虎杖、宿儺
name
×刀剣乱舞のクロスオーバー名前は(あるけど)一生呼ばれません。
何せ審神者ですから。
呪術界のみんなと刀剣オタクの家に産まれた審神者と審神者過激派の付喪神達がわちゃわちゃしてる。
※勢いで書いているのでいろいろ設定がゆるい。
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呪術のじゅの字も知らない、というより信じていなかった少年にとって、この二ヶ月ちょっとの間に起きた出来事はなかなかにえげつないものだっただろう。そのえげつなさの中に自分自身の死が含まれているなんて、呪術師の中でもきっと経験した人はいない筈だ。死にかけたことはあれど。
「なーなー、ムツノカミさん」
「ん、どいたが? 悠仁」
それでも虎杖悠仁は、以前までと変わらない。自分の事より他者を気に掛けてしまうのは、もはや性分なのだろう。「本人に聞くのもどーかと思うけどさ」と前置きをしたあと、声を小さくしてから続きを紡いでいく。
「実際のところ、刀剣男士達はどう思うの? 審神者さんが誰かを好きになったら」
「そうじゃなあ……個体差はあるじゃろうが、基本的には祝うろうな。主が幸せならわしらも嬉しいしな」
快活に笑うのは、陸奥守吉行。打刀の刀剣男士であり、産まれたばかりの審神者が初めて顕現させた付喪神である。審神者が虎杖と顔を合わせるたびに彼が顕現されているため、必然的に虎杖と陸奥守も言葉を交わす頻度は多かった。審神者の時同様、一人と一振の本来の気質から、打ち解けるのは早かった。
ちなみにその審神者は今、飲み物を取りに道場を離れている。この場には虎杖と陸奥守しか居ない。
「わしらは基本、主が生きている間のアレコレは干渉はしない、っちゅーことになっとる。もちろん、主が危険な目に遭おうもんなら黙っちゃおらんが」
「それ矛盾してねえ? 男士達は審神者さんの魂が欲しいんだろ?」
「それなら、見殺しにした方が……」と言いかけたところで、道場の出入口を見つめた後気まずげに言葉を窄める虎杖に、陸奥守は腕を組み身体ごと頭を傾げる。「そうじゃのう……」と虎杖の言を肯定した事で少年の眉は悲しげに下げられるが、対する付喪神はにっと口角を持ち上げてみせた。
それは決して、少年を嘲るためではない。
「神は、我儘なんじゃ」
審神者の魂も欲しいし、刀として振るわれたいし、ヒトとしても生きてみたい。後ろふたつが叶うのは、主従関係を交わした審神者が生きている時のみなのだ。
「じゃからわしらは、主が現世に満足するまで力を貸すし、守っと決めたんじゃ」
人の子の人生は、自分たち付喪神から見ればあっという間に過ぎ去る程に短い。だから幾らでも待てるのだと言って浮かべる微笑みに、虎杖は驚きに目を開く。目敏く気が付いた陸奥守がその表情の意味を問うと、「いや、だって」と嬉しそうに破顔した。
「ムツノカミさんは、審神者さん自身が大切なんだなって思ってさ」
「おん? そげんの、他ん奴らも同じじゃ」
陸奥守の返しに、虎杖は「違う」と言って首を振る。それから続いた言葉に、今度は陸奥守の方が驚く番だった。
「なんか、上手く言えないんだけど。他の男士は〝最終的に審神者さんを食べる〟事が目的なんだとしたら、ムツノカミさんはそうじゃないっていうか」
「ムツノカミさん、本当は審神者さんの魂を食べたいって思ってないんじゃないの?」