七海、真人
name
×刀剣乱舞のクロスオーバー名前は(あるけど)一生呼ばれません。
何せ審神者ですから。
呪術界のみんなと刀剣オタクの家に産まれた審神者と審神者過激派の付喪神達がわちゃわちゃしてる。
※勢いで書いているのでいろいろ設定がゆるい。
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呪術師達から無事逃げ果せた真人は、その先で意外な人物と出会う。
「ただの人間……ってわけじゃあなさそうだ」
気を失っているその女の腹部からは未だ血が流れ続けており、死ぬのも時間の問題だろうなあと呑気に考える。
この女は呪術師で、きっと俺が放っておいた改造人間達と戦っていたのだろう。ここに居るのは、逃げてきたか俺を祓う為に向かってきていた途中で力尽きたかのどちらかかな?
「どっちにしろ、コイツの所為で大事な人間達も切れちゃったんだろうし……」
術師であるコイツには、お詫びに実験体になってもらおうかな。
そう思い至り、善は急げと女に触れる為そのツギハギだらけの手を伸ばした——のだが、その手のひらが女に触れることはなかった。
「あれ?」
驚きの声をあげたのは無意識に近い。気を失っていたと思った女から手を弾かれたとなれば、そんな反応になるのは当然とも言えた。
真人の手を弾き、苦しそうな呼吸を繰り返す女は、鋭く睨みつけてくる。
「——此奴に触れるな。」
その瞳の色は、金色のままだった。
「ハァ? コイツってどういう——」
女の不可思議な言い回しに真人は訝しげな様子だったが、その眼を見て何かに気付いたのかずいっと無遠慮に顔を近づけてきては至近距離でじろじろと女の〝何か〟を視る。そして本人の中で何かが一致したのか、ぱっと表情を明るくして声を弾ませた。
「うっわ! マジで別の魂が入ってるじゃん。夏油の言ってた通りだ!」
その様はまるで小さな子供のようで、ひとりはしゃぐ人型の呪いに今度は女の顔が訝しげなものに変わる。呪いが発した言葉の中に、気になる単語があったからだ。
「ねえねえ! その身体の魂はどこ行ったの? 俺その人と話してみたいんだけど」
「……彼奴は今いない。諦めるんだな」
「なんだ残念。じゃあ君でいいや、いろいろ聞かせてよ」
「馴れ合うつもりはない。況してや、呪いなんて願い下げだ」
「あっは! それ本気で言ってんの? 君も似たようなものじゃん」
「俺達は違う」
「違わないよ。根本的には同じだ」
楽しげに紡がれていく真人の言葉に、女はとうとう抜刀し切っ先を呪いへと定める。これ以上喋るなという牽制だったが、それは逆効果となる。
「それが君の本体?」と興味を持った真人は、刃が触れるギリギリの距離まで顔を近付け間近で刀身を眺めた。呪いとはいえ、その姿は人間と大差ない。視覚的効果もあり、女の背はゾクリと粟立った。
女が感じたのは、驚愕と、困惑とそして……
「綺麗な刀だね。——これに俺が触れたら、君の魂はどうなっちゃうのかな?」
無邪気な声に対する、恐怖だった。
「——なんてね!」
張り詰めた空気が、真人の声で霧散する。
「安心してよ。俺今呪力ほとんどないから、無為転変使えないし。それに君の魂を壊したら、その子の怒りも買っちゃいそうだしね」
ニッコリと笑顔を携えて刃から顔を離した真人は、そのまま踵を返す。
「だから今日は見逃してあげる——あ、でも伝言はお願いしようかな」
しかし途中で引き返してきては、動けない女の耳元で囁いた。ゆっくり、脳に直接刷り込ませるような、粘着質な声で。
「こっちにおいでよ。審神者ちゃん——呪われた君にはこっちが似合いだよ」
「——クソ、」
女一人だけとなったその場所で、苦々しい声が小さく響く。
そして最後に、ドサッと倒れる音が聞こえたかと思えば。
その空間は、無音が広がっていったのだった。