ホウエン地方
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石の洞窟はムロタウンの北側、106番水道の砂浜を進むと入り口が見えてくる。
この洞窟は地下洞窟で、地下2階まで現在入ることができるらしい。
洞窟内のポケモンの生態調査を行う為、私とフリードとキャップは地下へ進んでいく。
洞窟は足がすくんでしまうくらい薄暗い。しかし、いくら怖がりだからと言え、こんな事で怯んでいては何も出来ない!
フリードは今にも「大丈夫か?」と言いたそうな顔をしていたが、心配かけまいと先頭を歩き始める。
「ちょっと待て。」
進んでいると突然フリードに腕を捕まれ足を止める。
「な、何?」
「その岩はイシツブテが擬態している姿だ。」
「えっ!」
じーっと地面の岩を見つめているとぐるりと転がって、顔が現れる。
確かにこの岩だと思っていた物はイシツブテだった。
イシツブテは私達に気付くとゴロゴロと転がって洞窟の奥へと消えていった。
「踏まないように気をつけろよ。」
「はい・・・。」
スマホロトムのライト機能を使えばかなり道が明るくなった。懐中電灯とは違い手に持たなくても浮いて動くのでとても便利だ。
しかし、あまり明るくしてしまうと洞窟に住んでいるポケモンを驚かせてしまうので、光は少し抑えることにする。
洞窟の中なので暗闇が好きだったり、夜行性のポケモン達が多く棲息しており、私達の気配に気付いたのかズバットが突然飛び立つので「わぁ!」と反応してしまった。大丈夫。夜のブレイブアサギ号ほどではない。
暫く進めば目が暗さに慣れてきたのか、最初よりも見えるようになってきた。
あたりには様々なポケモンの姿が確認できる。
「ココドラが何か食べてる・・・」
「餌となる鉄鉱石だな。流石、石の洞窟と言われるだけあって資源も豊富だな。」
ココドラって空腹だと車も食べちゃうって言うからな・・・と車を食べるココドラを思い浮かべる。
トレーナーは餌の用意が大変そうだ。
「おっ、あっちはドッコラーが角材を運んでいるな。」
そのもっと先を見ると、ドッコラー達が一列になって角材を運んでいる。
「どこに運んでるんだろう。」
私がそう言うと、フリードの肩から飛び降りたキャップはドッコラー達の後ろへ続いた。
「オレ達も着いて行くか。」
「うん。」
キャップ、フリード、私の順番でドッコラーの行進の最後尾を歩いていく。
「あのドッコラーの角材は重たそうだな。」
「大変そう・・・」
重たい角材を軽々持てるようになったドッコラーはドテッコツに進化する、と言われているのでもしかしたらあのドッコラーの進化する日は近いのかもしれない。
暫く進むとドッコラー達の動きが止まる。
前を見るとドッコラー達が何かを囲むように並んでいる。
「何かを作っているのか?」
まだまだ未完成のようだが、持ち寄った角材で建物の骨組みをしている。一生懸命角材を組み上げる様子はまさに工事現場のようだ。
「すごい!」
「完成は当分先になりそうだな。」
「どんな建物が出来るのかな…」
フリードは顎に手を当てながら興味深そうに答える。
「他の地方では、人の工事現場を手伝う様なポケモンだ。ムロタウン周辺は開発が進んでいない土地だから、ここのドッコラー達は人の工事に参加したことがない…つまり、この建物は今までに見た事のない構造になるかもしれないな!」
フリードはそう言って目を輝かせる。
こういう探究心こそがフリード博士という人間を冒険へと狩り立たせているのだろうな、と今更ながら実感する。
フリードとしばらくドッコラーを観察していると、不意に右脚を引っ張られるような感覚がした。
「ひゃあ!」
何かと思って振り向くと、足元には暗闇で光る宝石の様な目…くらやみポケモンのヤミラミだ。
ポケモンだと分かってほっとするが、驚いた時無意識にフリードの腕にしがみついてしまった為、慌てて離れる。
「ご、ごめん!」
「いや、構わない。」
そう言って笑うフリードの顔を見て、この間のことを思い出してか、ドキドキしてしまう。
ヤミラミは今も私の服の裾を引っ張りながら何かを訴えかけようとしている。
「どうしたの?」
ヤミラミの高さまでしゃがんで声をかける。
ヤミラミの手ががピトッと私の腕に触れるとまたプテラの時のような感覚が起こる。
これは、ヤミラミの記憶…?
角材置き場で休憩しているドッコラーが見える。
ヤミラミがドッコラーの後ろにゆっくり近付いて驚かすと、ドッコラーは驚いた衝撃で頭を角材にぶつけてしまい、バランスの崩れた角材がドッコラーの上に落ちてくる…
見えたのは、ここまでだ。
「ユイ?」
フリードの言葉にハッとする。
私、また…
フリードに言うべきか言わないべきか、そんな事を考えている場合では無い。
「案内して!」
ヤミラミにそう言うと、ヤミラミは私を誘導する様に走り出した。
「お、おい!ユイ!」
「フリードも着いて来て!」
フリードにそう声をかけヤミラミの後へ続くと、崩れた角材の山がそこにはあった。
「ここ?」
と、ヤミラミに問えば大きく頷く。
角材の中から小さくドッコラーの鳴き声が聞こえた。
「まさか、この中にポケモンがいるのか!?」
「とりあえず、角材をどかそう。」
私はボールからヌオーも出して全員で角材を運び出す。
ヤミラミが他のドッコラーを呼んできたみたいで、私達では重たくて持てないような角材は彼らに持ってもらう。
そして、角材をどけると、角材の下敷きになっていたドッコラーが現れた。
「大丈夫か?怪我はないか?」
フリードはドッコラーに声をかけると、ドッコラーは「大丈夫」と言うように頷いた。
どうやら倒れた角材の中はドッコラーが入れるくらいの空間が出来ていたようで怪我はしていないらしい。
「よかった・・・」
「しかし、何故こんな所にドッコラーが・・・?」
フリードが疑問を口に出すと、ヤミラミが焦り始める。
きっと自分のした事を後悔しているのだろう。
ヤミラミはドッコラーと向かい合うが、なんと言えば分からない様で、黙り込んでしまっている。
私は向かい合っている2匹の隣に立つと目線の高さまで腰を下げる。
「ヤミラミはドッコラーと遊びたかっただけなんだよね。」
私がそう言うと、ヤミラミは大きく頷く。
「でも、危ない場所で驚かせちゃだめだよ。」すると、ヤミラミは少ししょんぼりしたように俯く。
「・・・今度からはちゃんと遊ぶ場所を決めてね。あと、驚かすなら周りに誰も居ないことを確認してからじゃないとダメだよ。」
私が注意を促すように言うと、ヤミラミは再び顔を上げてドッコラーに必死に喋りかける。
どうやら、謝っている様だ。
ドッコラーも気にしていないようでヤミラミに笑いかけている。
「良かったね、ヤミラミ。」
優しく撫でるとヤミラミは嬉しそうにしてくれた。
ドッコラーとヤミラミにお別れして私達は調査を続けた。
しかし、先程のヤミラミの件があったからか、暫く歩いているとフリードが口を開く。
「それにしても、良くドッコラーの事わかったな。」
「え?」
「まるでヤミラミの言いたいことが解ってたみたいだ。」
フリードの言葉にハッと息をのむ。普通の人はポケモンの記憶なんて見られない。何か特別な技を受けない限りは。
「そ、そうかな?ヤミラミが結構焦ってるように感じたから・・・」
「まあ、確かにそうか・・・」
フリードはふむ・・・と腕を組む。不審に思われただろうか。
「それがポケモンと打ち解ける秘訣なのか・・・?」
「そ、そうなのかも・・・!」
良い具合に勘違いしてくれたのでそれに乗っかることにしておく。
・・・確かにそうだ。あの時、何故か私にはヤミラミの気持ちが分かったのだ。
頭の中に流れてきたのはどちらの時も負の感情。
もしかして、負の感情を感じる事ができるのか?
それならもっと色々なポケモンの記憶が見えるはず・・・
それに、プテラの時は頭痛がしたけど、今回は起きなかった。
頭痛は感情の大きさに影響している・・・?
考え込んでいると、突然目の前のフリードが立ち止まるので、急には止まれず背中にぶつかってしまった。
「あいたっ」
「おっと」
ぶつかった反動でよろけてしまった私の肩を咄嗟に掴んで支えてくれる。
「大丈夫か?」
そう言って顔を覗き込まれるものだから色んな意味でドキッとする。
「だ、大丈夫!ごめん!ちょっとボーッとしてた……」
慌てて離れるとフリードは不思議そうな顔をした。
「いや、構わないんだが……それより、あれを見てみろ」
フリードはそう言いながら前を指さす。その指の先には大きな壁画があった。
「これは・・・たいりくポケモンのグラードンとかいていポケモンのカイオーガ・・・か?」
フリードが疑問に思うのも仕方がない。
壁画に描かれているのは、原始時代の超古代ポケモンだ。
つまり、描かれているのは原始回帰した二体の姿・・・
「他には何もなさそうだね。」
「ああ、記録もしたし、船に戻ろう。この壁画の事も調べたい。」
「うん。わかった。」
実はこれが何を意味しているか知っている。
でも、話すことは出来なかった。
もしこの世界で解明されてない事なのだとしたら、私が知っている事自体がおかしい。
私一人の発言で変わってしまう事だってあるかもしれない。
ましてやフリードはポケモン博士と言うこの世界で影響力のある地位にいる。
言いたくても話せない事や、隠し事をしているような感覚になり、なんともいえない気持ちになる。
「・・・どうした?」
「ううん、何でもないよ。早く戻ろう!」
心配そうにこちらを見るフリードを誤魔化して歩き出す。
今は考えない様にしよう。
そう自分に言い聞かせると、足早に洞窟を後にしたのだった。
洞窟から出た頃には外はオレンジ色に染まっていた。
夕日が海に反射してとても綺麗だ。
「綺麗・・・」
思わず口から言葉が漏れる。それほどまでに幻想的な風景だった。
「そうだな・・・」
フリードも見惚れている様で、暫く二人で海を眺める。
「カイオーガは大雨を降らせて海を広げたポケモンだと言われている。」
「こんなに大きな海を広げることの出来る大雨なんて、想像もできないね。」
私は再び海岸に目をやる。波が押し寄せてくる度にキラキラと輝き、まるで宝石のようだと思った。
「広いおかげで海にはまだまだ人類が到達していない場所もある。・・・それどころか、空の上だって、陸地だってまだ誰も行ったことのない場所があるかもしれない。」
これから新しい発見が出来ると思うとわくわくしないか?とフリードは私に笑いかける。
その笑顔を見た瞬間、胸の大きな高鳴りを感じる。
私も、誰も行ったことのない場所に行ってみたい。新しい発見をしたい・・・この人と一緒に。
そう思った瞬間、ストンと何かが胸に落ちる感覚がした。
ああ、そうか。やっぱり私、フリードのことが好きだったんだ。
そう思うと、なんだか心が軽くなった気がした。
「そうだね、ワクワクする!」
私が笑顔で答えると、フリードはキョトンとした後、嬉しそうに笑った。
だけど、この気持ちは大事にしまっておこう。
いつか元の世界に戻ることになっても良いように。
この洞窟は地下洞窟で、地下2階まで現在入ることができるらしい。
洞窟内のポケモンの生態調査を行う為、私とフリードとキャップは地下へ進んでいく。
洞窟は足がすくんでしまうくらい薄暗い。しかし、いくら怖がりだからと言え、こんな事で怯んでいては何も出来ない!
フリードは今にも「大丈夫か?」と言いたそうな顔をしていたが、心配かけまいと先頭を歩き始める。
「ちょっと待て。」
進んでいると突然フリードに腕を捕まれ足を止める。
「な、何?」
「その岩はイシツブテが擬態している姿だ。」
「えっ!」
じーっと地面の岩を見つめているとぐるりと転がって、顔が現れる。
確かにこの岩だと思っていた物はイシツブテだった。
イシツブテは私達に気付くとゴロゴロと転がって洞窟の奥へと消えていった。
「踏まないように気をつけろよ。」
「はい・・・。」
スマホロトムのライト機能を使えばかなり道が明るくなった。懐中電灯とは違い手に持たなくても浮いて動くのでとても便利だ。
しかし、あまり明るくしてしまうと洞窟に住んでいるポケモンを驚かせてしまうので、光は少し抑えることにする。
洞窟の中なので暗闇が好きだったり、夜行性のポケモン達が多く棲息しており、私達の気配に気付いたのかズバットが突然飛び立つので「わぁ!」と反応してしまった。大丈夫。夜のブレイブアサギ号ほどではない。
暫く進めば目が暗さに慣れてきたのか、最初よりも見えるようになってきた。
あたりには様々なポケモンの姿が確認できる。
「ココドラが何か食べてる・・・」
「餌となる鉄鉱石だな。流石、石の洞窟と言われるだけあって資源も豊富だな。」
ココドラって空腹だと車も食べちゃうって言うからな・・・と車を食べるココドラを思い浮かべる。
トレーナーは餌の用意が大変そうだ。
「おっ、あっちはドッコラーが角材を運んでいるな。」
そのもっと先を見ると、ドッコラー達が一列になって角材を運んでいる。
「どこに運んでるんだろう。」
私がそう言うと、フリードの肩から飛び降りたキャップはドッコラー達の後ろへ続いた。
「オレ達も着いて行くか。」
「うん。」
キャップ、フリード、私の順番でドッコラーの行進の最後尾を歩いていく。
「あのドッコラーの角材は重たそうだな。」
「大変そう・・・」
重たい角材を軽々持てるようになったドッコラーはドテッコツに進化する、と言われているのでもしかしたらあのドッコラーの進化する日は近いのかもしれない。
暫く進むとドッコラー達の動きが止まる。
前を見るとドッコラー達が何かを囲むように並んでいる。
「何かを作っているのか?」
まだまだ未完成のようだが、持ち寄った角材で建物の骨組みをしている。一生懸命角材を組み上げる様子はまさに工事現場のようだ。
「すごい!」
「完成は当分先になりそうだな。」
「どんな建物が出来るのかな…」
フリードは顎に手を当てながら興味深そうに答える。
「他の地方では、人の工事現場を手伝う様なポケモンだ。ムロタウン周辺は開発が進んでいない土地だから、ここのドッコラー達は人の工事に参加したことがない…つまり、この建物は今までに見た事のない構造になるかもしれないな!」
フリードはそう言って目を輝かせる。
こういう探究心こそがフリード博士という人間を冒険へと狩り立たせているのだろうな、と今更ながら実感する。
フリードとしばらくドッコラーを観察していると、不意に右脚を引っ張られるような感覚がした。
「ひゃあ!」
何かと思って振り向くと、足元には暗闇で光る宝石の様な目…くらやみポケモンのヤミラミだ。
ポケモンだと分かってほっとするが、驚いた時無意識にフリードの腕にしがみついてしまった為、慌てて離れる。
「ご、ごめん!」
「いや、構わない。」
そう言って笑うフリードの顔を見て、この間のことを思い出してか、ドキドキしてしまう。
ヤミラミは今も私の服の裾を引っ張りながら何かを訴えかけようとしている。
「どうしたの?」
ヤミラミの高さまでしゃがんで声をかける。
ヤミラミの手ががピトッと私の腕に触れるとまたプテラの時のような感覚が起こる。
これは、ヤミラミの記憶…?
角材置き場で休憩しているドッコラーが見える。
ヤミラミがドッコラーの後ろにゆっくり近付いて驚かすと、ドッコラーは驚いた衝撃で頭を角材にぶつけてしまい、バランスの崩れた角材がドッコラーの上に落ちてくる…
見えたのは、ここまでだ。
「ユイ?」
フリードの言葉にハッとする。
私、また…
フリードに言うべきか言わないべきか、そんな事を考えている場合では無い。
「案内して!」
ヤミラミにそう言うと、ヤミラミは私を誘導する様に走り出した。
「お、おい!ユイ!」
「フリードも着いて来て!」
フリードにそう声をかけヤミラミの後へ続くと、崩れた角材の山がそこにはあった。
「ここ?」
と、ヤミラミに問えば大きく頷く。
角材の中から小さくドッコラーの鳴き声が聞こえた。
「まさか、この中にポケモンがいるのか!?」
「とりあえず、角材をどかそう。」
私はボールからヌオーも出して全員で角材を運び出す。
ヤミラミが他のドッコラーを呼んできたみたいで、私達では重たくて持てないような角材は彼らに持ってもらう。
そして、角材をどけると、角材の下敷きになっていたドッコラーが現れた。
「大丈夫か?怪我はないか?」
フリードはドッコラーに声をかけると、ドッコラーは「大丈夫」と言うように頷いた。
どうやら倒れた角材の中はドッコラーが入れるくらいの空間が出来ていたようで怪我はしていないらしい。
「よかった・・・」
「しかし、何故こんな所にドッコラーが・・・?」
フリードが疑問を口に出すと、ヤミラミが焦り始める。
きっと自分のした事を後悔しているのだろう。
ヤミラミはドッコラーと向かい合うが、なんと言えば分からない様で、黙り込んでしまっている。
私は向かい合っている2匹の隣に立つと目線の高さまで腰を下げる。
「ヤミラミはドッコラーと遊びたかっただけなんだよね。」
私がそう言うと、ヤミラミは大きく頷く。
「でも、危ない場所で驚かせちゃだめだよ。」すると、ヤミラミは少ししょんぼりしたように俯く。
「・・・今度からはちゃんと遊ぶ場所を決めてね。あと、驚かすなら周りに誰も居ないことを確認してからじゃないとダメだよ。」
私が注意を促すように言うと、ヤミラミは再び顔を上げてドッコラーに必死に喋りかける。
どうやら、謝っている様だ。
ドッコラーも気にしていないようでヤミラミに笑いかけている。
「良かったね、ヤミラミ。」
優しく撫でるとヤミラミは嬉しそうにしてくれた。
ドッコラーとヤミラミにお別れして私達は調査を続けた。
しかし、先程のヤミラミの件があったからか、暫く歩いているとフリードが口を開く。
「それにしても、良くドッコラーの事わかったな。」
「え?」
「まるでヤミラミの言いたいことが解ってたみたいだ。」
フリードの言葉にハッと息をのむ。普通の人はポケモンの記憶なんて見られない。何か特別な技を受けない限りは。
「そ、そうかな?ヤミラミが結構焦ってるように感じたから・・・」
「まあ、確かにそうか・・・」
フリードはふむ・・・と腕を組む。不審に思われただろうか。
「それがポケモンと打ち解ける秘訣なのか・・・?」
「そ、そうなのかも・・・!」
良い具合に勘違いしてくれたのでそれに乗っかることにしておく。
・・・確かにそうだ。あの時、何故か私にはヤミラミの気持ちが分かったのだ。
頭の中に流れてきたのはどちらの時も負の感情。
もしかして、負の感情を感じる事ができるのか?
それならもっと色々なポケモンの記憶が見えるはず・・・
それに、プテラの時は頭痛がしたけど、今回は起きなかった。
頭痛は感情の大きさに影響している・・・?
考え込んでいると、突然目の前のフリードが立ち止まるので、急には止まれず背中にぶつかってしまった。
「あいたっ」
「おっと」
ぶつかった反動でよろけてしまった私の肩を咄嗟に掴んで支えてくれる。
「大丈夫か?」
そう言って顔を覗き込まれるものだから色んな意味でドキッとする。
「だ、大丈夫!ごめん!ちょっとボーッとしてた……」
慌てて離れるとフリードは不思議そうな顔をした。
「いや、構わないんだが……それより、あれを見てみろ」
フリードはそう言いながら前を指さす。その指の先には大きな壁画があった。
「これは・・・たいりくポケモンのグラードンとかいていポケモンのカイオーガ・・・か?」
フリードが疑問に思うのも仕方がない。
壁画に描かれているのは、原始時代の超古代ポケモンだ。
つまり、描かれているのは原始回帰した二体の姿・・・
「他には何もなさそうだね。」
「ああ、記録もしたし、船に戻ろう。この壁画の事も調べたい。」
「うん。わかった。」
実はこれが何を意味しているか知っている。
でも、話すことは出来なかった。
もしこの世界で解明されてない事なのだとしたら、私が知っている事自体がおかしい。
私一人の発言で変わってしまう事だってあるかもしれない。
ましてやフリードはポケモン博士と言うこの世界で影響力のある地位にいる。
言いたくても話せない事や、隠し事をしているような感覚になり、なんともいえない気持ちになる。
「・・・どうした?」
「ううん、何でもないよ。早く戻ろう!」
心配そうにこちらを見るフリードを誤魔化して歩き出す。
今は考えない様にしよう。
そう自分に言い聞かせると、足早に洞窟を後にしたのだった。
洞窟から出た頃には外はオレンジ色に染まっていた。
夕日が海に反射してとても綺麗だ。
「綺麗・・・」
思わず口から言葉が漏れる。それほどまでに幻想的な風景だった。
「そうだな・・・」
フリードも見惚れている様で、暫く二人で海を眺める。
「カイオーガは大雨を降らせて海を広げたポケモンだと言われている。」
「こんなに大きな海を広げることの出来る大雨なんて、想像もできないね。」
私は再び海岸に目をやる。波が押し寄せてくる度にキラキラと輝き、まるで宝石のようだと思った。
「広いおかげで海にはまだまだ人類が到達していない場所もある。・・・それどころか、空の上だって、陸地だってまだ誰も行ったことのない場所があるかもしれない。」
これから新しい発見が出来ると思うとわくわくしないか?とフリードは私に笑いかける。
その笑顔を見た瞬間、胸の大きな高鳴りを感じる。
私も、誰も行ったことのない場所に行ってみたい。新しい発見をしたい・・・この人と一緒に。
そう思った瞬間、ストンと何かが胸に落ちる感覚がした。
ああ、そうか。やっぱり私、フリードのことが好きだったんだ。
そう思うと、なんだか心が軽くなった気がした。
「そうだね、ワクワクする!」
私が笑顔で答えると、フリードはキョトンとした後、嬉しそうに笑った。
だけど、この気持ちは大事にしまっておこう。
いつか元の世界に戻ることになっても良いように。
