wild police story
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「どうした?松田と降谷…その顔…」
案の定、翌日絆創膏まみれの彼らを見て、鬼塚教官は若干怒ったように問いかける。
「聞きたいっスか?」
「ああ…ぜひお聞かせ願いたいねぇ…」
松田が煽った為か、教官の表情が更に険しくなる。
こいつ、ここで一発怒られた方がいいのでは?
「実は…むぐっ」
ハッキリと喧嘩の件を伝えてしまおうと口を開けば後ろから手が伸びる手に口元を覆われる。犯人はもちろん松田だ。
「昨夜、自分の部屋にゴキブリが大量に出まして、その2人にも手伝ってもらったんですが、退治するのに夢中になり過ぎて肌に頭をぶつけるわ、立て掛けてたベッドが倒れてくるわで、散々な目にあいまして…」
私に被さるように前に出て話し始めたのはこの鬼塚教場の班長である伊達航だった。
「とはいえ大切な学校の備品に傷を付けてしまった罰として、我々鬼塚教場は
一周多く回ってきます!行くぞ!」
「「オウ!!」」
「お、おい!話はまだ…!」
上手く教官を誤魔化し二列縦隊マラソンが始まる。
真後ろから松田からの鋭い視線を感じたが、無視を続ける。
「よォ、陣平ちゃん…なんだよその面、色男が台無しじゃねぇか…」
「うるせぇよ、萩…」
松田に話しかけたのは同じく鬼塚教場の萩原研二だ。
萩原君はとにかくコミュニケーション能力が高い。
入校から間もなく周りの女子のハートを鷲掴みにし、彼の話を聞かない日は無い。
別の教場の女子さえも彼の話をしている。
それに引き換え松田はとてもガラが悪く無愛想で、とにかく協調性がない。
彼とは初授業で隣の席になり、休憩中に机の上に脚を乗せていたのを注意しただけでしつこく絡まれたので、松田陣平という男の好感度はダントツで最下位だ。
そんな両極端な彼らは幼なじみという事もあり、とても仲がいい。
「しかし降谷って奴もやるねぇ・・・プロボクサーの親父さんに仕込まれた陣平ちゃんとここまでやり合うとは…」
んで?どっちが勝ったんだ?と萩原君が問いかけると即座に降谷君と松田の両者が口を開く。
「僕だ!」「俺だ!」
お互い負けず嫌いな性格なのか、また睨み合いが始まってしまった。
こういう所は似てるかも…
「てか千代田よぉ…さっきバラそうとしただろ!」
気付けば私の隣に松田が追いついていた。
「別に誰も松田が昨日私に吹っ飛ばされた事なんて言おうとしてないし。」
「んなっ!?」
「それマジ?陣平ちゃんダセェ」
「う、うるせぇ!コイツが急に割り込んできたんだよ!」
松田はそういってビシッと私を指さした。
「てか、昨日も言ったけど、お前も抜け出してたし同罪だかんな!」
「抜け出してたのは私も悪いし、怒られる時は私も怒られるべきかな。」
私がそう発言すると、松田が急に黙ったのでどうしたんだろうと思い振り向くと、彼は驚愕といったような表情を浮かべていた。
「お前、ほんと気色悪ぃくらいクソ真面目だな。」
『せんせぇにチクリやがって、サクラってスパイかよ、きっしょ…』
(【気色悪い】…そんなの、自分でも分かってる)
「おいおい、陣平ちゃん、女の子に向かってそれはねーだろ…」
萩原君が松田を咎めると、軽く小突いた。
別にどう思われたっていい。憧れのあの人みたいになるためには、人にも自分にも厳しく在りたい。
「気色悪くてわるかったな!」
そう吐き捨てると私がもう松田の方を見る事はなかった。
「…で、あるからして…警察は現場の目撃情報を集める事になる。ここで注意したい事…誰かわかる奴いるか?」
「はい!」
学科授業では基本科目の他にも法律や様々な分野の警察官における仕事の知識を学ぶことが出来る。
私も手を挙げようと試みるが、考えているうちにいつも降谷君が手を挙げてしまう。
「目撃情報の注意点として、犯罪現場に居合わせたストレスや思い込みや、警察官の誘導的な質問で目撃者の証言がゆがめられる可能性がある…その為、証言を鵜呑みにするのではなく、しっかりとした裏取りが必要である…」
「その通り!流石だな降谷…」
更には100点満点の答えをいつも叩き出すのだ。
流石、総代を務めるだけはある。
…一方隣で気だるそうにしているこの男はというと。
「まあここを卒業した連中がそれをちゃんと実践できてるかどうかはマユツバもんだけどな…」
「おい松田!貴様警察官を何だと思ってる!?」
(やっぱ嫌いだわ…)
やはり、こいつは警察官を舐めている。
そう思っていたが、松田はさらに言葉を続けた。
「そりゃーもちろん…」
誇りと使命感を持って国家と国民に奉仕し
人権を尊重して公正かつ親切に職務を執行し
規律を厳正に保持して相互の連帯を強め
人格を磨き能力を高めて自己の充実に努め
清廉にして堅実な生活態度を保持する
「それが警察官…でしたよね?」
「わ、わかっていればよろしい…!」
彼が今暗唱したのは「警察職員の職務倫理及び服務に関する規則」における職務倫理の基本として掲げられている事項だ。
(…わかってんじゃん。)
どうやら、適当にこの仕事を選んだわけではなさそうだ。
「ねぇ、萩原くん一緒に昼食食べてもいい?」
「え…」
今日は同じ教場の女子で昼食を食べようと誘われ、二つ返事で彼女達について行くと、案の定彼女達は教場一のモテ男である萩原研二を誘った。
彼もまた軽いノリで承諾すると、彼女達は萩原君の前を陣取った。
私はその彼女達の隣に座ったのだが、必然的に、彼と仲良しの人物の正面に座る事となった。
「げ…」
「げ…って何だよ、喧嘩売ってんだろ」
松田は不貞腐れた顔をしてカレーを食べている。
相変わらずの悪態はスルーして席につくと、左隣から声がかかった。
「千代田さん、ここ座っていいか?」
「降谷君…全然いいよ。」
そう答えると彼はありがとうと言い、椅子を引いて隣に腰掛ける。
「千代田さんの食べてる焼き魚定食、美味そうだな。」
「でしょ、今日は和食の気分だったんだ。」
「確かに美味しそう!俺もそれにすれば良かったかなぁ…」
定食の話に混ざって来たのは降谷君と仲のいい諸伏君だった。
諸伏君はそう言いながら私の後ろを通り過ぎると彼は降谷君の隣に腰掛ける。
「諸伏君の鶏肉の卵炒めも美味しそう。私明日はそれ食べようかなぁ」
バイキングみたいに少しずつ食べられたらなぁ、などと考えていると、降谷君が正面に座る松田に視線を向けながら口を開いた。
「それで、どう言う心境の変化なんだ?」
「ん?」
その降谷君の言葉に松田はカレーを食べる手をピタッと止め彼を見る。
「僕の記憶が正しければ…君は警察官が嫌いだったはず…」
確かにそれは私も先程の授業を見て思っていた。
警察官が嫌いという人間が出来る発言では無かったからだ。
「もしかして…ツンデレとか?」
そう、降谷君が少し茶化すように言った直後、彼の手から箸がパラりと音を立てて落下する。
どうやら後ろを通った人が彼にぶつかったようだ。
…どうやら、ぶつかったのは偶然ではないらしく「警察学校で金髪とか有り得ねーだろ…」と通り過ぎ様に嫌味ったらしく言い放つ。
その言葉に降谷君はピクっと反応し、彼の表情に嫌悪感が現れるのが横目に映った。
その表情は少し悲しみを帯びている様にも見える。
「それ、どういう意味・・・!地毛を染める必要なんてないって、要項に書いてあったでしょ・・・?」
そんな彼の表情が見ていられなくてガタンと思い切り立ち上がれば、後ろに立っていた男達はギョッとした表情を浮かべた後、そそくさと逃げていった。
席から離れて追いかけようとすると、一歩踏み出す前に降谷君に手を掴まれ引き止められる。
「早く食べないと次の授業に間に合わないぞ。」
彼の表情は普通に戻っていたので、私の見間違いかな…と座り直した。
「お前、ホントに喧嘩っ早いよな…」
あんたにだけは言われたくないんだけどね…と心の中で思っていると、松田はニヤリと笑って言葉を続けた。
「さっきの話だが・・・今でも腹ん中じゃ思ってるぜ…警察なんてクソ食らえってな!!」
一体何か彼をそいう風にしてしまったのだろうか。
