番外編②スーツorドレス?
name
この小説の夢小説設定 過去に呪術廻戦の世界へトリップしたことのある主人公が、もう一度トリップしてみたら自分のポジションに成り代わる人間がいた。
べつにそれに対しては笑い話で済む話だけどちょっと待って??過去の友人とイチャイチャ??気持ち悪いんでやめてもらえません???
これは、主人公が自分の立ち位置を正しい場所に戻すために奮闘する物語である(?)
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※※※
・コラボグッズ「パーティーver.」のみんなと主人公。
・衝動で書いたのでいろいろおかしい。
・ドレスアップしたみんなとわちゃわちゃさせたかったんだ……
・本編とは関係ない軸のお話です。
「あ……あの、ねーちゃん……」
「紬さん、もういいですか?」
「待って。まだカメラと心のシャッター切るのに忙しい。」
これが! ガチにならずにいられようか!? どれだけの人間を狂わせてると思ってんのもっと自覚しようね君達!!!
と、腹の中で盛大に騒ぐお祭り状態とは正反対に、わたしは真顔で微動だにせずmyふぉんのカメラのシャッターを連写していた。ついでに心のシャッターも連写しまくりである。
「ガチじゃねーか。」
「すじこー。」
「いーじゃないの男共! こんな風に着飾れる機会なんてそうそうないんだし!」
「まあたまにはな。」
既にぐったりしている悠仁くん達男の子チームとは違い、野薔薇ちゃんと真希ちゃんはノリノリで紬さんこっちこっちー! とカメラを前にポージングしてくれる。ここは男女の違いかな〜〜〜かわいいなあ〜〜〜とほっこりしながら今度は女の子達にシャッターを切りまくった。
はあ……幸せ。
◇
今回の任務は複数人で取り掛かるらしい。何やかんやでとある悪い人間が開くパーティー会場に学生達が潜入するということで、みんなこうしておめかししてるってわけである。説明下手くそなのは許して。
「つーか今回、紬も潜入するって聞いたけど。なんでスーツだよ?」
そう。そして今回の任務、わたしも出動要請が出ている。だからわたしもいつもの作業着ではなくておめかししているんだけど。
真希ちゃんが突っ込んだように、わたしが着ているのはスーツだ。
「わたしは主催者側の潜入だからね。どう? 似合ってる??」
「まあ、サマにはなってるけどよ」
「ねーちゃん、スーツも似合うよな!」
スーツなんて、就活用のリクルートスーツしか着たことなかったから凄く新鮮なんだよね〜。しかも給仕者用のだから、ちょっと燕尾服っぽい作りで、こんな機会がなければ着ることのないタイプに、ちょっと浮かれモードなのである。
「紬さんもドレス着るかと思ってたのに〜。」
「あはは、わたしみたいなモブが着ても需要がないからね。」
それにドレスなんて動きにくそうだしなあ。と実用性を考えてしまうわたしは、もしや枯れているのだろうか……否定はしない。
「まあまあ、わたしのことより! 今日の主役は君達だよ〜サポートはするから頑張ってね!」
「ねーちゃん、出された料理って食っていいんかな?」
「何か混ざってる可能性もあるから、出来れば飲み物も控えてほしいかな。わたしや補助監督さん達が安全な飲み物や食べ物持っていくから、それまで待っててね。」
わたしがそう言えば、みんな「はーい」とお返事してくれる。何でかわたしが引率するみたいになってるけど、わたしはどちらかと言えば今回、他に一緒に潜入する補助監督さん達と同じように悠仁くん達のサポートに徹する側だ。会場に着いたらわたしはみんなと分かれるから、引率者はちゃんと他にいるんだけど……
「それにしても、日下部さん遅いね?」
「あ? 何言ってんだ紬、今日は——」
「お待たせ〜。みんなの大好きな五条先生が来たよ!」
「んげ、」
わたしが聞いていた今回の引率者は、二年担任の日下部さんだと聞いていた。だから安心してこのスーツ着てカッコよくて可愛いみんなを愛でるのに全力を注いでいたというのに!
いつもの目隠しにスーツ姿で現れた悟に、今までの興奮が嘘のようにすんっと鎮まってしまった。おい、わたしの楽しい時間返して。
「ちょっと紬、何その反応。カッコイイ大人の僕見れて幸せでしょ?」
「名前で呼ばないでください。それより何で五条さんがここに?」
「だって生徒達の引率、僕の担当になったから。」
「は???」
悟の説明によると? 昨日、直前になって面倒になった日下部さんが悟に丸投げしたって言うんだけど?? いや日下部さんなら有り得ない話ではないけど、あの人めんどいって言いながらもとりあえず任務は熟す人じゃん? そんな急に悟に託すなんてある??
しかもみんなは知ってたみたいだし? 何でわたしだけ知らされてないの???
「だってオマエ、僕と一緒って分かったら絶対任務下りるでしょ? だからみんなには黙っておいてもらったの。」
語尾にハートでもつきそうな言い方にぞわわわっと鳥肌が立つ。何のために、わたしが今まで悟との任務が被らないようにしてきたと思ってんだ……!!
恨めしげに、学生達へと視線を送る。するとみんな「悪い」と言いながらもその顔は妙に清々しい程の笑顔だった。
さては何かお高い物買ってもらったなこの子達! 悠仁くんまでもがわたしを裏切るなんて!!
次に、待機していた補助監督さん達へ視線を送る。するとみんな一斉に視線を外してわたしと目を合わせないようにしてきた。
さては……っ、いや、補助監督さん達は脅されたに違いない。彼彼女らの青ざめた顔がそう物語っている。
みんなが悪いんじゃない。子供には飴を与え、大人には鞭を振るった悪の権化が悪いのだ。
そう思い直してギッ!! と元凶を睨みつけると、悟はいやにオシャレな手袋を嵌めた手で顎をなぞりながらじいっとわたしを見下ろしてきていて。
「……何ですか。馬子にも衣装って思ってんですか。」
「いやまあ、性格的にその恰好でもいいんだけどさ。」
あん? 何だそれ、男っぽい性格だって今の時代馬鹿にしてんのかこいつ?? これがわたしの個性ですけど??
「ちょっと違うんだよねえ〜。……ってことでハイ! オマエは僕とこっち! 悠仁達は補助監督と先に会場行ってて。」
「はーい! 楽しみにしてんね先生!」
「はあっ!?」
ちょ、何言ってんのコイツ!!? 引率者が引率しないでどうする……って肩 を 組 む な!! しかも待って、なんで悠仁くんそんな嬉しそうなの!? 今まさに目の前でねーちゃんが拉致られそうなんですけど!? なんでみんな置いてくの!?
誰も助けてくれず、むしろ意気揚々と去っていく姿に絶望していると、ぐっと肩を引き寄せられ悟との距離がほぼゼロになる。
「さあ、僕達は楽しい楽しい大人の着せ替えごっこしようか♡」
先の展開が読めてしまったわたしは、死んだ目でひくりと口元だけを引き攣らせる。
わたしの人権と拒否権なんて、今この場においてはあってないようなものだった。
義弟たちは、義姉に可愛い恰好させたい。
「紬さんていつも作業着よね。」
「私服も〇ニクロだしな。」
「そーいや、ねーちゃんのスカート姿って見たことねーなー。」
「つーか、私服すら貴重よね。」
「高専にいる時も任務の時も作業着だからなあの人。」
「うーん……」
「昔は穿いてたぞ。セーラー服の時だけだが。」
「私服では穿いてなかったん?」
「覚えている限り無いな。ショートパンツはよく穿いてたから、露出が嫌なわけではなさそうだったが。」
「家入さん、その言い方は……」
「……家入さん、その写真残ってる?」
「どっちの?」
「どっちも!」
「後でやるよ。」
「おっしゃ!」
「伊地知もいるか?」
「えっ!!? わ、私はそのあの!」
「何でも、あの頃は〝女子高生〟という後ろ盾があったため、セーラー服はいけると言っていましたよ。」
「ナナミン、ねーちゃんとそんな話してたの??」
「高専の制服に変えないのか聞いた時にそう言っていたんですよ。」
「でも私服でのスカートだと、タイプも違えば見た目の印象も違うから苦手なんだって。『わたしはスカート似合わないから〜』ってよく言ってたよ! あっ、俺妹いるからよく話してたんだー!」
「うーん、何か意地でも見たくなってきたなあ〜。」
「でも無理強いすると拗ねるぞアイツ。」
「こんぶ。」
「でも紬の奴、葬式の時の喪服はスカートだって言ってたぜ。〝限られた場所に決まった恰好で〟っつー条件なら、アイツも諦めるんじゃねーの?」
「限られた場所……」
「五条先生!!」
「おっ、どうしたの悠仁〜そんな熱烈に駆け寄ってきてくれて……」
「次のオレらの任務! ねーちゃんも一緒に行けない!?」
「はい、スルーね。って紬も?」
「オレ、どうしてもねーちゃんに……——」
「——へえ。随分面白いこと考えたね。」
「任務だし、やっぱムリ?」
「僕を誰だと思ってるの。このGTGに任せなさい!
あ、ちゃんとこっちで衣装も用意しておくね!」