五条、真人
name
×刀剣乱舞のクロスオーバー名前は(あるけど)一生呼ばれません。
何せ審神者ですから。
呪術界のみんなと刀剣オタクの家に産まれた審神者と審神者過激派の付喪神達がわちゃわちゃしてる。
※勢いで書いているのでいろいろ設定がゆるい。
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「あれ? なんでここにいるの?」
特級呪霊・真人は大袈裟に驚いてみせた。
〝夏油〟の作戦では、陽動に動いている花御や呪詛師達の方に呪術師は集まると言っていたのに。
小さな子供のように素直に首を傾げる特級呪霊の横には、肉体を歪められた忌庫番の姿が転がっていた。「うわー……」と感情のまま南泉は顔を顰め、山鳥毛は無表情を貫き、審神者は鋭い視線を投げていた。
……先の七海先輩達との戦いで、随分消耗したと聞いていたが。流石に時間が経てば復活しているか。
胸中そう舌を打って、まあいいやと思い直したところで審神者は口を開く。
「貴方こそ、どうしてこんなところに? ここは高専関係者以外立ち入り禁止ですよ。」
「そんな堅いこと言わないでよ。俺はこの中に用があるんだ。」
「見逃してくれる?」といっそ爽やかに笑うその下で手を構える真人に反応し、左右にいる男士達は身構える。しかし審神者は無言で手を挙げることで、二振に構えを解くよう指示を下した。
「それは構いませんが、条件があります。」
「えっ、いいの?」
「わたしは高専に呪術師としての籍は置いていますが、忌庫までの警護は任されていませんから。」
「……そういうの、屁理屈って言わない?」
「門番が生きていれば話は別ですが、それがもう手遅れなので。今はわたしの目的のためだけに動くだけですよ。」
「ははあ、それが条件ってわけだ。」
審神者の答えが愉快だったのだろう、声を上げて嗤う呪霊に審神者は首を傾げるも、左右に控える男士達は「主よ、それでいいのか」と内心では頭を抱えた。後々高専側に対して審神者が不利になる可能性も捨てきれないものの、きっとそれも見越した上での判断なのだろう。大丈夫な筈……きっと大丈夫……多分。と、顕現して日の浅い彼らには若干の不安が残った。
そんな臣下の心配を余所に、審神者は「では確認しましょう」と指で数字を作った。
「ひとつ。貴方の悪事を見逃す代わりに、幾つかわたしの質問に答えていただきます。」
「ふたつ。君が〝本当の姿〟を見せてくれたら、俺は嘘を吐かずに正直に答えるよ。」
真人から増やされた条件は、何とも魅力的だった。だから自身の中で反対の声を挙げている大倶利伽羅に、審神者はごめんと謝罪を返した。
「……みっつ。この場での戦闘行為は禁止。——これでよろしいですか?」
「いいよ。俺も今回は穏便に済ませたいしね。」
今この時をもって、審神者と特級呪霊・真人との間に縛りが設けられた。
「君に会うのは初めましてだね。審神者ちゃん。」
「そうですね。貴方のお噂はかねがね、聞き及んでいますよ。人間から産み落とされた呪霊さん。」
一時休戦の言を唱え合った一人と一体がその後交した遣り取りは、その場にいた者達にしか知り得ないものとなった。
忌庫の中での取引を終えた真人が、大荷物を背負って意気揚々と高専を後にする。
「じゃあ、またね。審神者ちゃん。」
「今度会う時は容赦なく祓いますけどね。」
「えー、俺は君がこっちに来てくれるって信じてるけどなあ。」
一瞬だけ浮かべた残念そうな顔は、「まあいいや」という言葉の通りすぐにどうでも良さげにニッコリと笑みを浮かべたものになる。
天敵・虎杖悠仁と同じく自分自身以外の魂をその身に宿す審神者は、真人にとってやはり天敵となるだろう。味方になってくれればこれほど強い戦力もなかなかないが、別に敵側のままでもいいかと真人は思う。
その方が、気兼ねなく殺せるというもの。
「俺が殺すまで死なないでね。」
「……貴方、虎杖くんのことも狙っているのでしょう?」
そんな貴方にぴったりな、こんな諺がありますよ。
「『二兎追うものは一兎も得ず』。……わたしは、忠告しましたからね。」
「ふぅん。ご忠告どーも。」
「じゃあね」と手を振り去っていく呪霊を見送ることなどせず、審神者はすぐに踵を返し交流会の会場とは反対方向へと足を運ぶ。その両隣には先程までと変わらず一文字派の二振が付き従っているが、南泉は辛抱堪らずといった具合で深く長い息を吐き出していた。
「なんだアイツ……おっかねえ……にゃ。」
「小鳥、大丈夫か?」
「やー……正直吐きそうなくらい。」
その言葉の通り、審神者の顔色は芳しくない。しかしそれは、真人の呪力に充てられたからでも彼の強さに怯んだからでもなかった。
「この感情のやり場をどこに向けたらいいのか、わかんない。」
彼女は、怒っていた。敵側からの嘘偽りのない情報を得て、到底許し難いと激怒しているのだ。
「これ以上、わたしの大切な人達に好き勝手されてたまるか。」
そんな自分の主の姿に、こっちの方がおっかないと身を竦ませる南泉と、主の怒りに反応して自身の目元の刺青が赤く染まり、その燃えるような痛みさえ感じる苛烈さにうっそりする山鳥毛がいた。