向いてくれなくても、僕はこの恋を諦めるつもりはない。
眉根を寄せて溜息を吐くサカキさんの顔も、見慣れたものだ。
「それはそうと、貰うのは僕からだけですよね」
僕は話を切り替えると、後ろ手に隠し持っていた小さな紙袋をサカキさんの机の上に置いた。
「ん?」
「バレンタインのお返し、マカロンです」
「ほう。お前は案外ロマンチストなんだな」
「意味、知ってるんですか?」
「特別な人、だろう」
囁くような低音で呟かれ、ドキリとする。それに、改めて言われるとなんだか恥ずかしい。
「あ、えっと……」
居た堪れなくなり視線を彷徨わせると、サカキさんにフッと笑われる。
「全く。格好つかないな、お前は」
「す、すみません」
僕は軽く謝ってからやっと目を合わせると、優しい瞳で見つめられる。
その視線が、僕を勘違いさせるんだ。
僕はそれから数秒、サカキさんと目を合わせると、踵を返してその部屋を後にした。
この身体に燻る熱が、止まりそうになかったから。