夏油(過去)
name
×刀剣乱舞のクロスオーバー名前は(あるけど)一生呼ばれません。
何せ審神者ですから。
呪術界のみんなと刀剣オタクの家に産まれた審神者と審神者過激派の付喪神達がわちゃわちゃしてる。
※勢いで書いているのでいろいろ設定がゆるい。
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「あの時の言葉は、嘘じゃないですよ。げと先輩」
とある任務帰りの夜。審神者は高専とコンビニの間の道を歩いていた。
月明かりに照らされて、人工的な灯りがなくとも周囲は十分に明るい。その道を、ガリガリ君を齧りながら歩いていた。
「でもわたしは、貴方を救うことは出来なかった」
「そげんことなかばい。夏油しゃんは自分が幸せになれる方を選んだだけや」
審神者の独り言を拾ったのは博多藤四郎で、彼は審神者の一歩後ろの位置でパピコを頬張っている。そんな一人と一振の間を、夏特有のぬるい風が通り過ぎていった。
今から数ヶ月前、この道で審神者と語り合った先輩は死んだ。親友に殺された彼は、一体最期に何を思って逝ったのだろう。
それはきっと、その場にいた五条でさえわからない事だ。夏油の心は、夏油にしかわからない。
「おっ、」
「?」
「見て見て、アタリ」
だから、審神者はせめてもと祈る。道路の端、何でもない草生える地面にガリガリ君のアタリ棒を突き立てて、それに手を合わせて。
——どうか夏油が、理想を求め幸せな道を歩めていたのだと。その結果の死だったとしても、後悔の無い人生であったと笑えていますようにと、何も埋まっていなければ縁もないそこに、祈りを捧げた。
目を開けると、アタリ棒の横にパピコが置かれていた。審神者の横では彼女に倣うように博多が両手を合わせ、真剣な表情で目を閉じている。
「……ありがとう。博多」
自然と零れ落ちた声に、目を開けた博多藤四郎はいつものようにニッと笑みを浮かべる。「おいも、夏油しゃんのこと好かんじゃなかったけんね」と言われた言葉に、審神者は漸く、夏油傑の死を実感できたのだった。