伏黒
name
×刀剣乱舞のクロスオーバー名前は(あるけど)一生呼ばれません。
何せ審神者ですから。
呪術界のみんなと刀剣オタクの家に産まれた審神者と審神者過激派の付喪神達がわちゃわちゃしてる。
※勢いで書いているのでいろいろ設定がゆるい。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
一方その頃、本丸では。
「……」
愛染の手入れを終えた審神者は、ある一室へと来ていた。
そこは普段、誰も歩み寄ることは無い場所で、時折ふらりと審神者が立ち寄るだけの部屋であった。審神者がその部屋に入った時は、自ら出てくるまで男士達は邪魔をしない。しかし今回に限っては、部屋の外、閉められた障子に映る影があった。
「……ねえ、一期」
「何でしょう、主殿」
障子越しに聞こえる人の子の声は、いつになくか細い。それが己の弟の事を想ってのことだと知っているからこそ、一期一振の声音は優しさを含んだものになる。
「ずおちゃんは、わたしを恨んでいるかしら」
「主殿は、どう思われるのです?」
この部屋に入った審神者が自問するのは、たった一つの事。かつてまだ審神者が幼い頃、まだ未熟だった頃、彼女を狙った呪詛師から主を守るために、折れた一振の脇差の事。
——折れた刀は、二度と元には戻らない。それはつまり、刀に宿る付喪神も消滅するという事だ。もう二度と、あの少年の姿をした神様とは会えないのだ。
思い出すことはない。忘れたことはないのだから。故に審神者は時折この部屋に篭るのだ……折れた鯰尾藤四郎の本体が眠るこの部屋に。
温もりのない刀を抱き締め、顔を埋める審神者の姿は何かに怯えているようだった。現状まだこの部屋には一振しか置かれていないが、今後刀剣達が積み重なっていく映像が審神者の脳内に流れ込む。いつもは賑やかな声が響く本丸が、静寂に包まれる様を想像してしまう。
ヒトの形をするものは自分ひとりで、辺りには折れた刀剣しかいない——なんて恐ろしい世界だろう。
気が狂いそうだった。
「そうならないために、主殿は強くなられたのでしょう」
自身の仄暗い思考に沈んでいた意識を浮き上がらせたのは、障子の向こうの声だった。
「己を鍛え、我等を鍛え、あの様な思いを二度と繰り返さぬよう、強さを得たのでしょう」
兄弟を、仲間を喪わぬよう努力をしてきた貴女を、あの子がどうして恨めましょうか。
「伏黒恵が式神を喪い、同じように自責の念に囚われていたら主殿ならどう思います? 式神達はあの少年を怨んでいると思うのでしょうか」
「……思わない」
「そうでしょうな。それと同じです」
一期一振がきっぱりと断言すると、暫くして何やら部屋の中からずり、ずり……と這うような音が一期の耳に届く。その音は障子を挟んだ間近まで近づくと止まり、代わりに眼前の障子がスッ……と静かに開かれる。
そこからひょこりと顔を出した審神者に、一期一振は「行儀が悪いですぞ」と間髪入れずに小言をぶつけた。その表情は優しい。
「……ありがと。一期」
だからか、審神者は一期からの小言には触れずにへにゃりとした笑みを浮かべてはお礼を述べるだけにして。それを受けた一期もさして気にしていないため、ひとつ満足げに頷いては審神者の頭をゆるりと撫ぜるのだった。
一部、作者の実話が混ざっています。
刀剣破壊はほんとトラウマで、しばらくログインすらできなかったな…
それと同じ感じで、伏黒くんのあの式神達がもう二度と出てこないと思うと悲しくて悲しくて…